ジョルジオ・アスカネリ(トロ・ロッソ テクニカル・ディレクター)
トロ・ロッソのテクニカル・ディレクターであるジョルジオ・アスカネッリが、シーズン序盤を戦ったSTR2B、そしてモナコで導入されたSTR3について語った。

ジョルジオ・アスカネッリ
「2007年仕様のクルマに手を加えたものでシーズンをスタートすることに決めたが、最終的には後悔のない決断になった。現在のポイント獲得数は昨年のトータルに1ポイント足りないだけなのだから、何かが良かったに違いないよ!どの決断にも後悔はない。」

「STR2Bで戦ったシーズン序盤はもっと多くのポイントを獲得しても良かったはずだが、これは、古いクルマを使っていたことが原因だったわけではない。むしろ、走らせ方の問題だったと思うし、サプライヤーの品質管理の問題が原因で予期せぬ信頼性のトラブルが発生した。STR2に付け加えた新しい部品は冬のテストで走行を重ねたものだったが、実際のレースではその部品がいくつかのトラブルの原因になってしまった。しかし、このクルマで戦った開幕5戦でも2ポイントを獲得することができた。」

「STR3はもっと優れたクルマだ。全く痛みを伴わないわけではなかったが、シーズン途中でこのクルマを導入したのは懸命な選択だった。パーツがかなり足らなかったので、新車の導入をトルコからモナコに遅らせることにした。以前にも同じことを言っているが、モナコで新車を導入した我々は勇敢でクレイジーでクレバーだった。実際、最終的には、その甲斐があったからね。パーツ不足という難しい状況にもうまく対応することができた。今週末のシルバーストンは、まともなレベルでレースができるだけの十分なパーツで挑む初めてのレースになるはずだ。ひとつ副作用があるとすれば、ドライバーが今までよりも心おきなくリスクを賭けた戦いができることだろう。これまでのレースでは、パーツ不足をとても気にして戦っていたのでね。是非とも、勇敢な走りで、スピードを上げていってもらいたいね!」

「しかし、我々はまだ新車を活かし切れてはいない。前回のフランスでは、良い予選とレースを戦うことができたが、ドライバーもエンジニアもクルマの性能を十分には引き出していないと感じている。まだ、学ばなければならないことはたくさん残っている。これは、バルセロナであまりテストできなかったのに、マニクールのレースのために空力面をかなりアップグレードしたことが理由のひとつに挙げられる。クルマにかなり大きな変化があった。トロロッソは新しいパッケージのクルマを最大限に活かすための方法を模索している最中なんだ。」

「シャシーにはレッドブル・テクノロジー、エンジン供給はフェラーリという、強力なパートナーの存在も心強い。2009年のクルマ作りを考えなければならない時期が来てしまったが、その前に残りのレースに対応するという大仕事がある。シーズン後半のレースでは高速サーキットが我々にとっては少し有利なので、ハンガリーを除く他のレースは大丈夫だろう。トロロッソはトップグループのドライバーを巻きこむ意外なアクシデントがあったレースでポイントを獲得している。現時点では、まだ、こういった状況がなければポイントは難しい。しかし、以前のトロロッソと今のトロロッソの違いは何かといえば、今のトロロッソはこういったチャンスをつかむことができる。今年は3回あったチャンスを全て活かすことができた。昨年は3回チャンスがあったのに、それを活かすことができたのは1回きりだった。この流れは今後も続くだろう。今のトロロッソはチームとして大きく成長しているが、シーズン後半に直近のライバルチームがどんな進歩を見せるかにも今後の命運がかかっている。」

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カテゴリー: F1 / トロロッソ