WECバーレーン8時間:8号車優勝でトヨタがマニュファクチャラーズ王座6連覇
11月2日(土)バーレーン・インターナショナル・サーキットでFIA世界耐久選手権(WEC)の最終戦バーレーン8時間レースの決勝が行われ、トヨタ(TOYOTA GAZOO Racing/TGR)は、多くの困難に見舞われた波乱のレースを乗り越え、終盤のスリリングな逆転という劇的な幕切れで制し、今季3勝目。この勝利によりTGRは6シーズン連続となるWECのマニュファクチャラーズ選手権チャンピオンを獲得した。
2台のGR010 HYBRIDは予選で最前列グリッドを独占してスタートし、優勝すれば自力でマニュファクチャラーズタイトルを決められるという状況の中、中盤までは共にそれぞれの局面でレースをリードすることもあった。しかし残り1時間半の局面で、チームはコース上に1台しか残らない状態で終盤を迎え、何度かトラブルに見舞われ10位へと順位を落とした。
しかし、チームの素晴らしいチームワークとセバスチャン・ブエミの圧倒的なドライビングで目覚ましい追い上げを見せ、ブレンドン・ハートレー、平川 亮と共にドライブしたGR010 HYBRID 8号車が大混戦のシーズン最終戦を制し、TGRはポルシェから2ポイント差で6シーズン連続のマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得した。
小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースのGR010 HYBRID 7号車は2番手からスタートし、レース中盤には首位に浮上。小林とデ・フリースにとって逆転ドライバーズチャンピオン獲得の絶対条件であった優勝も見える位置でレースを戦っていたが、燃料ポンプのトラブルに見舞われ、無念のリタイアを余儀なくされた。
バーレーン8時間レースのチェッカーが振られ、10か月近くにわたった4大陸8戦、合計72時間のWEC2024年シーズンが幕を閉じた。TGRは多くのハイパーカーによる激戦が繰り広げられた今季、3勝を含む5回の表彰台、2回のポールポジションという結果を成し遂げ、マニュファクチャラーズ選手権で190ポイントを獲得しチャンピオンに輝いた。このエキサイティングな1年を終え、TOYOTA GAZOO Racingは「ポルシェ6号車のケビン・エストレ、アンドレ・ロッテラー、ローレンス・バンスールの新ドライバーズチャンピオンを祝福するとともに、WECに参戦したすべてのドライバー、そしてチームの皆様の、その記憶に残るシーズンへの貢献に感謝いたします」と語った。
現地時間午後2時、砂漠の強い日差しの下で8時間にわたる決勝のスタートが切られた。ポールポジションの8号車はブエミがスタートを担当し、大きな波乱もなく1周目を終えた。しかし、スタートから僅か18分後、LMGT3車両に後方から追突されスピンを喫し、7位へと大きくポジションダウン、チームは序盤から大きな困難に直面することになった。それでもブエミは挽回していき、スタートから2時間後、5位でハートレーへと交代した。
ハートレーとその後を引き継いだ平川は、タイヤ摩耗に苦しんだものの、トップ6をキープ。長い8時間レースで優勝争いに生き残るために全力を尽くして戦い続けた。レースは折り返しを過ぎたところで2度のセーフティカー導入により各車間のギャップが縮まり、18台のハイパーカーによる争いがリセットされることとなった。
残り1時間半ほどでセーフティカーからの再スタートが切られたとき、ブエミは10位へと順位を落としていたが、この時点で首位との差はわずか15秒。そこからブエミは世界チャンピオン獲得へ向け信じられないような追い上げを開始、次々にライバルを追い抜き、素晴らしいピット戦略にも助けられ、最後のピットストップを終えた時点で、2位まで浮上して見せた。
首位で逃げるポルシェ5号車との差をみるみる縮めていったブエミは、残り30分を切った頃で首位を奪取。その後もハイペースで周回を続け後続を引き離し、最後は2位に29.177秒差をつけてトップチェッカー。8号車にとって今季2度目、バーレーン戦10度目となる優勝を果たした。
一方7号車は、レースの中盤過ぎまで8号車よりも上位で優勝を争っていた。スタートを担当したコンウェイは、1周目を4位で終えた後、3位へとポジションを取り戻して小林へとドライバーチェンジ。ステアリングを握った小林は、日が沈んだバーレーンで劇的なオーバーテイクショーを演じ、2位へとポジションアップを果たした。
