F1イタリアGP 決勝レポート:ルクレールが大胆な1ストップ戦略で優勝 角田裕毅はDNF
2024年のF1世界選手権 第16戦 イタリアGPの決勝レースが9月1日(日)にモンツァ・サーキットで行われ、シャルル・ルクレールが大胆なワンストップ戦略を駆使して首位を守り、見事な勝利を収めた。モナコ出身のルクレールはマクラーレンを抑えてトップでチェッカーを受け、ティフォシを熱狂させた。

ポールポジションから順当にスタートを切ったランド・ノリスは、当初1位をキープしていたが、その周回でオスカー・ピアストリが2つ目のシケインを抜けて追い抜いた。そこから、ピアストリはレースの大半でトップを走り続けた。

しかし、多くのチームが2回のピットストップ戦略をとる中、フェラーリはリスクの高い戦略をとり、ルクレールとカルロス・サインツJr.に1回のピットストップで挑ませた。その結果、2人はレース後半にトップ集団の一角を占めることとなった。

誕生日を迎えたサインツは、古くなったタイヤで持ちこたえることができず、ピアストリとノリスの2人に追い抜かれたが、ルクレールは粘り強く耐え、フェラーリのホームレースで感動的な勝利を収め、2.6秒差でフィニッシュラインを通過した。

ランド・ノリスは3位でフィニッシュし、最速ラップを記録したことで追加ポイントを獲得した。これは、チャンピオンシップ獲得に向けて、ノリスがより多くの結果を期待していたかもしれない日をいくらか補うものとなった。 サインツは4位に甘んじ、メルセデスを駆るルイス・ハミルトンは、来季フェラーリに移籍する前の最後のモンツァレースで5位となった。

マックス・フェルスタッペンは6位となり、当初のグリッドから1つ順位を上げた。フェルスタッペンは7位のメルセデスのジョージ・ラッセルをなんとか抑えたが、セルジオ・ペレスは8位でレッドブルの得点に3点を加えた。

ウィリアムズにとってはポジティブな一日となった。アレックス・アルボンが9位で貴重な2ポイントを獲得し、ケビン・マグヌッセンはチームにとって波乱の一日となったが、ハースで10位となった。両ドライバーは別々のインシデントにより、タイムペナルティを受けていた。

フェルナンド・アロンソはアストンマーティンで11位とトップ10入りを逃し、フランコ・コラピントはウィリアムズでF1デビューを果たし12位でフィニッシュした。ダニエル・リカルドは13位だった。RBドライバーのリカルドは、レース序盤に2回のペナルティを受けた。

エステバン・オコンは14位でアルピーヌのトップとなり、チームメイトのピエール・ガスリー(15位)を上回った。また、キック・ザウバーのバルテリ・ボッタスが16位で続いた。

ハースのニコ・ヒュルケンベルグは17位でこの日を終え、キック・ザウバーの周冠宇は18位、アストン・マーティンのランス・ストロールは19位で最終順位となった。

角田裕毅は、ヒュルケンベルグとの衝突によりRBをリタイアさせ、レースから唯一のリタイア者となった。

2024年F1 イタリアGP 決勝シャルル・ルクレールは1ストップ戦略を成功させ、モンツァで勝利を収めた。

レース展開
3回のプラクティスセッションと、ノリスとマクラーレンのチームメイトであるピアストリがフロントローを独占し、上位6台がコンマ2秒以内にひしめくという大接戦となった1時間の予選を経て、パドックの注目は日曜日のイタリアGPへと向けられた。

週末を通して見られた天候が続き、モンツァでのレース当日もドライバーたちは暑く晴れた天気に迎えられ、気温は30度を超えた。しかし興味深いことに、このイベントでの降雨リスクは40%と予測されていた。

53周のレースを前に疑問符がついたのは、雷雨の可能性だけではない。戦略面でも不確実性があり、ピレリは1ストップが最も速いと示唆している。しかし、これまでのところタイヤのデグラデーションレベルが高いことから、一部のドライバーは2ストップになる可能性もある。

マシンがグリッドに集まりタイヤブランケットが外されると、フィールドの大半がミディアムコンパウンドでスタートし、フェルスタッペン、ペレス、オコン、角田裕毅、ストロール、ボッタスはハードを選択することが確認された。

前回のザントフォールトではスタートで出遅れたノリスだが、モンツァではそうはならず、スタート直後にピアストリをカバーし、ターン1までトップをキープした。一方、3番手スタートのラッセルはピアストリの車の後部を避けようとしてロックアップし、エスケープロードに避けざるを得ず、順位を下げた。

2024年F1 イタリアGP 決勝 ランド・ノリスランド・ノリスは当初、トップでスタートを切ったが、ジョージ・ラッセルはターン1でロックアップしたため、エスケープロードに向かわざるを得ず、順位を下げた。

その直後、ピアストリは2つ目のシケインに勢いよく進入し、ノリスの前でトップに躍り出た。ルクレールはその後、マクラーレンのマシンからポジションを奪い、ノリスを3位に落とした。さらに後方では、現在7位のラッセルがフロントウイングのエンドプレートの損傷を負ったようだ。

