WRC トヨタ ラリー・ポルトガル
2019年 FIA 世界ラリー選手権(WRC) 第7戦 ラリー・ポルトガルの競技2日目となるデイ2が6月1日(土)に行なわれ、TOYOTA GAZOO Racing World Rally Teamのオット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ組(ヤリスWRC 8号車)が総合1位の座を守った。デイ1総合3位のクリス・ミーク/セブ・マーシャル組(5号車)は、総合2位に上がったが、総合2位につけていたヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ組(10号車)は、サスペンショントラブルでデイリタイアとなり、総合11位に順位を下げた。

ラリー・ポルトガルのデイ2は、サービスパークが置かれるマトジニョスの東北エリアで3本のステージを各2回走行、その合計距離は160.70kmと、3日間で最長の1日だった。前日に続き快晴に恵まれ気温も上昇。路面はドライコンデイションとなった。デイ1で総合2位のラトバラに17.3秒差をつけて首位に立ったタナックは、デイ2オープニングのSS8でブレーキシステムに問題が発生し、遅れをとった。しかし、リエゾン(移動区間)で応急処置を行ない、自力で問題を解決して走行を続けた。午後1本目のSS11ではベストタイムを刻み好調を保ったが、デイ2最後のSS13でサスペンションに不具合が発生。しかし、タナックは遅れを最小限に留め、首位の座を守り切った。

デイ1で総合3位につけたミークは、デイ2最初のSS8でベストタイムを記録。午後は3ステージ連続でセカンドベストタイムを刻むなど、1日を通して安定した速さを示した。SS12ではラトバラを抜いて総合2位に浮上し、今季初表彰台に大きく近づいた。ラトバラは、午前中のステージで2本のベストタイムを記録し、首位タナックとの差を一時5.1秒まで縮めた。しかし、午後のステージでサスペンションに問題を抱えて大きく遅れ、最終ステージを前に走行を断念。デイリタイアとなったが、総合では11位につけており、明日のデイ3にはラリー2規定に基づき再出走する。

トミ・マキネン(チーム代表)
信じられないくらい難しく、色々なことが起きた1日でした。それでも依然ワンツー体制を維持しており、最終日に向けてチームはいい位置につけています。ヤリ-マティは午前中とても速く、彼が良い結果を渇望しているのを知っていたので、本当に残念です。オットもまた同様の問題に遭遇しましたが、彼の場合は幸運にも1日の終わりに近かったので、あまり大きな影響を受けませんでした。彼らのクルマに起きた問題について、これから慎重に調査を進めて原因を究明し、次のサルディニアに向けて再発防止に努めます。現状、ライバルとのタイム差はあまり大きくないですが、我々のドライバーは自信を持っていますし、最後まで戦い続けることを楽しみにしているようです。戦いは、明日もまだ続きます。

オット・タナック (ヤリスWRC 8号車)
本当に大変な1日でした。最初のステージでブレーキに問題が起きたので、リエゾンで一生懸命修理に取り組み、ロングステージでは何とか普通に走れるようになりました。そして、日中のサービスではチームが完璧な状態に直してくれました。午後のステージは今回のラリーでもっとも難易度が高く、多くの石がそこら中に転がる、非常に荒れた路面コンディションだったので、クルマに大きな負担がかかりました。残念ながら最後のステージで問題を抱えてしまいましたが、最後まで走り切れたのは不幸中の幸いです。我々は依然ラリーをリードしていますが、油断はできません。日曜日は勝負がほぼ決まり退屈に感じることもあるのですが、今回に関しては最後まで攻め続けなければなりませんし、そのようなバトルをするのが楽しみです。我々のクルマには速さと、勝つ力が備わっていると思います。

