WEC:トヨタ 2021年 ル・マン24時間レース テストデーレポート
8月15日(日)、フランス・ル・マンのサルト・サーキットで、FIA世界耐久選手権(WEC)第4戦ル・マン24時間レースに向けた公式テストデーが実施され、4連覇を目指すTOYOTA GAZOO Racing(以下TGR)の新型ハイパーカー GR010 HYBRIDが、サルト・サーキットでの記念すべき第一歩を記した。
昨年は行われなかったため2019年以来となる、レース前の日曜日に伝統的に行われてきた事前テストは、チームにとって、レースウィークの前に公道区間を閉鎖して全長13.626kmのサルト・サーキットを実際に走行できる唯一の機会となる。
この日は、2回の合計9時間にわたる練習走行セッションが設けられ、シリーズ最大のイベントへ向けて車両の準備を進めるために、特に重要な一日となる。
今季WECで、ここまで3戦全勝を飾っているTGRの2台のGR010 HYBRIDは、この日の走行を2番手、3番手タイムで終えた。ディフェンディングシリーズチャンピオンのマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスがドライブした7号車がトップと僅か0.225差の2番手、昨年のル・マンウィナーである中嶋一貴とブレンドン・ハートレーが駆る8号車はそこから0.282秒遅れの3番手となった。
GR010 HYBRIDが争うハイパーカークラスのラップタイムは、この日も非常に接近した争いとなり、今季これまでのスパ・フランコルシャン、ポルティマオ、及びモンツァの3戦と同様に、3チームによる激戦を予想させるものとなった。テストデーでの最終的なトップはグリッケンハウスの708号車がマークした3分29秒115だった。
8号車のドライバーであるセバスチャン・ブエミは、同日、ドイツのベルリンで行われたフォーミュラE選手権のシーズン最終戦に出場していたため、このテストデーは欠席し、夕方、ベルリンからル・マンに到着した。
ブエミを除いた5名のドライバーにより、レースウィークへ向けた唯一のテストデーは、晴天の下、現地時間午前9時に開始された。ロペスと中嶋が、GR010 HYBRIDにとって記念すべきサルト・サーキットでの1周目を記し、2台によるテストプログラムが開始された。
ハイパーカー GR010 HYBRIDは、これまでのLMP1車両とは根本的に異なる車両パフォーマンス特性を持つ全く新しい車両ということもあり、チームはいつも以上に準備のための幅広いテストプログラムに注力した。
午前9時から4時間に渡って行われた練習走行1回目のセッションは、2度の赤旗中断により若干走行時間が失われたが、TGRの5人のドライバーは着実に周回を重ね、空力及びメカニカルのセットアップ、エネルギー配分やタイヤに関するデータを収集。特にタイヤでは、3種類のドライ用コンパウンドをサルト・サーキットで初めて評価した。
サルト・サーキットは1周の大部分が公道セクションということもあり、予想通りテスト開始当初は路面が非常に汚れていたが、62台のレース出場車両が周回を重ねて行くうちに路面がクリーンになっていき、ラバーが乗って徐々に状況は改善していった。
8号車を駆るハートレーが、開始から2時間半ほどを過ぎたところで、3分31秒263というこのセッション最速タイムをマーク。このセッションでは、アルピーヌが2番手、コンウェイがベストラップをマークした7号車が3番手につけた。
1時間のインターバルを挟んだ後、5時間に渡って行われた午後のセッションでは、レースコントロール確認のために、25分間に渡るセーフティカー導入のテストも実施された。加えてフルコースイエローのテストも行われたが、それ以外はトラブル無くセッションは進み、チームはスムーズにテストプログラムをこなした。7号車は再びコンウェイが最速タイム、8号車はハートレーのタイムが最速となった。
このテストデーを終えた後、エンジニアは2日間のインターバルで収集したデータを解析し、セッティングの最適化を進めるとともに、メカニックは車両のチェックと再整備を行い、18日(水)午後から行われる公式練習第1回目のセッションに臨むこととなる。
小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)
今日のテストは順調に終わり、満足しています。ハイパーカーで初めてのル・マン走行で、いつものように午前中のコースコンディションはあまり良くなかったものの、その後徐々に改善されていきました。これまでのところGR010 HYBRIDはとても力強く感じます。バランスも悪くないですが、改良の余地はまだ沢山あるので、この後の数日でデータを分析していきます。
マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)