一方、スチュワードはリカルドとヒュルケンベルグのスタート時の一件を記録しており、リプレイ映像では、ヒュルケンベルグがリカルドに押しこまれた後に2人が接触したことが示されていた。

『リカルドが僕をグラベルに押し込んだ』ヒュルケンベルグは報告し、その後、ターン1で2台が接触した後、もう1つのRBの角田が関与する2つ目のインシデントが記録された。 その間、ヒュルケンベルグは6周目に最初にピットを訪れ、新しいフロントウイングとハードタイヤを装着してピットを後にした。

8周目が過ぎた時点で、ピアストリはルクレールに1秒弱の差をつけてトップを走り、ノリスはチームメイトから2秒遅れの3番手をキープしていた。一方、RB勢は理想的な午後を過ごせていなかった。ヒュルケンベルグと接触した角田裕毅がリタイアし、リカルドはヒュルケンベルグとの接触により5秒ペナルティを科せられた。

ヒュルケンベルグ自身が角田裕毅との衝突を引き起こしたとして10秒のペナルティを受けたため、スチュワードは手一杯だった。また、コース上ではペレスがラッセルを追い抜いて7位に浮上するなど、混戦が続いていた。そのため、メルセデスは12周目にラッセルをピットインさせ、新しいフロントウィングとハードタイヤを装着した。これにより、ラッセルを16位に後退した。

14周目までに、ピアストリはルクレールに対して3秒以上の差をつけてリードを広げていた。一方、ノリスはルクレールを追っており、アンダーカットを狙ってピットインすることを選択した。しかし、ピットレーンに進入する際に激しくタイヤをロックさせてしまった。ハードタイヤに交換した後、8位でコースに復帰した。

その後すぐに、ルクレールは自らピットインして応戦し、ノリスの後ろの7位につけた。その後、17周目にピアストリがピットインする番となり、コースに戻ったときにはチームメイトより前だったものの、その差は確実に縮まっていた。

ルクレールは、アンダーカットでノリスに負けたことで、ピットストップのタイミングに不満を無線で表明した。おそらく腹を立てていたもう一人のドライバーは、本来のタイムペナルティを正しく消化できなかったために10秒のペナルティを受けたリカルドだった。

トップを走っていたサインツは20周目にピットインし、6位でレースに復帰した。これにより、1位と2位はフェルスタッペンとペレスが獲得し、レッドブルの2台はまだピットストップを行っていなかった。一方、ノリスには「パパイヤルール」に関する無線メッセージが届いていた。これはチームオーダーの一種で、ピアストリが1.5秒のリードを築いていた。

スチュワードの作業は継続され、マグヌッセンとガスリーの間で起きたインシデントが記録された。マグヌッセンがアルピーヌのイン側から追い抜こうとしてロックアップし、2台が接触した。

2024年F1 イタリアGP 決勝 ケビン・マグヌッセンケビン・マグヌッセンはピエールガスリーとの接触事件を含む波乱の午後を過ごした。

ノリスに送られた先の無線メッセージの意味について疑問を抱いていた者たちに、すぐにその答えが明らかになった。24歳のドライバーには『オスカーとレースしていい。パパイヤルールだ』と伝えられた。レッドブルの2台がハードコンパウンドタイヤに交換したあと、ピアストリが首位に返り咲き、フェルスタッペンは6位、ペレスは8位となった。

その後、ペレスは25周目にオコンを抜き去った。アルピーヌは1ストップ戦略を貫く数少ないドライバーの1人だったようだ。ハースでは、マグヌッセンがチームメイトとともに接触事故を起こしたため10秒のタイムペナルティを受けた。しかし、このペナルティはマグヌッセンの勢いを止めることはなく、ボッタスを追い抜いて12位に浮上した。

また、リカルドも14位を巡ってガスリーと激しいバトルを繰り広げていた。しかし、ガスリーがハンドルをロックしたため、シケインで直進せざるを得なくなり、リカルドにポジションを譲ることとなった。

レースが29周目に達した時点で、ピアストリはノリスに2.5秒差をつけてトップの座を維持、一方、フェラーリではルクレールとサインツが3位と4位に続き、メルセデスがペースに苦しんでいるように見えたこの日、ハミルトンは5位だった。

さらに後方では、ウィリアムズでのF1デビューとなったコラピントがガスリーを追い抜いて15位に浮上した。しかし、前方ではまだ激しい争いが続いており、ラッセルが7位を争ってペレスにプレッシャーをかけ、ノリスがロックアップしてタイムを失い、ルクレールが迫る展開となった。

2024年F1 イタリアGP 決勝 フランコ・コラピントフランコ・コラピントはウィリアムズでのF1デビューでいくつかの追い抜きを見せた。

そのため、ノリスは33周目に2回目のピットストップを行い、新しいハードタイヤを履いて6位でコースに戻った。これはノリスにとってはスローなピットストップだったが、ラッセルも同様で、すぐにピットに戻り、コース上では12位でレースに復帰した。

