F1 トロロッソ ホンダF1 モナコグランプリ 2018年のF1世界選手権 本田技研工業
トロロッソ・ホンダのドライバーを務めるピエール・ガスリーとブレンドン・ハートレー、ホンダF1のテクニカルディレクターを務める田辺豊治が、2018年のF1世界選手権 第6戦 モナコGPへの意気込みを語った。

今年、トロロッソ・ホンダはF1バーレーンGPでのピエール・ガスリーの4位、F1アゼルバイジャンGPでのブレンドン・ハートレーの10位と2回のポイントフィニッシュしか果たせておらず、13ポイントの獲得でコンストラクターズ選手権8位に沈んでいる。

今週末は伝統の一戦、F1モナコGPを迎える。低速コーナーが多く、レースでのオーバーテイクが難しいモナコの市街地コースでは予選の結果が重要となる。また、マシンの間際に迫るガードレールとタイトなコーナーという厳しい環境で直近6年のセーフティカー出動率は100%を誇り、一切のミスは許されない。そこは両ドライバーも重々承知している。

ピエール・ガスリー
「モナコではジュニア・フォーミュラ時代に走ったことがありますが、正直に言ってしまえばあまり運には恵まれてきませんでした。何度もひどい目にあったことがありますが、それでもモナコは大好きなトラックなので、今年はそうならないことを祈っています!ここでの予選は、セッションを通してウォールにギリギリまで近づきながら時速300㎞以上で周回するため、シーズンを通して最もエキサイティングなものになります。毎周、パフォーマンスを限界まで追求しながら走行する感覚は、ほかでは味わえません。しかし、少しのミスも許されないという厳しい一面もあります。少しでも遅くブレーキングするか、ちょっとでも壁に近づきすぎれば、そのままウォールに突っ込んでしまいますから。だからこそ、ここで走るのは刺激的なんです。予選は大好きですが、レースはドライバーにとって試練の連続です。ここではオーバーテイクするのが非常に難しいため、戦略が全てです。また、最初から最後まで高い集中力をキープし続ける必要もあります。例え後方からのスタートになっても、レースの終盤でだれかがミスをすれば、ポジションを上げるチャンスがあるわけですからね。常にあらゆる機会を逃さないよう、備えておく必要があります。ここでのレースは長く、フラストレーションもたまりやすいと言えるでしょう。前方のマシンが自分より遅くても、前を走るドライバーがうまくポジションを守ってさえいれば、トラック幅が狭いため、オーバーテイクするのは困難です。こうしたさまざまな要因により、モナコでのレースは非常に難しいものとなっています。モナコではドライバーの腕がモノを言うと言われますが、トラックの特性や路面のバンプを考慮すれば、速いマシンを持っていることもやはり重要です。もっとも、上手いドライバーはレースの勝敗を分けるコンマ数秒をきっちり上げてくる腕を持っていますけどね。路面は週末を通して刻一刻と変化するので、ドライバーは注意深く走行する必要がありますが、同時に着実にペースを上げ、土曜日に行われる予選では最も速いセッティングを確立していなくてはいけません。モナコはある意味、クレイジーなサーキットだと思います。現地の人でも50km以上は出さないところを、レース中のドライバーたちは時速300km以上で駆け抜けていくんですから。でもそこが同時に大好きで、ここで走っているとアドレナリンが全開になるんです。レース以外にもいろいろな仕事がありますが、週末はうまく切り替えて、レースに集中できるはずです。僕は、パーティーのような雰囲気や、沖に何艘も浮かんでいるヨットなど、モナコGPのすべてが大好きなんです。だれにとっても楽しいイベントだと思います。ドライバーとしては、日曜日に好リザルトを獲得できればよりいいですね。これまでは、フランス人ドライバーにとって、ここモナコがホームグランプリに最も近いと言われてきました。今シーズンは、フランスのポール・リカール・サーキットがカレンダーに加わっているので、モナコは第二のホームという感じです」

ブレンドン・ハートレー
「実は、これまで3年半の間、モナコに住んでいます。レースで使われる市街地に住んでいるので、僕の家からもトラックが見えるぐらいです。ここモナコは、F1カレンダーのハイライトの一つで、ここでレースに参戦することをずっと夢見てきました。ニュージーランドが僕のホームですが、妻のサラやすばらしい友人たちとここで長い時間を過ごしてきたので、モナコは僕にとっての第二の故郷のような存在です。なので、今週末はホームレースのような気分ですね。自分の家のベッドで起きて、いつもの朝のルーティーンを行えることはいいものです。このサーキットは好きで、ワールドシリーズではルノーから何度か参戦し、3位表彰台を獲得したこともあります。僕が3位に入ったときは、ダニエル・リカルドが優勝していました。またある年は、8番手から何度かオーバーテイクを繰り返して、4位入賞することができました。このような市街地サーキットでのレースは、いつも楽しみにしてます。これまでに何度か走ったことがあり、自分の故郷でもあった場所なので、トラックのことはよく理解しているつもりです。モナコの市街地サーキットは非常にユニークです。伝統的なサーキットですが、いまの時代にこのようなトラックをデザインするのは、難しいのではないでしょうか。多くの歴史が詰まっており、それら全てがファンに愛されています。ここはカレンダー中で最も遅いサーキットですが、F1マシンに乗っていると、実際のスピードよりはるかに刺激的なスピード感覚を味わえます。ウォールから数cmのところを切り込んでいくこのサーキットでいいラップタイムを記録することは、ドライバーにとってこの上ない喜びです。またモナコは、ラップごとに路面が変化するレースの一つでもあります。マシンのグリップ力が上がる予選は非常にスリリングですが、ドライバーは土曜日に向けて、着実にペースを上げていかなければいけません。ウォールからわずか数cmのところを周回し続けるためには確かな自信が必要になりますが、それは同時に多くのF1ドライバーが楽しみにし、また切望していることでもあります。モナコGPは、週末を通して特別な雰囲気に包まれます。過去数年では、レッドブルのエナジーステーションからレースを観戦し、すばらしい時間を過ごすことができました。今年は自分がF1ドライバーとして参戦できるので、例年よりさらに特別な時間となるでしょう。今年はモナコの華やかな魅力を心から楽しむ時間はありませんが、それでも十分にそれは伝わってくるものなのです」

田辺豊治 (ホンダF1 テクニカルディレクター)
「伝統のモナコグランプリは、狭い公道を走るレースはもちろん、サーキット外の華やかな雰囲気やさまざまなイベントも含め、年間のカレンダーの中ではスペシャルかつユニークなレースの一つです。モナコ市街地に設定されたコースには多くの低速コーナーがあり、車体性能とともに、そこでのPUのドライバビリティーがラップタイムに大きな影響を与えます。したがって、普段はあまり使用しないような低回転域でのPUセッティングがキーになります。また、レースでのオーバーテイクが難しいため、エネルギーマネジメントについては予選で結果を残すことにフォーカスしてセッティングを進めます。先週のバルセロナテストでは、PUの各コンポーネント間でのエネルギーバランスの最適化にトライしてきましたが、そこで得たいくつかのアイデアを、ここモナコでも使用できるのではとも考えています。言うまでもなく、今週末に行われるF1モナコグランプリとインディ500という2つのイベントは、それぞれ世界で最も有名なレースの一つです。そして当然、今年の私はF1に集中しなければなりません。とは言え、日曜の夜には琢磨選手が昨年の歴史的な勝利を再現できるかが気になって、やはりインディ500を見てしまう気がしています」

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カテゴリー: F1 / トロロッソ / ホンダF1 / F1モナコGP