しかし、7号車は燃料ポンプのトラブルに見舞われ、スローダウン。ドライバーとエンジニア、そしてメカニックが解決するための努力を続け、それは当初報われたかに見えた。小林のペースは復活し、素早いピットストップでデ・フリースに代わったところで首位へと浮上した。しかし、7号車は再び不調に見舞われスローダウン。残り2時間を切ったところで、7号車は修復のためガレージへと運ばれた。
このトラブル修復には長い時間を要することが予想されたため、チームはチャンピオン獲得とそのために必要な勝利への挑戦を優先する決断をし、7号車をリタイアさせることに決めた。これにより7号車のクルーも8号車の挑戦へのサポートにまわり、チーム一丸となった結果として、世界チャンピオンを獲得することができた。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
はじめに、今季の我々の挑戦を世界中からサポートしてくださった全ての皆様に感謝いたします。マニュファクチャラーズチャンピオンを獲得できたことは素晴らしい成果であり、トヨタの仲間やパートナーの皆様を含めた全員の多大なる努力の賜物です。今日の結果はチームの全員が望んでいたもので、その達成のために誰もが全力を尽くしてくれました。その努力にも感謝しています。8号車の勝利は、今日の素晴らしい戦いぶりにふさわしいものでした。我々の7号車はトラブルに見舞われリタイアとなってしまいました。この原因を究明し、来シーズンはもっと強くなって戻ってきます。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
我々7号車にとっては、厳しい結果となってしまいました。今日の我々は非常に強く、勝てる可能性も見えていましたが、トラブルに見舞われ、残念ながらリタイアせざるを得ませんでした。しかし8号車が勝ってくれたことで、我々の目標であったマニュファクチャラーズチャンピオンは獲得することができました。チームとトヨタにとって、とても嬉しい結果ですし、最後まで力強い走りで見事勝利を勝ち取った8号車には祝福を贈ります。この記念すべき瞬間をみんなで祝いたいと思います。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー)
8号車の見事な勝利でマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得でき、チームにとっては最高のシーズンフィナーレとなりました。もちろん、ドライバーズチャンピオンを争っていたライバルがノーポイントに終わったことと、我々が勝てる位置につけていたことを考えると、複雑な気持ちです。トラブルが無ければ両選手権タイトルを獲得できるチャンスがありましたが、これもモータースポーツではよくあることなので受け入れるしかありません。とは言え、全体的に見れば波瀾万丈で厳しいシーズンを乗り越えてきたチームが今日報われ、嬉しく思います。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
レース途中までの展開が展開だっただけに、優勝できたなんて信じられません。チームがトラブルやペナルティ、不運などあらゆる逆境を乗り越えてチャンピオンを獲得でき、最高の気分です。それこそが我々の目標であり、チームの素晴らしい努力のおかげで成し遂げることができました。一時10位まで後退し、ピットストップでほぼ最後尾に落ちたときにはもうだめかと思いました。しかし、2人のチームメイトがタイヤを温存して走り続けてくれたおかげで、最後はタイヤにアドバンテージを持って追い上げることができました。今日の大一番のレースで、みんなと共に良い仕事を成し遂げることができて、本当にチームを誇りに思います。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
チームのみんな、そしてトヨタのためにも勝つことができて本当に嬉しいです。レース序盤は決して順調ではなく、ミディアムタイヤの選択も上手く行きませんでした。しかし最後にはセブが信じられないようなスティントを見せてくれました。本当に驚くべき走りで、彼こそスターです。トヨタや全てのパートナーの皆様、チームの全てのスタッフに感謝します。この勝利とチャンピオン獲得を目指して戦ってきたので、大きな意味を持つ結果です。シーズン最終戦を勝利で終えて、冬季オフシーズンに入れるのは最高です。
平川亮(8号車 ドライバー)
