トヨタ、ハイパーカー『GR010 HYBRID』でシーズン前テスト完了 / WEC 2021年 プロローグ・テスト
トヨタは、4月26日(月)と27日(火)の2日間にかけて、ベルギーのスパ・フランコルシャン・サーキットで行われた2021年シーズンFIA世界耐久選手権(WEC)プロローグ・テストを完了した。

今季より投入される新型のハイパーカー『GR010 HYBRID』は、26日(月)のプロローグ・テスト初日に、新たなレギュレーション下におけるライバル車両と初めて対峙することとなった。

トヨタはこのテストで、準備していた多くのテスト項目をこなした。今回の主な目的は、この週末に迫った2021年開幕戦スパ・フランコルシャン6時間レースへ向けた、車両ハンドリングとセットアップの改良だった。

昨シーズンの世界チャンピオンである小林可夢偉、マイク・コンウェイ、ホセ・マリア・ロペスの3名はGR010 HYBRID 7号車、昨年のル・マン24時間レース覇者であるセバスチャン・ブエミ、中嶋一貴、ブレンドン・ハートレーの3名は8号車のステアリングを握った。

トヨタは冬季オフシーズン中のテストでまずGR010 HYBRIDの特性を把握し、その後セッティングの微調整を行った上で、2021年WECシーズン開幕前公式イベントとなる、このプロローグ・テストに臨み、また、このテストは新たなハイパーカーが他の全てのカテゴリーの車両と共にコースを走る初の機会にもなった。

このテストには合計35台が参加。この中には、ハイパーカーカテゴリーのGR010 HYBRIDと直接のライバルとなるアルピーヌのLMP1カー、そしてLMP2プロトタイプカーと市販車ベースのGTカーまで、様々な性能レベルの車両が含まれる。

26日(月)のテストセッションでは、7号車が油圧及び電気系のトラブルで走り出しが遅れ、パーツ交換のためピットガレージで時間を多く費やしてしまった。一方で8号車は、GR010 HYBRIDで初めて走るスパ・フランコルシャンでのタイヤ評価やセットアップ比較のために忙しい日となった。

GR010 HYBRID 7号車にとって初日は厳しいものとなったが、2日目の27日(火)は全てのドライバーが走行し、GT車両との接触で修復に若干の時間を取られたものの、セットアップ及びタイヤ評価を順調にこなした。

この2日間を通して、LMP2車両がハイパーカーカテゴリーと同等の速いラップタイムを記録し、総合トップタイムもLMP2車両だった。これは新たなハイパーカーの性能域が、昨年までのLMP1カーとは異なることを示している。

トヨタは今回のプロローグ・テスト後スパ・フランコルシャンに留まり、28日(水)もシーズンを迎える開幕戦での走行セッションへ向けた準備を進めていく。開幕戦スパ6時間レースは29日(木)に練習走行が開始され、30日(金)には練習走行のあとに予選が行われる。ハイパーカー新時代の幕を開ける、6時間の決勝レースは5月1日(土)の現地時間午後1時半(日本時間午後8時半)にグリーンフラッグが振られる。

小林可夢偉(GR010 HYBRID #7)
スパに戻って来て、ようやくシーズンのスタートを切ることができて素晴らしい気分です。我々7号車にとってはタフな2日間でしたが、大変な作業でコースへと戻してくれたメカニックとエンジニアに感謝しています。月曜日、車両がガレージにいるのを見るのはもどかしかったですが、彼らは決して諦めずに修理してくれて、おかげで最終的には決勝レースに役立つ有用なデータを得ることができました。チームとして多くを学びましたし、車両のバランス改善にもとても役立ちました。

マイク・コンウェイ(GR010 HYBRID #7)
我々7号車は当初ガレージで待機という厳しいスタートとなりましたが、メカニックの素晴らしい動きでコースに戻ることができ、幾つかトラブルもあったものの、2日目は多くの走行をこなすことができました。バランスも良く、レースペースで重要な安定性や信頼性への作業も進められました。2日目が順調だったおかげで多くのデータを得られたので、それを活かして木曜日からの走行でさらに改良を進めたいと思っています。

