アントネッリ F1エミリア・ロマーニャGP「ファンの熱気に呑まれた」
メルセデスF1の18歳ルーキー、キミ・アントネッリは、母国イタリアで迎えたF1エミリア・ロマーニャGPを「キャリア最悪の週末」と振り返り、周囲の過熱した盛り上がりに自らが飲まれてしまったと率直に認めた。

地元ボローニャから列車でわずか30分のイモラに凱旋したアントネッリは、クラスメート全員をサーキットに招待し、チームに100皿のラザニアを差し入れるなど話題を集めたが、その舞台裏では緊張感とプレッシャーに苛まれていたという。

しかしその舞台裏で、彼のメンターであるメルセデスF1代表トト・ヴォルフの姿はなかった。ヴォルフはロサンゼルスで長男の卒業式に出席しており、今回のGPでは初めて現場との無線やデータ通信すら完全に遮断された状態だった。

ヴォルフは事前に独紙『Bild』の取材にこう語っていた。

「これが初めて完全に現場と遮断されるレースになる。キミにとってこのグランプリはとても重要なものになるだろう。イタリア・メディアからのプレッシャーも相当なはずだ。だからこそ、『自分にとって良くないものはすべて排除しろ』と伝えたんだ」

しかし現実には、アントネッリは今季ここまでで最も苦戦。最終的にはマシントラブルによりリタイアとなったものの、本人もその内容に納得していない。

「自分のドライビングにもっと取り組む必要がある」とチェッカーフラッグ後に振り返った。

「どこを改善できるかを見極めないといけないし、特に暑いコンディションでのレースペースを上げる必要がある。自分にとって最悪の週末だったと思う」

そして彼は、自身にとって初めての“ホームレース”を取り巻いた雰囲気が、冷静さを欠く原因になったと率直に語った。

「ファンの熱気にうまく対応できなかった。リラックスできていなかったし、走っている間も緊張していた。でも今回の経験で、次の母国レースまでに学びを得られたと思う」

「もっと自分のための時間を取るべきだった。いろんなところでエネルギーを無駄にしてしまって、それがパフォーマンスにも影響した」

アンドレア・キミ・アントネッリ F1 エミリア・ロマーニャGP メルセデスAMG・ペトロナス・モータースポーツ

ヴォルフの不在中、現場でチームをまとめたのは広報責任者のブラッドリー・ロードで、彼は独『Sky Deutschland』に対し、「イモラはチームにとって痛い後退だった」と語った。

さらに、1997年F1ワールドチャンピオンのジャック・ヴィルヌーヴは、メルセデスとアントネッリに対して厳しい言葉を投げかけた。『Sky』のインタビューで皮肉交じりにこう述べた。

「可愛い話だよね、友達を連れてきたなんて。でもここは職場なんだ。職場に友達や家族を連れてくるもんじゃない」

またヴィルヌーヴは、メルセデスの育成責任者グウェン・ラグリューが、イモラGPを巡る“サイドイベント”について「あまり快く思っていなかった」との情報も伝えた。

一方、現地イモラにはモトGPのレジェンド、バレンティーノ・ロッシの姿もあった。アントネッリとは過去にカートでも親交があるロッシは、母国レースで苦戦した後輩に対し『Sky Italia』を通じてエールを送った。

「彼にとって、イモラでの初めての週末は本当に厳しいものだったと思う。でもそれがイタリアで走るということなんだ」

「経験を積んでいけば、そのうち人付き合いも断れるようになるさ」

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カテゴリー: F1 / アンドレア・キミ・アントネッリ / メルセデスF1 / F1エミリア・ロマーニャGP