ルノー・スポール Q&A:レッドブルへのエンジン供給
ルノーF1エンジンはメルセデスやフェラーリなどよりもパワーに劣るというのが最近の一般的な認識だが、レッドブルは、苦戦するとみられたスパ・フランコルシャンで1-2フィニッシュを達成。
それだけでなく、2011年度のレッドブル・レーシングは、これまでの12戦全てでポールポジションを勝ち取り、7回の優勝に輝いている。
レッドブル・レーシングとルノーのパートナーシップが1−2フィニッシュを再び達成したスパで、サーキットでのエンジン・サポートを担当するルノー・スポールのシリル・デュモンが次のように語った。
スパはルノーエンジン搭載車が苦手なサーキットだと思われていましたが、ポールポジション獲得と1−2フィニッシュを考えると、それは間違った認識のようですね? 秘密を教えてください。
秘密なんてないよ! スパはエンジンパワーがかなり重要なサーキットだが、スパのようなコンディション(滑りやすいなど)では、コーナー出口の加速がスムーズなエンジンであることも非常に重要なんだ。
レッドブル・レーシングのメンバーは、RS27エンジンはドライバビリティがとても高いと言いますが、それはどういう意味ですか?
基本的には、コーナー出口でアクセルを踏んだ時にトルクがスムーズに発生するので、ドライバーがクルマを操作しやすく、正確にコーナーを抜けることができるということだ。
それがルノーエンジンの強みですか?
他にも色々と良いところはあると思うよ! 確かにドライバビリティはかなり優れていると思うが、燃料効率や冷却システムなど、評価されるべき点は他にもある。かなりの高温にも耐えられるというのもルノーエンジンの強みだ。ラジエーターが小さくて済む分、ボディもコンパクトになる。
「エンジン凍結」も4年目に入りましたが、この間にエンジンを改良するチャンスはありましたか?
ほとんどないと言っていいだろう。2007年にFIAの承認を得てからは、信頼性に関する変更と、経費削減のための変更をたまに行っている程度だ。そういう場合も、FIAに説明して承認を得て、変更を行う前に他のチームの同意を得なければならない。だから、現在のエンジンは2007年度のエンジンとほとんど変わっていないんだ。
ルノーがエンジンを供給する3チームが、異なるKERSシステムを採用しているというのは問題ですか?
問題ではない。KERSもクルマのパッケージの一部には違いないが、KERSはチーム側が管理する部分に関わるものなので、ルノー・スポールでは話にも出ない。
1回のグランプリに何基のエンジンを持ち込むのですか?
その時によって異なる。スパでは、レッドブル・レーシングには6基を用意した(ドライバーあたり3基)。このレースには、(許されている8基のうちの)5基目の新しいエンジンを両方のクルマに搭載した。残りの7戦で使える新しいエンジンはあと3基残っている。これは良い結果だと思う。信頼性もかなり高い。シーズン終盤もエンジンには困らないだろう。
レースに新しいエンジンを投入するか、使用済みのエンジンを使うかは誰が決めるのですか?
通常はルノー・スポールとレッドブルの話し合いによって決める。コースレイアウトや大気条件などの様々なパラメーターがあるので、我々はどのタイミングで新しいエンジンを投入するかを提案する。我々がまとめた、そのシーズンの計画を、レッドブルが必要に応じて調整する。スパやモンツァなど、最大限のパワーが必要なコースには、(彼らの判断で)新しいエンジンを採用する場合もある。ハンガロリンクなどのエンジンパワーがあまり重要ではない場所では、その逆の場合もある。
スパ、モンツァ、鈴鹿のようなパワーサーキットでは、新しいエンジンが使われる可能性が高いということですか?
そうとも言える。純粋にコースレイアウトの問題ならば、インテルラゴスも入るが、(海抜2500フィートの)サンパウロは気圧が低くエンジンパワーが落ちるので、それほど重要ではないんだ。
どのようにエンジンを供給するのですか? 1台のクルマに使えるエンジンは年間8基ですが、チームは3月に16基のエンジンを受け取るのですか?