ル・マンに戻ってきて、周回を重ねることができて良かったです。GR010 HYBRIDは好感触で、良い兆候です。我々はこの日、一歩一歩改良を進めました。今日はレースウィークに想定しているコンディションに近かったので、今日得られたデータは車両理解の参考になるはずです。まだまだ学習中で、全ての面で最適化にトライしているところです。最速タイムをマークすることはいつでも嬉しいですが、重要なのは来週からであり、今日はとにかく目の前のことに集中しました。
ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID #7)
ル・マンでのハイパーカー初走行日は、良い一日となり、大きなトラブル無く走行を終えることができました。まだこれから長いレースウィークが待っていますが、最初のテストは終え、この後はあっという間に時間が過ぎていきます。これから水曜日までに、得られたデータを理解するという、最も重要な作業が待っていますが、今のところとても満足しています。GR010 HYBRIDは、まるでル・マンのために生まれた車両のように感じます。いつもそうなのですが、ここル・マンでは車両が生き生きとして、全てのポテンシャルが見られるように感じます。そんなル・マンで走れるというのは本当に最高です。
中嶋一貴(GR010 HYBRID #8)
ル・マンに戻り、新しいGR010 HYBRIDで走ることができて最高です。GR010 HYBRIDは1周目から好調で、ル・マンというコースでの感触を楽しむことができました。今日は長い一日でしたが、時間が経つにつれコース路面はどんどん良くなっていきました。決勝レースへ向けた異なるセットアップやタイヤのテストなど、予定していたプログラムを消化するために、多くの周回をこなすことができました。全体的に見れば今日の結果には満足していますが、パフォーマンスについて語るにはまだ早いです。
ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)
ハイパーカーと共に、サルト・サーキットに戻ってこられて嬉しいです。昨年までここでレースをしていたのとは全く別物のクルマなので、多くのことを学んでいるところです。やっとここル・マンで走ることができたGR010 HYBRIDは本当に水を得た魚のようで、特に高速セクションでは素晴らしく、楽しめた一日でした。今日一日で我々は多くを学びましたし、良い方向へ向かっていると思います。レースウィークが楽しみです。
カテゴリー: F1 / トヨタ / ル・マン24時間レース / WEC (FIA世界耐久選手権)
昨年は行われなかったため2019年以来となる、レース前の日曜日に伝統的に行われてきた事前テストは、チームにとって、レースウィークの前に公道区間を閉鎖して全長13.626kmのサルト・サーキットを実際に走行できる唯一の機会となる。
この日は、2回の合計9時間にわたる練習走行セッションが設けられ、シリーズ最大のイベントへ向けて車両の準備を進めるために、特に重要な一日となる。
今季WECで、ここまで3戦全勝を飾っているTGRの2台のGR010 HYBRIDは、この日の走行を2番手、3番手タイムで終えた。ディフェンディングシリーズチャンピオンのマイク・コンウェイ、小林可夢偉、ホセ・マリア・ロペスがドライブした7号車がトップと僅か0.225差の2番手、昨年のル・マンウィナーである中嶋一貴とブレンドン・ハートレーが駆る8号車はそこから0.282秒遅れの3番手となった。
GR010 HYBRIDが争うハイパーカークラスのラップタイムは、この日も非常に接近した争いとなり、今季これまでのスパ・フランコルシャン、ポルティマオ、及びモンツァの3戦と同様に、3チームによる激戦を予想させるものとなった。テストデーでの最終的なトップはグリッケンハウスの708号車がマークした3分29秒115だった。
8号車のドライバーであるセバスチャン・ブエミは、同日、ドイツのベルリンで行われたフォーミュラE選手権のシーズン最終戦に出場していたため、このテストデーは欠席し、夕方、ベルリンからル・マンに到着した。
ブエミを除いた5名のドライバーにより、レースウィークへ向けた唯一のテストデーは、晴天の下、現地時間午前9時に開始された。ロペスと中嶋が、GR010 HYBRIDにとって記念すべきサルト・サーキットでの1周目を記し、2台によるテストプログラムが開始された。
ハイパーカー GR010 HYBRIDは、これまでのLMP1車両とは根本的に異なる車両パフォーマンス特性を持つ全く新しい車両ということもあり、チームはいつも以上に準備のための幅広いテストプログラムに注力した。
