オトマー・サフナウアー 上層部交代のアルピーヌF1チーム買収を検討
オトマー・サフナウアーがF1復帰に向け、混迷するアルピーヌF1チームの買収を検討していることが明らかになった。RacingNews365が報じている。

元フォース・インディア、レーシング・ポイント、アストンマーティン、そしてアルピーヌの代表を務めたサフナウアーは、約2年前にフランスチームを離れて以降もF1の現場復帰への意欲を隠していない。

最近では、北米の投資家コンソーシアムと提携しており、F1における第12のチーム設立を視野に入れていることを明かしている。ただし、今年3月にキャデラックのF1参戦がF1側から承認されたばかりであることを踏まえ、F1側がさらなるグリッド拡大には慎重な姿勢を取っていることから、新規参入には時間がかかる見通しだ。

キャデラックの承認までには2年を要した。これは当初アンドレッティとして立ち上がったプロジェクトが、マイケル・アンドレッティの離脱とTWGモータースポーツおよびGMによる主導体制への移行など、複雑な経緯をたどったことが背景にある。

このため、サフナウアー陣営はより迅速なF1参入の手段として、既存チームの買収に照準を合わせている。情報筋によると、サフナウアーは昨年、当時ルノー・グループのCEOを務めていたルカ・デ・メオに対し、アルピーヌ買収の初期提案を行っていたという。しかし、一定の検討期間の後、デ・メオはこれを拒否したとされる。

現在、アルピーヌは大きな不安定状態にある。7月15日付でデ・メオがルノー・グループCEOを退任することが決まっており、チームの意思決定を担う上層部が不在の状況だ。さらに、5月上旬にオリバー・オークスが代表を辞任して以降、チーム代表の座も空席が続いている。

オークスの辞任は、実弟であるウィリアム・オークスが大量の現金を伴う犯罪資産所持の容疑で逮捕され、2027年4月に裁判を控えるというスキャンダルを受けた決断だった。

現在、アルピーヌの実務を担っているのは、元ベネトンおよびルノーの代表を務めたフラビオ・ブリアトーレで、エグゼクティブ・アドバイザーの立場から暫定的にチームを指揮している。だが、9月にはスティーブ・ニールセンがマネージングディレクターとして就任し、日々のチーム運営をブリアトーレに代わって管理する予定となっている。

アルピーヌF1チーム

サフナウアーは、デ・メオの後任がチーム売却に前向きな人物となることを期待しており、現在はその人事を見守っている段階だ。アルピーヌは来季からルノー製のパワーユニットを搭載しなくなり、メルセデスからの供給を受けるカスタマーチームへと転換することが決まっている。

デ・メオは昨年、2026年に導入される新パワーユニットに向けた開発プログラムの中止を決断しており、ファクトリー体制からの撤退はチームの将来に大きな影を落としている。

現時点でアルピーヌの評価額がどの程度になるのかは不透明だが、F1チームの市場価値は近年急騰しており、買収は容易ではない。それでもサフナウアーは、「自分たちの背後にいる投資家は本気で、潤沢な資金を有している」と繰り返し主張しており、もしアルピーヌが売却可能な状態であるなら、彼らのF1復帰への道が開かれる可能性もある。

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カテゴリー: F1 / アルピーヌF1チーム