スーパーGT:ENEOS X PRIME GR Supraが開幕戦の岡山を連覇!
2022年 SUPER GT開幕戦『OKAYAMA GT 300km RACE』の決勝レースが4月17日(日)に岡山国際サーキットで行われ、GT500クラスはNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)が、GT300クラスはNo.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R(藤波清斗/ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ)が、共に岡山戦での連勝を決めた。
決勝スタート直前の気温は23℃、路面温度32℃と、ともに前日の予選よりもかなり高くなった。このため、予選で速かったタイヤを使用する上位陣に対して、下位に甘んじたチームの逆襲も十分に考えられる。そんな状況で、午後2時にレースが開始された。ポールポジションのNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也)に、スタートから果敢にオーバーテイクを仕掛けてきたのは予選2位のNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra。だが、そのポジションを守った14号車は、そこから後続とのギャップを徐々に広げていく。
一方、2番手以下は接近戦となる。39号車の背後にはNo.100 STANLEY NSX-GT、No.38 ZENT CERUMO GR Supraが続く。その後方には、今回がデビュー戦のNissan Z GT500のNo.12 カルソニック IMPUL Zも上がって来た。熾烈になる2、3番手争いで、所定のピット作業前に2、3番手は38号車、39号車。この時点ではまたもTOYOTA GR Supra GT500勢の上位争いかと思われた。だが、100号車と12号車もまだ僅差で食い下がる。
後方の激戦に対して、トップ14号車はマージンを17秒まで広げて、31周目にピットイン。予選をマシントラブルで走れなかったこともあり、ただ1台ピット作業を後半まで引っ張る作戦を採ったNo.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTを除いて、各車は30周前後でピットイン。それが終わると、14号車(山下健太)が実質トップ。これにアンダーカット(ピットインを利用して前に出る)に成功した12号車が2番手に浮上。だが、38号車、100号車、39号車も僅差で続き、その後方からNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL ZとNo.23 MOTUL AUTECH Zも猛烈な追い上げで迫ってきていた。
後半になっても14号車は10秒ほどのマージンを保って、安定走行を続ける。一方、65周を過ぎると2番手の12号車のペースが悪くなり、72周目に背後に迫っていた38号車と100号車とでコース幅の狭い岡山でスリーワイドのバトルに。ここで前に出たのは100号車。そして38号車にも抜かれた12号車は徐々に後退した。
12号車は下がったが、デビュー戦のNissan Z GT500の活躍は終わらない。代わって浮上してきたのは23号車だった。3番手の38号車も抜いて、予選9位のスタートから3番手まで盛り返した。
トップの14号車は盤石な走りで、残り10周で2番手に12秒のリードと独走は変わらない。誰もが岡山連勝かと思い始めたところに、思わぬ状況が待っていた。GT300車両のトラブルから2度目のFCYがあり、それがレース残り4周で解除となると2番手の100号車が僅か2秒弱差まで14号車に迫っていたのだ。 FCY解除後の再スタートで、14号車の目前で車両がスピン。これを避けきれずに軽く接触して、タイムロスを喫したのだ。俄然、鞭が入る100号車だったが、14号車のダメージは軽かったようでその差はほとんど詰まってはいかない。
結局、その差を山下が落ち着いてキープし、No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)は昨年に続き開幕戦岡山の連覇を果たした。2位はNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)。3位はNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)で、Nissan Z GT500のデビュー戦を表彰台で飾った。レース前は、またもGR Supraが圧倒するかと思われた岡山だったが、3車種が表彰台を分け合って今シーズンのさらなる激戦を予感させることになった。
