フェルナンド・アロンソ F1シンガポールGP好調の裏に「ステアリング角トリック」
フェルナンド・アロンソは、シンガポールGPでの好調なペースの要因の一つとして、ステアリングラックの調整を施しているようだ。

アロンソはフリー走行1回目でトップタイムを記録し、赤旗が多発したフリー走行2回目でもアストンマーティンのマシンをトップ5内にキープした。

この夏を通じてハイダウンフォースのサーキットで好調を見せてきたスペイン人ドライバーだが、元F1王者のジェンソン・バトンは、アロンソのAMR25が今週末「より大きな操舵角」を備えていると指摘している。

バトンが指摘するアロンソの「ステアリング角トリック」
シンガポールGP週末の初回プラクティスでタイムシートの頂点に立ったのは、他ならぬF1史上屈指のベテラン、フェルナンド・アロンソだった。

フリー走行2回目では順位を少し落としたものの、アストンマーティンAMR25の速さは偶然ではなく、そのセッションでも4番手につけていた。

シンガポールのようなハイダウンフォース・サーキットは、アロンソとアストンマーティンが今季を通じて得意としてきた舞台であり、この結果自体は大きな驚きではない。

しかし、その速さの一因が「独自のステアリングラック角度」にあるのではないか――。それを真っ先に指摘したのがスカイF1解説者のジェンソン・バトンだ。

44歳のアロンソが「身体とマシンの限界を押し広げている」姿を見るのは「実に素晴らしい」と語ったバトンは、彼のAMR25にはペースを引き出すための異なる要素があると述べた。

「彼はおそらく異なるステアリングラック比を使っていると思う。クルマの操舵角がかなり大きいようだ」とバトンは説明する。

「このようなコースではそうすることもある。最小の操舵角でマシンバランスが大きく変わらないようにして、全体を少し穏やかにするんだ。彼は多くのコーナーで腕を交差させているが、うまく機能しているように見える」

フェルナンド・アロンソ アストンマーティン・コグニザント・フォーミュラワンチーム F1 シンガポールGP

ステアリング比とは、ドライバーのハンドル操作がどの程度タイヤの舵角に影響するかを示すものだ。

アロンソが今週末使用しているような「高いステアリング比」は、同じ舵角を得るためにより多くのハンドル操作が必要になることを意味する――その結果、アロンソはマリーナベイ・ストリート・サーキットを走る際、腕を交差させるほどステアリングを大きく切っているように見える。

ステアリング比が高いほど、物理的にハンドルを回す力は小さくて済むが、同じ旋回角を得るためにはより大きな操作量が求められる。つまり、「軽く回せるが、より多く回さなければならない」ということだ。

バトンが指摘するように、ドライバーが「腕を交差しすぎる」ことで、必要な舵角を確保できなくなる懸念もあるが、その点についてはアロンソほどの経験を持つドライバーなら十分理解しているだろう。

シンガポールは現代F1カレンダーの中でも最も体力を要するサーキットの一つだ。

狭く高速な市街地レイアウトに加え、高温多湿の気候がドライバーに大きな肉体的負担を強いる。これらの要素を同時にこなすのは精神的にも消耗が激しいため、他のグランプリ以上に疲労しやすい。

したがって、アロンソが採用した高いステアリング比は、身体的負担を軽減するうえで有効な調整となっている可能性が高い。

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カテゴリー: F1 / フェルナンド・アロンソ / F1シンガポールGP / アストンマーティンF1チーム