ノリスはすぐに5位争いでフェルスタッペンとの差を縮め、こフェルスタッペンはマクラーレンと戦うべきか、それとも守るべきかと尋ねた。『彼と競争しろ』という答えだった。一方、ピアストリは1ストップの可能性について質問され、『そうは思わない。左フロント左は完全に死んでる』と答えた。

ピアストリは39周目にトップからピットインした。ピットストップがやや遅かったにもかかわらず、フェルスタッペンとノリスの争いの前に出た。一方、ラッセルはターン1でペレスを追い抜き、8位に浮上した。

ノリスにとっては、1位と2位のフェラーリ、ルクレールとサインツがまだ2回目のピットストップを行っていない中、フェルスタッペンを抜いて4位に浮上する方法を見つけようと勝負を始めた。メインストレートでDRSを使用した後、ノリスは41周目に最初のコーナーでフェルスタッペンを抜き去ることに成功した。

フェルスタッペンはすぐに再びピットインし、ミディアムタイヤで6位に復帰した。その最中、前方では興味深い状況が展開され、フェラーリは1ストップで1-2体制を維持しようとしているようだった。

2024年F1 イタリアGP 決勝 マックス・フェルスタッペンマックス・フェルスタッペンはランド・ノリスから守ろうとしたが、ノリスはチャンピオンシップのライバルを追い抜くことに成功した。

残り10周で、ルクレールはサインツに11秒差をつけレースリーダーとなった。しかし、サインツはピアストリに迫られ、ノリスはチームメイトから数秒遅れの4位だった。そして、彼らの後ろでは、フェルスタッペンが新品タイヤで快調に走り、5位のハミルトンとの差を縮めていた。

一方、タイヤの摩耗に苦しみながらも懸命に守りを固めるサインツだったが、53周中の45周目でピアストリに2位の座を奪われてしまった。 フェラーリドライバーのサインツは、今日が30歳の誕生日だったが、ペースが落ちてきたところで、ノリスが3位を狙って迫ってきた。

ノリスがピアストリを追い抜くのに時間はかからず、その時点でノリスはピアストリから3秒遅れとなった。一方、トップを走るルクレールとの差は7秒に広がった。

一方、6位の現ワールドチャンピオンのフェルスタッペンは、後ろに迫るラッセルのリスクを懸念していた。『たとえクソみないなポジションでも、重要なポジションだ』とフェルスタッペンは語った。

周回が進むにつれ、ピアストリがルクレールのリードを縮め、フェラーリの緊張が高まった。しかし、結局、マクラーレンのドライバーが追いつくにはギャップが十分に縮まらず、ルクレールはなんとか持ちこたえ、スクーデリアの熱狂的なファンの前で信じられない勝利を手にした。

2024年F1 イタリアGP シャルル・ルクレールシャルル・ルクレールはマクラーレンの挑戦を退け、チームのホームトラックでフェラーリファンの間で人気の勝利を収めた。

ピアストリは最終的にルクレールから2.6秒遅れでゴールし、ノリスはチームメイトから3.5秒遅れだったが、ノリスにとってはレースのファステストラップを記録して追加ポイントを獲得したことが小さな慰めとなった。

30回目の誕生日を迎えたサインツは4位、5位のハミルトン、6位のフェルスタッペンはレッドブルにとって厳しい一日となった。ラッセルが7位、ペレス、アルボン、マグヌッセンがトップ10を締めくくった。

アロンソはアストンマーティンで11位に終わりポイントを逃し、一方コラピントはウィリアムズでF1デビューを12位で終えた。リカルドは2度のペナルティの後13位を獲得し、アルピーヌのオコンとガスリーのコンビはそれぞれ14位と15位だった。

来シーズンのシートがまだ確定していないザウバーの最有力候補の一人と目されるボッタスは16位を獲得し、ヒュルケンベルグは17位、周は18位、ストロールは19位となった。

角田裕毅はヒュルケンベルグとの衝突によりRBをリタイアさせ、このイベントでDNFを記録した唯一のドライバーとなった。

2024年F1 イタリアGP 優勝 シャルル・ルクレールシャルル・ルクレールはイタリアグランプリでスリリングなスタイルで7回目のF1優勝を果たした。

主なコメント
「信じられない気持ちだ」とルクレールは車から飛び降りた後に語った。「実は、初めての時はこんな感じだろうと思っていた。そして2回目(2回目があるなら)はそれほど特別ではないだろうと思っていたが、最後の数周の感情は2019年とまったく同じだった」

「コース内のグランドスタンドを観るだけでも大変だけど、信じられない気持ちだ。モナコとモンツァは毎年勝ちたいレースだ。もちろん、できるだけ多くのレースに勝ちたいし、できるだけ早く世界選手権に勝ちたいけど、この2レースはシーズンで最も重要なレースであり、今年はなんとか勝つことができた。本当に特別だ」

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カテゴリー: F1 / F1レース結果 / F1イタリアGP