GT500 Class
No.14 ENEOS X PRIME GR Supra
大嶋和也
「去年も開幕戦を優勝して、チームとして1年間戦ってきてその間にかなり成長していましたし、去年よりいい結果が残せるだろうと思って(岡山に)来ていたものの、まさかここまでうまくいくとは思ってなかったのでほんとビックリしています。クルマも調子が良かったですし、タイヤも最後までグリップが落ちることなく走っていましたし、ほんと皆さんのおかげかなと思っています。僕のスティント(走行)としては、正直言うとちょっと想定よりも路面温度が高くて。(レースが)終わったから(言っても)いいのかなと思いますが、周りよりもちょっと高温になるとつらいタイヤを選んでしまっていたので、どうなることかなと不安を持ちながらの決勝スタートでした。(スタート前の)20分のフリー走行が終わってからエンジニアと相談してちょっとセット変更しました。それが非常にいい方向に働いてくれて、なんとか僕のスティントではすごくいいバランスのクルマに仕上がっていたので、ひとつのコーナーたりとも気を抜くことなくコンマ1秒でも多くマージンを作って(山下)健太に(クルマを)渡そうと思って。ピットに入ってくるところまでプッシュし続けて(交代した)。僕としては、非常にいいレースができたなと思います。(第2戦富士は)サクセスウェイトの影響で予選は厳しい戦いになると思いますが、距離も長い(450kmという)新しいレースフォーマットなので、僕らにはよりチャンスが増えてくるかなと思います。今回、反省点もいくつか出ているので、改善して2連勝できるように準備していきたいと思っています」
山下健太
「まずはほんとにいいクルマを作ってもらって、チームに感謝しています。前半スティントで大嶋(和也)選手がすごく速くて。(予選記者会見で)『(決勝では大嶋選手が後続車に対して)10秒離してくれたらすごくうれしいです』みたいなことを言ったのですが、17秒も離してくれて(笑)。これはもう勝つしかないなという感じでした。僕としては17秒差をもっと広げて勝ちたかったんですが、ちょっと自分が思っているよりもペースが上がらず……。あとGT300車両との巡り合わせも悪かったし、BMW(7号車)が飛んで行ったのも目の前だったし、2回目のFCYでは(リスタートで)前のクルマがハーフスピンして、それにぶつかったし……と、危うい場面がいろいろあってペースも良くなくて。最後は100号車にあそこまで迫られてしまったのは、ほんとに優勝したけれどあまりうれしくないというところではありますが、なんとか開幕戦で勝てて、(目標の)チャンピオンに向けてはいい開幕戦だったので、また次もがんばりたいと思います。(450kmレースとなる第2戦富士は)戦略のとり方はいくつかあると思います。なにが一番良いかよく考えて分析して(臨みたい)。富士のレース自体は去年40kg(のサクセスウェイト)を積んだ状態で2位に入っているので、目標は変わらず”優勝”。2連勝できるようにしたいと思います」
GT300 Class
No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R
藤波清斗
「今回は日曜日が暑いということでタイヤ選択に非常に迷いがありました。でもレースが始まってみたらタイヤもまったく問題なく、クルマも思っていた以上に良かったです。いつも通り予選は前にいけなかったけど、 テストの時からロングはすごく良かったので、それが結果として5位スタートからトップまで上がってJP(デ・オリベイラ)選手にバトンタッチすることができました。いつもJP選手に助けて(後半に追い上げて)もらってばっかりだったので、今日はちょっとでも役に立てて良かったと思います。次の富士の450kmは初レースということで、いろいろなことが起きたり本当に何が起こるか分からないので、サクセスウェイトも重いですが、淡々としっかりとミスなく着実に走って、なんとかポイントゲットできるように、そしてシーズンを通してしっかり獲りこぼしがないようにがんばっていきたいと思っています」
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
