アルピーヌF1 ザントフォールトで極秘テスト…覆面ドライバーは宮田莉朋?
アルピーヌF1チームは、2025年仕様のリバリーを施した旧型マシンを使用し、オランダ・ザントフォールト・サーキットで極秘テストを行った。使用車両はTPC(Testing of Previous Cars)規定に則ったもので、黒いヘルメットをかぶった正体不明のドライバーによる走行が目撃されたが、このテストは瞬く間に“秘密”ではなくなった。

この動きは、シーズン序盤の不振を受け、ジャック・ドゥーハンとフランコ・コラピントの交代が迫っているとの見方が強まる中でのもの。

SNSでは走行映像が急速に拡散され、地元オランダの耐久・ツーリングカー出身ドライバー、イェロン・ブリークモーレンがInstagramに投稿したことで事態は一気に注目を集めた。

テストに使用されたのは、F1チームが許可された旧型車(少なくとも2年以上前のモデル)であり、規則上問題はない。ただ、ドライバーの身元が伏せられ、完全に覆面状態での走行だったことが、さらなる憶測を呼ぶ結果となった。しかも、これはチームの指揮系統に大きな変化があった直後の出来事だった。

実際、アルピーヌはマイアミGP直後にチーム代表オリバー・オークスの辞任を発表。2024年夏に就任したばかりだったが、成績不振とチーム内の混乱により、シーズン序盤にしてチームを去ることとなった。そんな中で行われた今回のテストは、単なる走行データ収集にとどまらない意味を持つ。

アルピーヌF1チーム5月7日、オリバー・オークスのアルピーヌF1チーム代表“辞任”が発表された。

注目のドライバーはコラピントかと思われたが、実際にステアリングを握ったのはFIA F2でARTグランプリから参戦中の日本人ドライバー、宮田莉朋だった。彼はアルピーヌのリザーブドライバーではなく、トヨタ系ドライバーとして活動しているが、今回のテスト参加には一定の“つながり”があると見られている。

宮田が所属するARTは、Hitechと同様にトヨタと技術連携を持つチームであり、Hitechの創設者こそ今回辞任したオリバー・オークス本人。すなわち、アルピーヌ、トヨタ、Hitechの間には、公式ではないにせよ技術的・人的なネットワークが存在しており、今回の宮田起用もその延長線上にある可能性がある。

「宮田莉朋が今日アルピーヌで走っているのは、Hitechとトヨタの技術提携が背景にある。アルピーヌ代表のオリバー・オークスはHitechジュニアチームの創設者であり、宮田はトヨタの契約ドライバーだ。したがって、このパートナーシップは筋が通っている」

そう語る関係者もいる。TPCテストではF1週末とは異なり、チームは自由にドライバーを起用できるため、将来を見据えた評価目的の走行も多い。

そして、注目のフランコ・コラピントも間もなく走行する予定だ。現地情報によれば、木曜日にはコラピントが同じくザントフォールトでのTPCテストに参加する見通しで、これは彼のF1復帰に向けた布石とみられている。復帰の舞台はエミリア・ロマーニャGPと予想されており、これはドゥーハンの降格を意味する可能性が高い。ただし、ドゥーハン自身はチーム内に別の形で残留するとも考えられている。

なお、アルピーヌの今季最高成績はピエール・ガスリーによるバーレーンGPでの走行だが、チームの戦闘力は依然として限定的だ。

つい数日前までオークスは「現時点では(ドゥーハンが)ドライバーであることに変わりはない」と語っていたが、今となってはその発言も空しく響く。ザントフォールトでの“秘密のテスト”は、単なる走行ではなく、アルピーヌの次なる一手を示唆する重要な布石だったのかもしれない。

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カテゴリー: F1 / アルピーヌF1チーム / 宮田莉朋