何という一日でしょう。波瀾万丈のレースでしたが、我々は最後まで諦めることなく、チーム一丸となって戦い続けました。ポールポジションからスタートした我々は、GT車両に追突されるアクシデントなどにも見舞われましたが、全力を尽くして戦い続け、最後はセブが最高の走りで逆境をはねのけてくれました。我々8号車は今シーズン、困難なレースも多かったので、ようやく最後に幸運を引き寄せることができて嬉しいです。シーズンを勝利で締めくくることができたことは素晴らしいですし、チームはもちろん、トヨタとパートナーの皆様にも本当に感謝しています。皆様の多大なる努力のおかげで勝ち取ったチャンピオンだと思います。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)
2台のGR010 HYBRIDは予選で最前列グリッドを独占してスタートし、優勝すれば自力でマニュファクチャラーズタイトルを決められるという状況の中、中盤までは共にそれぞれの局面でレースをリードすることもあった。しかし残り1時間半の局面で、チームはコース上に1台しか残らない状態で終盤を迎え、何度かトラブルに見舞われ10位へと順位を落とした。
しかし、チームの素晴らしいチームワークとセバスチャン・ブエミの圧倒的なドライビングで目覚ましい追い上げを見せ、ブレンドン・ハートレー、平川 亮と共にドライブしたGR010 HYBRID 8号車が大混戦のシーズン最終戦を制し、TGRはポルシェから2ポイント差で6シーズン連続のマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得した。
小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ニック・デ・フリースのGR010 HYBRID 7号車は2番手からスタートし、レース中盤には首位に浮上。小林とデ・フリースにとって逆転ドライバーズチャンピオン獲得の絶対条件であった優勝も見える位置でレースを戦っていたが、燃料ポンプのトラブルに見舞われ、無念のリタイアを余儀なくされた。
バーレーン8時間レースのチェッカーが振られ、10か月近くにわたった4大陸8戦、合計72時間のWEC2024年シーズンが幕を閉じた。TGRは多くのハイパーカーによる激戦が繰り広げられた今季、3勝を含む5回の表彰台、2回のポールポジションという結果を成し遂げ、マニュファクチャラーズ選手権で190ポイントを獲得しチャンピオンに輝いた。このエキサイティングな1年を終え、TOYOTA GAZOO Racingは「ポルシェ6号車のケビン・エストレ、アンドレ・ロッテラー、ローレンス・バンスールの新ドライバーズチャンピオンを祝福するとともに、WECに参戦したすべてのドライバー、そしてチームの皆様の、その記憶に残るシーズンへの貢献に感謝いたします」と語った。
現地時間午後2時、砂漠の強い日差しの下で8時間にわたる決勝のスタートが切られた。ポールポジションの8号車はブエミがスタートを担当し、大きな波乱もなく1周目を終えた。しかし、スタートから僅か18分後、LMGT3車両に後方から追突されスピンを喫し、7位へと大きくポジションダウン、チームは序盤から大きな困難に直面することになった。それでもブエミは挽回していき、スタートから2時間後、5位でハートレーへと交代した。
ハートレーとその後を引き継いだ平川は、タイヤ摩耗に苦しんだものの、トップ6をキープ。長い8時間レースで優勝争いに生き残るために全力を尽くして戦い続けた。レースは折り返しを過ぎたところで2度のセーフティカー導入により各車間のギャップが縮まり、18台のハイパーカーによる争いがリセットされることとなった。
残り1時間半ほどでセーフティカーからの再スタートが切られたとき、ブエミは10位へと順位を落としていたが、この時点で首位との差はわずか15秒。そこからブエミは世界チャンピオン獲得へ向け信じられないような追い上げを開始、次々にライバルを追い抜き、素晴らしいピット戦略にも助けられ、最後のピットストップを終えた時点で、2位まで浮上して見せた。
首位で逃げるポルシェ5号車との差をみるみる縮めていったブエミは、残り30分を切った頃で首位を奪取。その後もハイペースで周回を続け後続を引き離し、最後は2位に29.177秒差をつけてトップチェッカー。8号車にとって今季2度目、バーレーン戦10度目となる優勝を果たした。
一方7号車は、レースの中盤過ぎまで8号車よりも上位で優勝を争っていた。スタートを担当したコンウェイは、1周目を4位で終えた後、3位へとポジションを取り戻して小林へとドライバーチェンジ。ステアリングを握った小林は、日が沈んだバーレーンで劇的なオーバーテイクショーを演じ、2位へとポジションアップを果たした。
