ウィリアムズF1代表 「アレックス・パロウの獲得を本気で検討していた」

昨シーズンに3度目のインディカー王座を獲得し、今年はインディアナポリス500の制覇も果たしたパロウは、F1グリッドの座を狙う有力候補として浮上していた。
だがボウルズによれば、28歳のパロウは欧州のジュニアカテゴリーや日本のスーパーフォーミュラで築いた輝かしい経歴を持ちながらも、いくつかの要因により交渉は進展しなかったという。
本気で検討されたが、障害も大きかった
「パロウはものすごく速い」とボウルズは独Auto Motor und Sport誌に語った。「我々のリストには載っていた。だが問題が2つあった」
「彼の実績を考えると、安価な起用にはならない。彼の希望額は500万ドル以上のレンジにあると思う」
「そして、1回のテストや金曜フリー走行で済むような状況ではない」
「パロウがF1に来るには、アントネッリやオリバー・ベアマンと同じプログラムをこなさなければならなかった。彼らは旧型F1マシンで1万km近くを走り込んでいる」
「つまりパロウも1年を費やし、完全にF1の準備に専念しなければならなかった。それは彼の今の地位を考えると、あまり現実的とは言えないだろう」
現在最も多くのタイトルを持つ現役スペイン人レーシングドライバーとなったパロウの実力は疑いようがないが、インディカーで築いた確固たる地位、そしてF1転向に必要な膨大な準備期間が、今の彼にとっては大きなハードルだった。

F1入り目前だったパロウ
それでもボウルズの説明が示すように、パロウがF1に接近していたことは確かだ。
パロウはマクラーレンとともに複数回のプライベートテストを経験し、そのたびにF1関係者やエンジニアを感心させてきた。
一時はインディカーのアロー・マクラーレンでレースに出場する予定だったが、最終的にはチップ・ガナッシ・レーシングに残留。この決断がマクラーレンとの契約違反として訴訟問題に発展した経緯もある。
そして結局、ウィリアムズのシートを勝ち取ったのはカルロス・サインツだった。だがボウルズの言葉からは、アレックス・パロウがどれほどF1の扉に近づいていたか、そして彼がいかに米国モータースポーツ界において大きな存在であるかが改めて浮き彫りとなった。
カテゴリー: F1 / ウィリアムズ・レーシング / インディカー