角田裕毅 レッドブルF1評価低下で「ホーナーが昇格を拒んだ理由」が正当化

2024年末にセルジオ・ペレスが契約を解消された後、レーシングブルズからレッドブル・レーシングへの昇格候補には角田裕毅とリアム・ローソンの2名が挙がっていた。F1で5年の経験を積み、ホンダの後押しもあった角田裕毅だったが、当時のチーム代表クリスチャン・ホーナーはローソンの“ポテンシャルがより高い”と判断した。
その決断は当初裏目に出た。ローソンは2戦連続でQ1敗退、ノーポイントに終わり、シーズン序盤で再びレーシングブルズへ降格。第17戦日本GPから角田裕毅がレッドブルのシートを引き継いだが、RB21の特性に苦しみ続けている。ここまで25ポイントを獲得し、ドライバーズランキングでは17位に留まっている。
マックス・フェルスタッペンのチームメイトとして結果を残すことが極めて難しいのは周知の事実だが、角田裕毅のシーズンは“ホーナーが昇格に否定的だった理由”を裏付ける形にもなっている。
レッドブル内部では「角田裕毅への評価は常に否定的だった」
オランダの『De Telegraaf』F1ポッドキャストでジャーナリストのエリク・ファン・ハーレンは、角田裕毅に関して「以前から技術的フィードバックやレースクラフトに関して否定的な話を耳にしていた」と明かしている。
「角田裕毅はレーシングブルズでかなり良い仕事をしていたとは思う。しかし、チームというのは一時的な話題性だけで判断するわけではない。裏側でどういうドライバーなのか、エンジニアへのフィードバックはどうか、レースクラフトはどうか、そうした点を重視する」とハーレンは語る。
「そうした観点で言えば、私は常に角田裕毅に関して否定的な話を聞いてきた。だからホーナーがまったく昇格に乗り気でなかったのも理解できるし、驚きではなかった。むしろ驚いたのは、ローソンが2戦で降格した後に角田裕毅が起用されたことのほうだ」と続けた。

ホンダが描く“角田裕毅救済プラン”
2025年シーズンは残り3戦。角田裕毅の将来は極めて厳しい状況にある。レッドブルおよびレーシングブルズには計3つの空席があり、候補として名前が挙がるのはアイザック・ハジャー、リアム・ローソン、そしてアービッド・リンドブラッドだ。
現時点では、ハジャーがレッドブルへ昇格し、角田裕毅が放出されるとの見方が支配的。リンドブラッドがローソンとともにファエンツァのレーシングブルズで走る可能性が高いとされている。
ただし、最終判断にはレッドブル・グループのスポーツ部門代表オリバー・ミンツラフの承認が必要であり、ローラン・メキースとヘルムート・マルコの提案を覆す権限を持つ。角田裕毅の将来を左右する決定権は依然として上層部にある。
2026年のF1ドライバー体制は以下の通りで、レッドブル・レーシングとレーシングブルズのみが未確定だ。
■ 2026年F1ドライバー一覧
・アルピーヌ:ピエール・ガスリー/フランコ・コラピント
・アストンマーティン:フェルナンド・アロンソ/ランス・ストロール
・アウディ:ガブリエル・ボルトレト/ニコ・ヒュルケンベルグ
・キャデラックF1チーム:バルテリ・ボッタス/セルジオ・ペレス
・フェラーリF1:シャルル・ルクレール/ルイス・ハミルトン
・ハースF1チーム:エステバン・オコン/オリバー・ベアマン
・マクラーレン:ランド・ノリス/オスカー・ピアストリ
・メルセデス:ジョージ・ラッセル/アンドレア・キミ・アントネッリ
・レーシングブルズ:未定/未定
・レッドブル・レーシング:マックス・フェルスタッペン/未定
・ウィリアムズ:アレクサンダー・アルボン/カルロス・サインツJr.
ローラン・メキースとヘルムート・マルコは、角田裕毅のサンパウロGPでの走りについて「SQ1敗退を隠しようがない」と一致した見解を示しており、同様に予選でもQ1敗退に終わった。
ホンダ側は角田裕毅の残留を支援するため、最終決定前にレッドブル上層部と直接協議する予定だとされる。シートを守れるかどうかは、この交渉に懸かっている。
角田裕毅の評価と2026年への現実的シナリオ
角田裕毅の2025年シーズンは、実力そのものよりも「チーム適応力」と「開発的貢献」の面で評価を下げていると見られる。ホーナー体制下では常に“次期昇格候補外”とされてきた背景には、技術面での信頼不足があったことが改めて浮き彫りになった。
ローラン・メキース体制となった今も、成績だけで残留を保証できる状況ではない。チームは2026年の新レギュレーション対応に向けて、エンジニアとの連携能力をより重視しており、そこでの評価が今季の残り3戦で大きく左右されるだろう。
ホンダの政治的支援がどこまで影響力を発揮できるかが、角田裕毅のキャリア継続の鍵となる。
カテゴリー: F1 / 角田裕毅 / レッドブル・レーシング
