F1シンガポールGP 予選展開:ジョージ・ラッセルがコースレコードでPP獲得

メルセデス勢の好調ぶりが際立つ一方で、マクラーレンは週末を通して苦戦気味。フェラーリ勢は中団に沈み、角田裕毅(レッドブル)はQ2敗退に終わった。明日の決勝では、雷雨の可能性もあり波乱含みの展開が予想される。
Q1:赤旗と黄旗が交錯、角田裕毅は通過も調査対象に
予選は現地時間21時、路面温度35℃・湿度68%という蒸し暑いコンディションでスタートした。序盤は路面が非常にダスティで、各車がトラフィックを避けるように間隔を取りながらアタックを開始した。
開始2分、レーシングブルズのリアム・ローソンがFP2でのクラッシュから見事に修復されたマシンでコースイン。各車が続く中、セッション終盤にはピエール・ガスリー(アルピーヌ)がターン11でストップし、イエローフラッグが掲示された。
角田裕毅はこのタイミングで10番手に位置していたが、イエローフラッグ下での走行が問題視され、ジョージ・ラッセル(63号車)、ガブリエル・ボルトレト(5号車)らとともに「黄旗区間での改善疑惑」としてスチュワード調査の対象となった。
最終的にQ1脱落者はガブリエル・ボルトレト、ランス・ストロール、フランコ・コラピント、エステバン・オコン、ピエール・ガスリーの5名となった。
Q2:メルセデスが主導権を握り、角田裕毅はここで敗退
Q2では路面のグリップが急速に上昇し、各車が新品のソフトタイヤで次々にタイムを更新していった。
マックス・フェルスタッペンが1分29秒747で暫定トップに立ったが、メルセデス勢がここで強さを見せる。キミ・アントネッリが1分29秒649を記録し、フェルスタッペンを0.1秒上回るタイムで首位に浮上。その直後、ジョージ・ラッセルがさらにそのタイムを更新し、トップに返り咲いた。
このセッションでは、カーロス・サインツ(フェラーリ)がわずかの差で11番手に沈み、アレクサンダー・アルボン、ニコ・ヒュルケンベルグ、リアム・ローソン、そして角田裕毅が脱落。
角田裕毅はピットに留まり、最終的に15番手でセッションを終えた。
Q3:ラッセル、壁スレスレの走りで渾身のポール
10台による最終決戦が始まると、メルセデスが再び主導権を握った。ジョージ・ラッセルとキミ・アントネッリはともに新品のC5タイヤでコースインし、序盤から限界まで攻める。
ラッセルはターン16〜17のシケインをわずかにかすめながらも、1分29秒165という圧巻のラップをマーク。壁に触れるほどの走りでポールポジションの基準を打ち立てた。
マックス・フェルスタッペンは「前を走るクルマが2秒もクルージングしていた」と無線で不満を漏らし、最終アタックを中断。オスカー・ピアストリは「ポールにはあと0.4秒届かなかった」と振り返ったが、3番手を確保した。
ランド・ノリスは2セクター目でタイムを失い、5番手にとどまった。メルセデス勢が上位を独占するなか、マクラーレンはやや後手に回る形となった。
トップ10と注目ポイント
最前列はジョージ・ラッセルとマックス・フェルスタッペンという、カナダGP以来の顔合わせ。2列目にはオスカー・ピアストリとキミ・アントネッリ、3列目にはランド・ノリスとルイス・ハミルトンが並ぶ。
フェラーリ勢はシャルル・ルクレールが7番手、カーロス・サインツはQ2敗退。アイザック・ハジャーが8番手で再びQ3進出を果たし、オリバー・ベアマン(ハース)が9番手、フェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)が10番手で続いた。
トップ3コメント
オスカー・ピアストリ(マクラーレン):「ポールを取るにはあと0.4秒足りなかったと思う。ここではその差が大きいけど、悪くはない位置だ」
マックス・フェルスタッペン(レッドブル):「ポールには近かったはずだが、前でノリスが2秒遅く走っていて厳しかった。状況はスチュワードに伝えた」
ジョージ・ラッセル(メルセデス):「ポールを取れて本当にうれしい。昨日は厳しい一日だったが、チームが見事に立て直してくれた。クルマにはポテンシャルがあると信じていたし、キミ(アントネッリ)の走りにも刺激を受けた」
明日に向けて
決勝は現地時間20時(日本時間21時)にスタート予定。メルセデスは今季初の1-2発進を狙う一方で、マックス・フェルスタッペンは逆襲に燃える。
マクラーレン勢はタイヤマネジメントで勝機を探り、フェラーリ勢は追い上げを期す。マリーナベイの夜が再び明るく照らされるとき、今季のタイトル争いにも新たなドラマが刻まれることになる。
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