「まずは藤波(清斗)選手が素晴らしいスタートを切ってくれました。クルマをコントロールできていたし、とてもスマートでチャンピオンらしい走りだったと思います。そして、藤波選手からの情報のおかげで後半に向けてとても良いタイヤを選ぶことができ、僕のスティントも非常にスムーズにいきました。また昨日、クルマのセッティングをいろいろ変更したことによって、とても良いクルマに仕上がりました。今日は本当に完璧なレースでした。次の富士ではたしか、同じドライバーが2スティント続けて走れるようになると思いますが、それによっていろいろな可能性や戦略が生まれると思います。タイヤをチェンジせず2スティント走るということも考えられるし、GT300だけでなくGT500も含めた両方のクラスでさまざまな要素が見られるので、いろいろ期待できるし、楽しみです」
カテゴリー: F1 / SUPER GT
決勝スタート直前の気温は23℃、路面温度32℃と、ともに前日の予選よりもかなり高くなった。このため、予選で速かったタイヤを使用する上位陣に対して、下位に甘んじたチームの逆襲も十分に考えられる。そんな状況で、午後2時にレースが開始された。ポールポジションのNo.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也)に、スタートから果敢にオーバーテイクを仕掛けてきたのは予選2位のNo.39 DENSO KOBELCO SARD GR Supra。だが、そのポジションを守った14号車は、そこから後続とのギャップを徐々に広げていく。
一方、2番手以下は接近戦となる。39号車の背後にはNo.100 STANLEY NSX-GT、No.38 ZENT CERUMO GR Supraが続く。その後方には、今回がデビュー戦のNissan Z GT500のNo.12 カルソニック IMPUL Zも上がって来た。熾烈になる2、3番手争いで、所定のピット作業前に2、3番手は38号車、39号車。この時点ではまたもTOYOTA GR Supra GT500勢の上位争いかと思われた。だが、100号車と12号車もまだ僅差で食い下がる。
後方の激戦に対して、トップ14号車はマージンを17秒まで広げて、31周目にピットイン。予選をマシントラブルで走れなかったこともあり、ただ1台ピット作業を後半まで引っ張る作戦を採ったNo.16 Red Bull MOTUL MUGEN NSX-GTを除いて、各車は30周前後でピットイン。それが終わると、14号車(山下健太)が実質トップ。これにアンダーカット(ピットインを利用して前に出る)に成功した12号車が2番手に浮上。だが、38号車、100号車、39号車も僅差で続き、その後方からNo.3 CRAFTSPORTS MOTUL ZとNo.23 MOTUL AUTECH Zも猛烈な追い上げで迫ってきていた。
後半になっても14号車は10秒ほどのマージンを保って、安定走行を続ける。一方、65周を過ぎると2番手の12号車のペースが悪くなり、72周目に背後に迫っていた38号車と100号車とでコース幅の狭い岡山でスリーワイドのバトルに。ここで前に出たのは100号車。そして38号車にも抜かれた12号車は徐々に後退した。
12号車は下がったが、デビュー戦のNissan Z GT500の活躍は終わらない。代わって浮上してきたのは23号車だった。3番手の38号車も抜いて、予選9位のスタートから3番手まで盛り返した。
トップの14号車は盤石な走りで、残り10周で2番手に12秒のリードと独走は変わらない。誰もが岡山連勝かと思い始めたところに、思わぬ状況が待っていた。GT300車両のトラブルから2度目のFCYがあり、それがレース残り4周で解除となると2番手の100号車が僅か2秒弱差まで14号車に迫っていたのだ。 FCY解除後の再スタートで、14号車の目前で車両がスピン。これを避けきれずに軽く接触して、タイムロスを喫したのだ。俄然、鞭が入る100号車だったが、14号車のダメージは軽かったようでその差はほとんど詰まってはいかない。
結局、その差を山下が落ち着いてキープし、No.14 ENEOS X PRIME GR Supra(大嶋和也/山下健太)は昨年に続き開幕戦岡山の連覇を果たした。2位はNo.100 STANLEY NSX-GT(山本尚貴/牧野任祐)。3位はNo.23 MOTUL AUTECH Z(松田次生/ロニー・クインタレッリ)で、Nissan Z GT500のデビュー戦を表彰台で飾った。レース前は、またもGR Supraが圧倒するかと思われた岡山だったが、3車種が表彰台を分け合って今シーズンのさらなる激戦を予感させることになった。
GT500 Class
No.14 ENEOS X PRIME GR Supra
大嶋和也