午前9時から4時間に渡って行われた練習走行1回目のセッションは、2度の赤旗中断により若干走行時間が失われたが、TGRの5人のドライバーは着実に周回を重ね、空力及びメカニカルのセットアップ、エネルギー配分やタイヤに関するデータを収集。特にタイヤでは、3種類のドライ用コンパウンドをサルト・サーキットで初めて評価した。
サルト・サーキットは1周の大部分が公道セクションということもあり、予想通りテスト開始当初は路面が非常に汚れていたが、62台のレース出場車両が周回を重ねて行くうちに路面がクリーンになっていき、ラバーが乗って徐々に状況は改善していった。
8号車を駆るハートレーが、開始から2時間半ほどを過ぎたところで、3分31秒263というこのセッション最速タイムをマーク。このセッションでは、アルピーヌが2番手、コンウェイがベストラップをマークした7号車が3番手につけた。
1時間のインターバルを挟んだ後、5時間に渡って行われた午後のセッションでは、レースコントロール確認のために、25分間に渡るセーフティカー導入のテストも実施された。加えてフルコースイエローのテストも行われたが、それ以外はトラブル無くセッションは進み、チームはスムーズにテストプログラムをこなした。7号車は再びコンウェイが最速タイム、8号車はハートレーのタイムが最速となった。
このテストデーを終えた後、エンジニアは2日間のインターバルで収集したデータを解析し、セッティングの最適化を進めるとともに、メカニックは車両のチェックと再整備を行い、18日(水)午後から行われる公式練習第1回目のセッションに臨むこととなる。
小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)
今日のテストは順調に終わり、満足しています。ハイパーカーで初めてのル・マン走行で、いつものように午前中のコースコンディションはあまり良くなかったものの、その後徐々に改善されていきました。これまでのところGR010 HYBRIDはとても力強く感じます。バランスも悪くないですが、改良の余地はまだ沢山あるので、この後の数日でデータを分析していきます。
マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)
ル・マンに戻ってきて、周回を重ねることができて良かったです。GR010 HYBRIDは好感触で、良い兆候です。我々はこの日、一歩一歩改良を進めました。今日はレースウィークに想定しているコンディションに近かったので、今日得られたデータは車両理解の参考になるはずです。まだまだ学習中で、全ての面で最適化にトライしているところです。最速タイムをマークすることはいつでも嬉しいですが、重要なのは来週からであり、今日はとにかく目の前のことに集中しました。
ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID #7)
ル・マンでのハイパーカー初走行日は、良い一日となり、大きなトラブル無く走行を終えることができました。まだこれから長いレースウィークが待っていますが、最初のテストは終え、この後はあっという間に時間が過ぎていきます。これから水曜日までに、得られたデータを理解するという、最も重要な作業が待っていますが、今のところとても満足しています。GR010 HYBRIDは、まるでル・マンのために生まれた車両のように感じます。いつもそうなのですが、ここル・マンでは車両が生き生きとして、全てのポテンシャルが見られるように感じます。そんなル・マンで走れるというのは本当に最高です。
中嶋一貴(GR010 HYBRID #8)
ル・マンに戻り、新しいGR010 HYBRIDで走ることができて最高です。GR010 HYBRIDは1周目から好調で、ル・マンというコースでの感触を楽しむことができました。今日は長い一日でしたが、時間が経つにつれコース路面はどんどん良くなっていきました。決勝レースへ向けた異なるセットアップやタイヤのテストなど、予定していたプログラムを消化するために、多くの周回をこなすことができました。全体的に見れば今日の結果には満足していますが、パフォーマンスについて語るにはまだ早いです。
ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)
ハイパーカーと共に、サルト・サーキットに戻ってこられて嬉しいです。昨年までここでレースをしていたのとは全く別物のクルマなので、多くのことを学んでいるところです。やっとここル・マンで走ることができたGR010 HYBRIDは本当に水を得た魚のようで、特に高速セクションでは素晴らしく、楽しめた一日でした。今日一日で我々は多くを学びましたし、良い方向へ向かっていると思います。レースウィークが楽しみです。
カテゴリー: F1 / トヨタ / ル・マン24時間レース / WEC (FIA世界耐久選手権)