スーパーGT:au TOM’S GR Supraが2連勝でタイトル獲得
2023年 スーパーGT 第8戦(最終戦)のの決勝レースが11月5日(日)にモビリティリゾートもてぎで行われ、GT500クラスは、No.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)が前戦に続いて2連勝し、年間3勝でシリーズタイトルを獲得。GT300クラスはNo.88 JLOC ランボルギーニ GT3の小暮卓史/元嶋佑弥のコンビがクラス初優勝。GT300クラスのタイトルはNo.52 埼玉トヨペットGB GR Supra GT(吉田広樹/川合孝汰)が7位に入り、初の戴冠となった。

決勝スタート前のドライバーポイントは、トップの36号車・坪井翔/宮田莉朋組が69ポイント、ランキング2位の3号車・千代勝正/高星明誠組は前日のポールポジションによる1ポイントを加えて63ポイント。坪井組は2位以上で他に関係なくタイトルを獲得できるが、千代組は優勝して坪井/宮田組が3位以下でなくてはならない。また、16号車・福住仁嶺/大津弘樹組も可能性を残すが、優勝が最低条件でありながら予選9位からのスタートと非常に厳しい状況だった。

必勝を期してポールポジションからスタートしたNo.3 Niterra MOTUL Z(千代勝正/高星明誠)の千代は序盤から着実に後続を引き離しにかかり、2番手のNo.17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)に3周終了時点で2秒009、6周終了時点では3秒915のリードを築く。その後方では17号車と予選3位のNo.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)の坪井が接戦を繰り広げた。王座獲得を確実とするため、17号車を抜きたい36号車だったが、17号車も簡単にはポジションを譲らない。テール・トゥ・ノーズのまま繰り広げられた2台のバトルは20周以上も続き、23周目の3コーナーでついに36号車が17号車のアウトに並びかけた。しかし松下も簡単には引き下がらない。2台は並走状態のまま4コーナーを立ち上がり、5コーナーを抜け、立体交差を駆け抜ける。そして、V字コーナーでようやく36号車が2番手を確保した。

トップの3号車はこのバトルを尻目に22周目までに6秒107のリードを広げて、25周目にピットへ向かう。36号車と17号車は26周目に同時にピットに入り、給油とドライバー交代を行う。しかし、ここで17号車は27周目にピット作業を行なったNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)の先行を許してしまった。

トップ3号車と追う36号車のギャップは35周を終えた時点で12秒223にまで開く。だが、序盤から降ったり止んだりを繰り返していた雨がこの辺りから次第に強まってきた。

そして全車がピット作業を終えた41周目に3号車はトップに返り咲くが、2位の36号車との差は徐々に詰まり始め、46周目には10秒796、55周目にその差は7秒680となった。50周を過ぎると雨粒が大きくなり、一部の路面はウエットに近い状態だ。トップ争いは接近戦ではないものの、3号車の高星と36号車の宮田が滑りやすい路面の上で一進一退の攻防を繰り広げ、7秒弱の差を保ったまま緊張感ある周回を重ねていく。

3号車の優勝が近づいたように思われた59周目。S字コーナーで濡れた路面に足を取られたのか、3号車が姿勢を崩して痛恨のコースオフ。しかもグラベル(砂地)にタイヤが空回りして、すぐにはコースに戻れなかった。オフィシャルの手を借りてレースに復帰した3号車だったが、これにより大きく順位を落として、結局このレースは13位、ノーポイントで終わった。

これにより36号車がトップに浮上。後半を担当した宮田は危なげない走りで残り4周を走りきってフィニッシュ。No.36 au TOM’S GR Supra(坪井翔/宮田莉朋)は第7戦オートポリスに続く2連勝、今季通算3勝を挙げた。その後方では2台が競っていたが、勝ち抜いたNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)が2位に入り、これがGT500ラストレースになるミシュランタイヤに表彰台をプレゼントした。3位は終盤にレインタイヤに替えて追い上げたNo.17 Astemo NSX-GT(塚越広大/松下信治)で、こちらもNSX-GTのラストレースを表彰台で締めた。また、No.16 ARTA MUGEN NSX-GT(福住仁嶺/大津弘樹)はタイヤ無交換や終盤にレインタイヤに替える作戦で浮上を試みたが、結局12位で終わった。

この結果、2023年のシリーズタイトルはNo.36 au TOM’S GR Supraの坪井翔/宮田莉朋組が獲得。坪井は2021年に続く通算2回目の王座で、宮田は初のSUPER GTタイトルを得ることになった。

このレースをもってGT500クラスから引退することを発表していた立川祐路は、No.38 ZENT CERUMO GR Supra(立川祐路/石浦宏明)のステアリングをレース後半に託された。アグレッシブなバトルを見せて9位を争ったが、最終的は11位でSUPER GTでの戦いの幕を閉じた。

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カテゴリー: F1 / SUPER GT / 宮田莉朋