角田裕毅 2レース連続入賞もレッドブルF1代表が発破「まだ十分ではない」

ハジャーは、2026年に角田裕毅の後任候補とされているが、オースティンでは予選でクラッシュを喫し、決勝でも下位に沈むなど苦しい週末を過ごした。
一方の角田裕毅は、今季最も堅実なパフォーマンスを見せ、チームに貴重なポイントをもたらした。
それでも21歳のフランス人ドライバーであるハジャーは、自身の昇格について公の場で発言を続けており、「レッドブルは2026年を待たずに自分を昇格させるべきだ」とまで語っている。
フランスの識者「ハジャーは黙って働け」
ベテランジャーナリストのジャン=リュック・ロワは、RMC Sportに対して「彼には“何も言うな!働いて結果を出せ”と言った」と明かした。「彼は自分自身を絡ませてしまっている」と語り、過剰な発言が逆効果になっていると警告した。
「我々は彼を追い詰めたり、最初のミスのように叩いたりするつもりはない。シーズン序盤、フォーメーションラップで雨の中に飛び出してしまったときのようなことだ。これは彼にとって2度目のミスだ。私の意見では、3度目は必要ない。これが彼に与えるアドバイスだ」とロワは語った。
さらに「過去7〜8戦では、彼はリアム・ローソンの後ろにいる。同じマシンを使っているのに、うまくいっていない。彼は話すのをやめて、頭を下げて働くべきだ」とも述べた。
一方でロワは角田裕毅を高く評価した。「角田裕毅は走り始めている。彼は素晴らしいグランプリを過ごし、戦う姿勢を見せた。もし自分がアイザックの立場なら、黙って働くだろう」と語った。
メキース「角田裕毅のポイントが必要だ」
ローラン・メキースは、角田裕毅がシーズン終盤においてレッドブル・レーシングに欠かせない存在であると強調した。
「裕毅には果たすべき役割がある。まず第一に、コンストラクターズ選手権ではまだ多くのものが懸かっている」とメキースは語った。「もちろん我々はもはや世界タイトルを争っているわけではないが、その後ろの順位を争っている。だから我々には裕毅のポイントが必要なんだ」
「第二に、裕毅が速ければ速いほど、2台のマシンでテスト作業を分担できる。だから速い裕毅がいることは重要なんだ」とも述べ、今週末メキシコGPでマックス・フェルスタッペンの代わりにアービッド・リンドブラッドがフリー走行1回目を走ることにも言及した。
「進歩は見える だがまだ十分ではない」
メキースは、オースティンでの角田裕毅とフェルスタッペンの差が52秒、つまり1周あたりほぼ1秒であったことを認めつつも、進歩は確実に見られると語った。
「我々は常にさらなるものを求めている。“これで十分だ”とは言わない。君が言う通り、差はあった」と彼は述べた。
「“これで良かった”なんて言わない。誰もそうは感じていないし、裕毅もそうではない。ただ言えるのは、彼がここ2戦続けてポイントを獲得しているということだ」
「裕毅は2度の非常に良いスタートと、非常に良いオープニングラップを見せた。これは、彼がこれまで今年見せてきたものに比べて進歩だ。これで十分か?いや、そう言えば嘘になるし、裕毅も僕が“これで十分だ”と言ったら喜ばないだろう」とメキースは締めくくった。

角田裕毅の安定感と、ハジャーへの“沈黙の教訓”
角田裕毅はアメリカGPで2戦連続の入賞を果たし、スタートや序盤の動きで明確な進歩を見せた。メキースの発言からは、チームが彼に求めているのが単なる補助的役割ではなく、コンストラクターズ順位争いと開発作業の双方を担う「中核的存在」であることが読み取れる。
一方、ハジャーは結果よりも発言が注目される状態に陥っている。フランスのメディアが彼に「沈黙と努力」を求めるのは、期待の高さの裏返しだが、現状ではローソンに遅れをとり、評価を下げつつある。
今週末のメキシコGPではルーキーのリンドブラッドがフリー走行1回目に登場するが、レッドブル陣営の信頼を確実に集めているのは、安定してポイントを持ち帰る角田裕毅だ。
“まだ十分ではない”というメキースの言葉は、叱咤であると同時に、さらなる成長への期待の表れでもある。
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