角田裕毅に試練続く “毒杯”レッドブルF1セカンドシートの過酷な現実
マックス・フェルスタッペンのチームメイトを誰にするか――この問題において「変化は休暇と同じくらい素晴らしい」などということはない。

リアム・ローソンは、その「毒杯」たるレッドブルF1のセカンドシートでわずか2戦しか生き残れなかった。そして報道によれば角田裕毅は今季いっぱいまで起用される見込みだが、F1で最も困難な役割とされるこの座での彼の時間は、決して「虹とユニコーンが舞う」ようなものではなかった。

マックス・フェルスタッペンのチームメイトを務めることは簡単ではない。元レッドブルのダニエル・リカルド(2016~18年)、ピエール・ガスリー(2019年)、アレックス・アルボン(2019~20年)、セルジオ・“チェコ”・ペレス(2021~24年)、そしてリアム・ローソン(2025年)もそうだったように、角田裕毅も不確かな未来に直面している。なぜなら、コンスタントなトップ10入りすらままならないからだ。

リアム・ローソンが辛辣な形でシートを失ったのは、RB21を操るのに苦戦したためだった。そして角田裕毅のパフォーマンスは当初わずかに改善されたものの、レッドブルが待ち望んでいた「銀の弾丸」では決してなかった。

先週末のスペインGPでは、角田裕毅は予選で最下位に沈んだ。しかしピットレーンスタートから13位まで順位を回復する健闘を見せた。2台がリタイアしていたため、オリー・ベアマンがリアム・ローソンとの接触で10秒ペナルティを受けていなければ、角田裕毅は14位だったことになる。

なお、角田裕毅は開幕から2戦目でリアム・ローソンに代わってレッドブル入りしている。

F1プレゼンターのサイモン・レイズンビーは、クリスチャン・ホーナー代表がスペインでその問いに答えることを拒否したにもかかわらず、角田裕毅が今シーズンを最後まで走りきるだろうと考えている。

「ホーナーは何の答えも持っていなかったし、あのレースはセカンドシートに座った歴代ドライバーたちと同じくらい悪く見えた」とサイモン・レイズンビーはSky Sports F1のポッドキャストで語った。

「彼はシーズン最後までは走るだろうけど、今は本当に精神的にきつい状況にあるはずだ」

角田裕毅は現在10ポイントを獲得しているが、そのうち3ポイントは中国GPのスプリントでレーシングブルズに在籍中に6位に入って得たものだ。

リアム・ローソンとのスワップ以降、グランプリの予選では角田裕毅は4戦中3戦でリアム・ローソンに敗れている。

レッドブルでのデビュー戦となった日本GPでは12位、バーレーンでは9位に入り、マックス・フェルスタッペン以外のレッドブルドライバーとして初めてポイント(2点)を獲得した。

その後、サウジアラビアでは1周目にクラッシュし、マイアミGPでは1点、イモラでは予選クラッシュからの復帰で1点、そして中国スプリントで3点を加えた。

しかし直近のモナコとスペインの2戦では、角田裕毅はトップ10圏内にすら近づくことができていない。

リアム・ローソンは現在4ポイントを保持している。すべてはモナコGPでの獲得だが、それ以外のレースでは不運や、レーシングブルズによる戦略ミスの犠牲にもなっていた。

角田裕毅 レッドブル F1

ただし、角田裕毅であれリアム・ローソンであれ、いずれにせよ2024年末にマックス・フェルスタッペンのチームメイトを解任されたセルジオ・ペレスも、コンストラクターズ選手権で十分な貢献ができなかったという理由で同じ運命をたどっている。

2024年シーズンが進むにつれ、セルジオ・ペレスのパフォーマンスはさらに悪化していったが、それでもRB21では今の二人よりも競争力があった。

Sky Sports F1のコメンテーター、デイビッド・クロフトも、角田裕毅が今季を完走するだろうという見方を示している。ただし、早急な改善が必要だと警告した。

「問題を解決する術はきっと見つけられるはずだが、急いで見つける必要がある。レッドブルは彼にポイントを取ってほしいと思っているからね」とデイビッド・クロフトは語った。

もっとも、マクラーレンがすでに362ポイントを獲得し、レッドブルが144ポイントでスクーデリア・フェラーリやメルセデスF1にも劣る4位に沈んでいる状況を鑑みると、レッドブルはすでにコンストラクターズ選手権を諦めている可能性もあるとデイビッド・クロフトは認めた。

ただし、すでにF1で96戦の経験を積んでいる角田裕毅であれば、状況を打破する手段を見つけられるはずだと語っている。

「シミュレーターに戻って、データを徹底的に分析することだ。解決のヒントはデータの中にある。そして、今のクルマをもっと上手く操れるようにならなければいけない」とデイビッド・クロフトは語った。

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カテゴリー: F1 / 角田裕毅 / レッドブル・レーシング