しかし、7号車は燃料ポンプのトラブルに見舞われ、スローダウン。ドライバーとエンジニア、そしてメカニックが解決するための努力を続け、それは当初報われたかに見えた。小林のペースは復活し、素早いピットストップでデ・フリースに代わったところで首位へと浮上した。しかし、7号車は再び不調に見舞われスローダウン。残り2時間を切ったところで、7号車は修復のためガレージへと運ばれた。
このトラブル修復には長い時間を要することが予想されたため、チームはチャンピオン獲得とそのために必要な勝利への挑戦を優先する決断をし、7号車をリタイアさせることに決めた。これにより7号車のクルーも8号車の挑戦へのサポートにまわり、チーム一丸となった結果として、世界チャンピオンを獲得することができた。
小林可夢偉(チーム代表 兼 7号車 ドライバー)
はじめに、今季の我々の挑戦を世界中からサポートしてくださった全ての皆様に感謝いたします。マニュファクチャラーズチャンピオンを獲得できたことは素晴らしい成果であり、トヨタの仲間やパートナーの皆様を含めた全員の多大なる努力の賜物です。今日の結果はチームの全員が望んでいたもので、その達成のために誰もが全力を尽くしてくれました。その努力にも感謝しています。8号車の勝利は、今日の素晴らしい戦いぶりにふさわしいものでした。我々の7号車はトラブルに見舞われリタイアとなってしまいました。この原因を究明し、来シーズンはもっと強くなって戻ってきます。
マイク・コンウェイ(7号車 ドライバー)
我々7号車にとっては、厳しい結果となってしまいました。今日の我々は非常に強く、勝てる可能性も見えていましたが、トラブルに見舞われ、残念ながらリタイアせざるを得ませんでした。しかし8号車が勝ってくれたことで、我々の目標であったマニュファクチャラーズチャンピオンは獲得することができました。チームとトヨタにとって、とても嬉しい結果ですし、最後まで力強い走りで見事勝利を勝ち取った8号車には祝福を贈ります。この記念すべき瞬間をみんなで祝いたいと思います。
ニック・デ・フリース(7号車 ドライバー)
8号車の見事な勝利でマニュファクチャラーズチャンピオンを獲得でき、チームにとっては最高のシーズンフィナーレとなりました。もちろん、ドライバーズチャンピオンを争っていたライバルがノーポイントに終わったことと、我々が勝てる位置につけていたことを考えると、複雑な気持ちです。トラブルが無ければ両選手権タイトルを獲得できるチャンスがありましたが、これもモータースポーツではよくあることなので受け入れるしかありません。とは言え、全体的に見れば波瀾万丈で厳しいシーズンを乗り越えてきたチームが今日報われ、嬉しく思います。
セバスチャン・ブエミ(8号車 ドライバー)
レース途中までの展開が展開だっただけに、優勝できたなんて信じられません。チームがトラブルやペナルティ、不運などあらゆる逆境を乗り越えてチャンピオンを獲得でき、最高の気分です。それこそが我々の目標であり、チームの素晴らしい努力のおかげで成し遂げることができました。一時10位まで後退し、ピットストップでほぼ最後尾に落ちたときにはもうだめかと思いました。しかし、2人のチームメイトがタイヤを温存して走り続けてくれたおかげで、最後はタイヤにアドバンテージを持って追い上げることができました。今日の大一番のレースで、みんなと共に良い仕事を成し遂げることができて、本当にチームを誇りに思います。
ブレンドン・ハートレー(8号車 ドライバー)
チームのみんな、そしてトヨタのためにも勝つことができて本当に嬉しいです。レース序盤は決して順調ではなく、ミディアムタイヤの選択も上手く行きませんでした。しかし最後にはセブが信じられないようなスティントを見せてくれました。本当に驚くべき走りで、彼こそスターです。トヨタや全てのパートナーの皆様、チームの全てのスタッフに感謝します。この勝利とチャンピオン獲得を目指して戦ってきたので、大きな意味を持つ結果です。シーズン最終戦を勝利で終えて、冬季オフシーズンに入れるのは最高です。
平川亮(8号車 ドライバー)
何という一日でしょう。波瀾万丈のレースでしたが、我々は最後まで諦めることなく、チーム一丸となって戦い続けました。ポールポジションからスタートした我々は、GT車両に追突されるアクシデントなどにも見舞われましたが、全力を尽くして戦い続け、最後はセブが最高の走りで逆境をはねのけてくれました。我々8号車は今シーズン、困難なレースも多かったので、ようやく最後に幸運を引き寄せることができて嬉しいです。シーズンを勝利で締めくくることができたことは素晴らしいですし、チームはもちろん、トヨタとパートナーの皆様にも本当に感謝しています。皆様の多大なる努力のおかげで勝ち取ったチャンピオンだと思います。
カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)