ヤリ-マティ・ラトバラ (ヤリスWRC 10号車)
午前中のステージはハードタイヤを2本使いましたが、その効果は非常に大きく、思い切り攻めることができました。自分の速さに満足でき、クルマのフィーリングが良かったので、リズムを感じながら楽しく走れました。しかし、午後の1本目のステージでクルマのフロントに違和感を覚え、何か問題が起きたと理解しました。自力で応急処置を試み走り続けたのですが、道がとても荒れていたため、最終的には壊れてしまいました。ポディウムを狙える位置につけていたので、とてもフラストレーションを感じます。ただし、少なくとも速さはあったので、それはモチベーションの原動力になりますし、これからも戦い続けます。明日は、少しでもポイントを得られるように、全力を尽くして走ります。

クリス・ミーク (ヤリスWRC 5号車)
今日は自分にとって本当に良い日でした。おそらく、このクルマで走った中では最良の日だったと思います。今朝は運転がとても楽しく、昨日よりもはるかに良いリズムで走れました。これまで、同じステージを2回目に走る際は苦戦しましたが、今日の午後はとても良いペースで走れたので、それについても満足しています。順位を守るため思い切り攻めなくてはならない状況だったので、全力で走りました。ヤリ-マティはとても好調だったので、あのようなことになってしまったのは本当に残念です。今回は、特にクルマにとって非常に過酷なラリーだと思います。気温は高く、路面は乾き、2回目の走行時はこれまで見たことがないくらい酷く荒れ、最悪ともいえるコンディションでした。オットと私が、このままワンツーフィニッシュすることがチームにとって重要なので、明日も全力で戦います。

ラリー・ポルトガル デイ2の結果
1 オット・タナック/マルティン・ヤルヴェオヤ (トヨタ ヤリス WRC) 2h47m23.1s
2 クリス・ミーク/セブ・マーシャル (トヨタ ヤリス WRC) +4.3s
3 ティエリー・ヌービル/ニコラス・ジルソー (ヒュンダイ i20クーペ WRC) +9.2s
4 セバスチャン・オジエ/ジュリアン・イングラシア(シトロエン C3 WRC) +21.0 s
5 エサペッカ・ラッピ/ヤンネ・フェルム (シトロエン C3 WRC) +1m37.5s
6 テーム・スニネン/マルコ・サルミネン (フォード フィエスタ WRC) +2m02.7s
7 エルフィン・エバンス/スコット・マーティン (フォード フィエスタ WRC) +6m10.4s
8 カッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン (シュコダ ファビア R5) +8m33.8s
9 ヤン・コペツキ/パヴェル・ドレスラー (シュコダ ファビア R5) +9m35.3s
10 ピエール-ルイス・ルーベ/ヴィンセント・ランデ (シュコダ ファビア R5) +10m04.8s
11 ヤリ-マティ・ラトバラ/ミーカ・アンティラ (トヨタ ヤリス WRC) +10m52.5s

明日のステージ情報
競技3日目最終日となる6月3日(日)のデイ3は、サービスパークの東北エリアで5本のグラベルステージが行なわれる。そのうち、SS17の再走ステージであるSS20「ファフェ2」は、トップ5タイムを記録したドライバーおよびコ・ドライバーに対し、ボーナスの選手権ポイントが与えられる「パワーステージ」に指定されている。5本のSSの合計距離は51.77km、リエゾン(移動区間)も含めた1日の総走行距離は276.39kmとなる。

注目のステージ
SS17/20 ファフェ 全長11.18km

ミーカ・アンティラ(ヤリスWRC 10号車 コ・ドライバー)
ファフェは、ラリー・ポルトガルの象徴ともいえるステージです。路面のコンディションは良く、それほどパンクのリスクを負うことなく走れます。途中、ふたつのジャンプがありますが、最後のジャンプはとても有名で人気があります。直前できちんとブレーキを踏んで減速する必要があり、もしフラットアウトで行ったら、それこそ本当に飛んでしまいます! また、ラリーの最後を飾るパワーステージとしても、非常に良いステージだと思います。

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カテゴリー: F1 / トヨタ / WRC (世界ラリー選手権)