2026年F1バーレーンテスト初日総括 レッドブルが強烈な存在感
2026年F1プレシーズンテストがバーレーン・インターナショナル・サーキットで開幕し、新世代マシンの実戦的な走行が本格的に始まった。初日から各チームが100周超を記録するなど走行距離は充実した一方で、勢力図を断定するには時期尚早という空気も漂う。

それでも、エネルギー展開、信頼性、マシンバランス、そして各車の設計思想など、すでにいくつかの明確な傾向が浮かび上がっている。

レッドブルが“ベンチマーク”と評される理由
マックス・フェルスタッペンは初日だけで136周を走破し、走行距離では全ドライバー中トップを記録した。ロングランではC1、C2、C3の各コンパウンドを用い、特にハードタイヤでの平均タイムの安定感が際立った。

メルセデス代表トト・ヴォルフは「現時点でのベンチマークはレッドブルだ。彼らはストレートで他よりはるかに多くのエネルギーを展開できている」と語り、GPSデータ解析ではストレート区間で1周あたり約1秒の差があるとの見解も示された。

フェルスタッペンは「多くの周回を重ね、さまざまなプログラムを試した。ラップタイムや順位には集中していない」と述べつつも、新設計のレッドブル・フォード製パワーユニットの信頼性と安定した周回ペースは強い印象を残した。

さらにトラックサイドで注目されたのは、ターン10での積極的なダウンシフト手法だ。強いブレーキング中に1速まで落とす操作で回生量を最大化し、より強力になった2026年仕様MGU-Kのエネルギー回収効率を高める狙いがあるとみられる。アウディも類似のアプローチを試したが、最も安定して実行していたのはレッドブルだった。

キャデラックF1の堅実な船出
新規参戦のキャデラックF1チームはセルジオ・ペレスとバルテリ・ボッタスの2名で107周を記録。バーレーンGP約2レース分に相当する距離を走破した。

エントリー正式承認から約1年という短期間で体制を整え、バルセロナのシェイクダウンから順調な準備を続けてきた同チームは、初日も大きな問題なくプログラムを消化。パット・シモンズはシーズン中の「強固な開発プロセス」と「攻撃的な開発計画」を強調しており、ベースライン車両から着実にパフォーマンスを積み上げていく姿勢を示している。

まだ学ぶべき点は多いが、初年度としては力強いスタートと言える。

バーレーングランプリ

ウィリアムズの走行量と重量課題
バルセロナのシェイクダウンを唯一欠席したウィリアムズは、シルバーストンとバーレーンでのフィルミングデーを経て初日145周を走破。全チーム最多の周回数を記録した。

ジェームス・ボウルズは「現時点で大きな癖はない。ドライバーのコメントも総じてポジティブだ」と語り、セットアップ作業前のベースとしては良好な状態だと説明した。

一方でFW48が最低重量を上回っていることも認めており、シーズン序盤に軽量化を進める方針だという。重量面の課題は残るが、走行距離の確保という意味では十分な土台を築いた。

メルセデスの初日トラブル
バルセロナで好調だったメルセデスは、バーレーン初日に初の明確な問題に直面した。ジョージ・ラッセルが午前に約1レース距離を走行した一方で、アンドレア・キミ・アントネッリはサスペンション関連とみられる不具合で午後の大半をガレージで過ごした。

アンドリュー・ショブリンは「ブレーキロックやトラクション不足、全体的な不安定さといった課題があった」と説明し、W17のウィンドウを見極める作業が続いていると明かした。

テストは問題を洗い出す場でもある。2日目以降で再び走行距離を重ねられるかが焦点となる。

フェラーリの鋭さと不安定さ
フェラーリは132周を走破し信頼性面では問題を見せなかったが、マシン挙動には課題も見えた。ターンイン時の応答性は鋭い一方で、中速域の安定性に欠ける場面があった。

ルイス・ハミルトンは新世代マシンの複雑さに触れ、特にターン10進入の難しさを強調。多くのドライバーが苦戦するコーナーではあるが、フェラーリはとりわけ扱いにくく見えたとの評価もある。

速さの片鱗はあるが、安定性の確保が今後の焦点となる。

アストンマーティンとホンダの出遅れ
アストンマーティンはホンダ製パワーユニットのデータ異常により、ランス・ストロールが38周にとどまった。バルセロナでも走行距離が限られており、初日の時点で他チームより周回数で大きく後れを取っている。

フェルナンド・アロンソは開幕時点で後方スタートを覚悟していると示唆しており、残るテスト日程での巻き返しが不可欠だ。

2026年のF1世界選手権

アウディの大胆なアップデート
アウディはサイドポッド形状を含む大規模アップデートを投入。従来の横長インレットから縦長スリム型へ変更し、より強いダウンウォッシュを狙う設計へ移行した。

フロントウイングにも小規模改良が施されており、すでに開発競争が激化していることを示している。

2026年型パワーユニットの音と個性
MGU-H廃止の影響もあり、新世代エンジンは従来よりやや荒々しいサウンドを響かせる。レッドブルとアウディは特に攻撃的な音質が印象的で、ホンダはやや生々しく、メルセデスとフェラーリは比較的従来型に近い印象だという。

ターボ音の存在感や低速ギア多用、リフト&コーストの増加など、新たなエネルギー戦略がサウンド面にも変化をもたらしている。

2026年F1の勢力図はまだ流動的だが、初日終了時点ではレッドブルが技術面・エネルギー管理面で一歩抜け出した印象を残した。一方で、走行距離を確保したチームとトラブルに見舞われたチームの差も明確になりつつある。

残るテスト日程で各陣営がどこまで修正し、どこまで伸ばせるか。開幕戦オーストラリアへ向けた本格的な開発競争は、すでに始まっている。

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カテゴリー: F1 / F1レース結果