「去年も開幕戦を優勝して、チームとして1年間戦ってきてその間にかなり成長していましたし、去年よりいい結果が残せるだろうと思って(岡山に)来ていたものの、まさかここまでうまくいくとは思ってなかったのでほんとビックリしています。クルマも調子が良かったですし、タイヤも最後までグリップが落ちることなく走っていましたし、ほんと皆さんのおかげかなと思っています。僕のスティント(走行)としては、正直言うとちょっと想定よりも路面温度が高くて。(レースが)終わったから(言っても)いいのかなと思いますが、周りよりもちょっと高温になるとつらいタイヤを選んでしまっていたので、どうなることかなと不安を持ちながらの決勝スタートでした。(スタート前の)20分のフリー走行が終わってからエンジニアと相談してちょっとセット変更しました。それが非常にいい方向に働いてくれて、なんとか僕のスティントではすごくいいバランスのクルマに仕上がっていたので、ひとつのコーナーたりとも気を抜くことなくコンマ1秒でも多くマージンを作って(山下)健太に(クルマを)渡そうと思って。ピットに入ってくるところまでプッシュし続けて(交代した)。僕としては、非常にいいレースができたなと思います。(第2戦富士は)サクセスウェイトの影響で予選は厳しい戦いになると思いますが、距離も長い(450kmという)新しいレースフォーマットなので、僕らにはよりチャンスが増えてくるかなと思います。今回、反省点もいくつか出ているので、改善して2連勝できるように準備していきたいと思っています」
山下健太
「まずはほんとにいいクルマを作ってもらって、チームに感謝しています。前半スティントで大嶋(和也)選手がすごく速くて。(予選記者会見で)『(決勝では大嶋選手が後続車に対して)10秒離してくれたらすごくうれしいです』みたいなことを言ったのですが、17秒も離してくれて(笑)。これはもう勝つしかないなという感じでした。僕としては17秒差をもっと広げて勝ちたかったんですが、ちょっと自分が思っているよりもペースが上がらず……。あとGT300車両との巡り合わせも悪かったし、BMW(7号車)が飛んで行ったのも目の前だったし、2回目のFCYでは(リスタートで)前のクルマがハーフスピンして、それにぶつかったし……と、危うい場面がいろいろあってペースも良くなくて。最後は100号車にあそこまで迫られてしまったのは、ほんとに優勝したけれどあまりうれしくないというところではありますが、なんとか開幕戦で勝てて、(目標の)チャンピオンに向けてはいい開幕戦だったので、また次もがんばりたいと思います。(450kmレースとなる第2戦富士は)戦略のとり方はいくつかあると思います。なにが一番良いかよく考えて分析して(臨みたい)。富士のレース自体は去年40kg(のサクセスウェイト)を積んだ状態で2位に入っているので、目標は変わらず”優勝”。2連勝できるようにしたいと思います」
GT300 Class
No.56 リアライズ日産メカニックチャレンジ GT-R
藤波清斗
「今回は日曜日が暑いということでタイヤ選択に非常に迷いがありました。でもレースが始まってみたらタイヤもまったく問題なく、クルマも思っていた以上に良かったです。いつも通り予選は前にいけなかったけど、 テストの時からロングはすごく良かったので、それが結果として5位スタートからトップまで上がってJP(デ・オリベイラ)選手にバトンタッチすることができました。いつもJP選手に助けて(後半に追い上げて)もらってばっかりだったので、今日はちょっとでも役に立てて良かったと思います。次の富士の450kmは初レースということで、いろいろなことが起きたり本当に何が起こるか分からないので、サクセスウェイトも重いですが、淡々としっかりとミスなく着実に走って、なんとかポイントゲットできるように、そしてシーズンを通してしっかり獲りこぼしがないようにがんばっていきたいと思っています」
ジョアオ・パオロ・デ・オリベイラ
「まずは藤波(清斗)選手が素晴らしいスタートを切ってくれました。クルマをコントロールできていたし、とてもスマートでチャンピオンらしい走りだったと思います。そして、藤波選手からの情報のおかげで後半に向けてとても良いタイヤを選ぶことができ、僕のスティントも非常にスムーズにいきました。また昨日、クルマのセッティングをいろいろ変更したことによって、とても良いクルマに仕上がりました。今日は本当に完璧なレースでした。次の富士ではたしか、同じドライバーが2スティント続けて走れるようになると思いますが、それによっていろいろな可能性や戦略が生まれると思います。タイヤをチェンジせず2スティント走るということも考えられるし、GT300だけでなくGT500も含めた両方のクラスでさまざまな要素が見られるので、いろいろ期待できるし、楽しみです」
カテゴリー: F1 / SUPER GT