角田裕毅の処遇発表タイミング レッドブルF1が学んだ“リカルド騒動”の教訓
角田裕毅の2026年の処遇が今季最終戦を前に正式発表された。イタリア拠点のレーシングブルズでの来季シート獲得が最も現実的と見られていたが、チームはアイザック・ハジャーをレッドブルへ昇格させ、アービッド・リンドブラッドをF1へデビューさせる判断を下した。

結果として角田裕毅は2026年、レッドブルのテスト兼リザーブドライバーとして残留することになった。フルタイムシートは失うものの、2026年に導入される新レギュレーション下ではリザーブの役割が極めて重要となるため、その存在価値は決して小さくない。

この発表がシーズン最終戦前に行われた背景には、2024年に起きた“リカルド騒動”があったとされる。ESPNの報道によれば、レッドブルは当時のダニエル・リカルドの扱いをめぐり「混乱したPR状況」を経験し、その反省が今回のタイミングに影響を与えたという。

レッドブルが避けたかった“リカルドの再現”
2024年、レーシングブルズはシンガポールGPを最後にダニエル・リカルドの起用を終了していたが、正式発表はレース後から4日遅れて行われた。この遅れが、ファンやパドック内に「きちんとしたお別れの時間が与えられなかった」と捉えられ、大きな批判を呼んだ。

レッドブルはすでに結論を下していたにもかかわらず、なぜ最終戦前に公表しなかったのかという疑問が残り、“曖昧な沈黙”が不必要な憶測を招いた。本人が翌年に引退を発表したことも相まって、パドック全体が納得のいく形で送り出す機会を逃したことが大きな教訓となった。

今回の角田裕毅の発表について、ESPNは「チーム内部で“発表を前倒しする”強い押しがあった」と伝えている。リカルドのケースのように、キャリアの節目を曖昧な状態で迎えさせたくない――そうした意識が働いたとみられる。

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アービッド・リンドブラッド昇格は時期尚早なのか?
18歳のアービッド・リンドブラッドは、2026年F1グリッドで唯一のルーキーとなる。若すぎるとの声もある一方、「早い段階でF1のレベルに触れることが成長の近道」という意見も多い。

「低いカテゴリーにもう1年置くより、アントネッリのようにF1で学ぶべきだ」という見方もファンコメントで見られ、荒削りでもポテンシャルを評価するレッドブルらしい判断ともいえる。

2027年に再びチャンスは巡るのか?
角田裕毅にはすでに“復帰の前例”もある。過去のレッドブル体制でリザーブに回ったアレックス・アルボンは、ウィリアムズで2022年に復帰し、今やチーム浮上の中心的存在だ。また、2023年にリザーブを務めたリカルドも翌年にF1へ復帰している。

F1では“1年空く=キャリア終了”ではないことを示す好例が続いており、角田裕毅も2027年のグリッド争いに再び食い込む可能性は十分にある。ハースF1チームの小松礼雄(チーム代表)が角田のスキルセットを高く評価していることはすでに知られており、フェラーリが2027年にオリバー・ベアマンを昇格させれば、ハース側に席が空くという巡り合わせもある。

新レギュレーション初年度となる2026年にレッドブル内部で信頼を積み重ね、2027年の市場で存在感を示せるか。角田裕毅にとって、ここからの一年はキャリアの再構築に向けた重要なシーズンとなる。

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カテゴリー: F1 / 角田裕毅 / レッドブル・レーシング