ホセ・マリア・ロペス(GR010 HYBRID #7)
レースの現場に戻ることができて本当に嬉しいです。もうすぐ5月になろうかという時期で、昨年の最後のレースからずいぶん長い時間が経ちました。耐久レースはタフなスポーツで、我々は常にもっと多くの周回を重ねたい、更なる準備をしたいと望んでいるものですが、クルマに乗っている時間は順調でしたし、感触も良かったです。他の車両と一緒に走ることのできたこのテストは有意義でした。1台でコースを走っていると、常に同じラインで、同じ場所でブレーキングすることになります。多くの他の車両と走るとそれは不可能で全く別物になりますし、シーズンに向けてとても良いトレーニングになりました。

中嶋一貴(GR010 HYBRID #8)
プロローグ・テストは、他の多くの車両と一緒にコースを走るチャンスという意味でも、我々のオフシーズンテストにおいてとても重要な役割を果たしています。決勝レースへの準備の段階で、他の車両と一緒にテストする方が良いのは明らかです。単独走行では、遅い車両への対応や、タイヤのパフォーマンスを適切に保つことを学ぶのが難しいです。この2日間のテストでも、多くの接触やアクシデントが発生したように、多くのカテゴリーの混走は容易ではありませんが、レースのためにはこのような練習が必要です。

セバスチャン・ブエミ(GR010 HYBRID #8)
2日間を通して改良のために様々な取り組みを試し、多くのデータを得ることができました。天候がどうなるかわかりませんが、週末のレースでさらに力強いパフォーマンスを見せられるよう、クルマの改良に全力を尽くします。最後のレースからずいぶん時間が経ってしまったこともあり、容易ではない他カテゴリーの車両との走行の練習が少しでもできたのは良かったです。この2日間、コース上で多くのアクシデントが発生しましたが、我々の車両はトラブル無く進めることができたので、あとは決勝レースへ向けての改善に集中するだけです。

ブレンドン・ハートレー(GR010 HYBRID #8)
ようやくWECのパドックに活気が戻り、コース上に全ての車両が並んでいるのを見られて最高です。この2日間のプロローグ・テストは好天に恵まれました。スパ・ウェザーが変わりやすいのはよく知っていますが、週末までこのまま天候がもってくれることを祈っています。我々はオフシーズンのテストや準備で多くの時間を費やしてきましたが、今回がGR010 HYBRIDにとって初めて他のカテゴリーとの混走だったので、その中で順調に走れて良かったです。ハイパーカー時代としての新たなシーズン開幕が楽しみです。

WEC プロローグ・テスト 2日間総合結果(総合順位)
順位No.ドライバー名チーム/車種周回ベストタイム
126ロマン・ルシノフ
フランコ・コラピント
ニック・デ・フリース
G-DRIVE RACING/
Aurus 01-Gibson
2332:04.168
222フィリップ・ハンソン
ファビオ・シェーラー
フィリペ・アルバカーキ
ユナイテッド・
オートスポーツ/
Oreca 07-Gibson
1972:04.284
338ロベルト・ゴンザレス
アントニオ・フェリックス・ダ・コスタ
アンソニー・デビッドソン
イオタ/
Oreca 07-Gibson
2182:04.582
48セバスチャン・ブエミ
中嶋一貴
ブレンドン・ハートレー
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
2052:04.669
57マイク・コンウェイ
小林可夢偉
ホセ・マリア・ロペス
TOYOTA GAZOO Racing/
トヨタ GR010 HYBRID
852:04.708
629フリッツ・ヴァン・イアード
ギド・ヴァン・デル・ガルデ
ヨブ・ファン・ウィタート
レーシング・チーム・
ネーデルランド/
Oreca 07-Gibson
1382:04.775


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カテゴリー: F1 / トヨタ / WEC (FIA世界耐久選手権)