いや、一度に全てのエンジンを渡すわけではない。シーズンの初めに16基のレース用エンジン全てを供給することはできない。単純に、そんなに早くエンジンを作らないからだ。そんなことをしたら、ヴィリ・シャティヨン(パリ近郊のルノー・スポールの本拠地)で働く大勢の人たちの、その年の仕事がなくなってしまうからね。
レースで使った古いエンジンは、金曜日の練習走行でその役割を終えることが多いですが、決まった走行距離があるのですか? それとも、壊れるまで走らせるのですか?
エンジンは走行可能な距離が決まっていて、その距離を走り終えた時点で回収する。チームの迷惑になるから、プラクティスでエンジンをブローアップさせるわけにいかないんだよ。
レース終了後、エンジンはルノーが持って帰るのですか? それとも、ミルトンキーンズに持ち帰るのですか?
通常はヴィリ・シャティヨンに持って帰る。スパでは、日曜日の朝に、モンツァの第1プラクティスと第2プラクティスで使うエンジンをレッドブルに渡した。チームはそのエンジンをミルトンキーンズへ持ち帰り、ファクトリーでクルマに搭載してイタリアへ運ぶ。2週連続のレースの場合は、日曜日の夜にエンジンを搭載することが多い。
役割を終えたエンジンはどうなるのですか?
使用済みエンジンは、パーツに分解することをFIAに報告し、検査が必要かどうか訊ねる。FIAがその場に立ち会って、検査し、2007年のエンジンと同じかを確認することがあるんだ。これまでに、数多くの優秀なエンジンをそうして来たんだよ!
カテゴリー: F1 / ルノーF1チーム / レッドブル・レーシング
それだけでなく、2011年度のレッドブル・レーシングは、これまでの12戦全てでポールポジションを勝ち取り、7回の優勝に輝いている。
レッドブル・レーシングとルノーのパートナーシップが1−2フィニッシュを再び達成したスパで、サーキットでのエンジン・サポートを担当するルノー・スポールのシリル・デュモンが次のように語った。
スパはルノーエンジン搭載車が苦手なサーキットだと思われていましたが、ポールポジション獲得と1−2フィニッシュを考えると、それは間違った認識のようですね? 秘密を教えてください。
秘密なんてないよ! スパはエンジンパワーがかなり重要なサーキットだが、スパのようなコンディション(滑りやすいなど)では、コーナー出口の加速がスムーズなエンジンであることも非常に重要なんだ。
レッドブル・レーシングのメンバーは、RS27エンジンはドライバビリティがとても高いと言いますが、それはどういう意味ですか?
基本的には、コーナー出口でアクセルを踏んだ時にトルクがスムーズに発生するので、ドライバーがクルマを操作しやすく、正確にコーナーを抜けることができるということだ。
それがルノーエンジンの強みですか?
他にも色々と良いところはあると思うよ! 確かにドライバビリティはかなり優れていると思うが、燃料効率や冷却システムなど、評価されるべき点は他にもある。かなりの高温にも耐えられるというのもルノーエンジンの強みだ。ラジエーターが小さくて済む分、ボディもコンパクトになる。
「エンジン凍結」も4年目に入りましたが、この間にエンジンを改良するチャンスはありましたか?
ほとんどないと言っていいだろう。2007年にFIAの承認を得てからは、信頼性に関する変更と、経費削減のための変更をたまに行っている程度だ。そういう場合も、FIAに説明して承認を得て、変更を行う前に他のチームの同意を得なければならない。だから、現在のエンジンは2007年度のエンジンとほとんど変わっていないんだ。
ルノーがエンジンを供給する3チームが、異なるKERSシステムを採用しているというのは問題ですか?
問題ではない。KERSもクルマのパッケージの一部には違いないが、KERSはチーム側が管理する部分に関わるものなので、ルノー・スポールでは話にも出ない。
1回のグランプリに何基のエンジンを持ち込むのですか?
その時によって異なる。スパでは、レッドブル・レーシングには6基を用意した(ドライバーあたり3基)。このレースには、(許されている8基のうちの)5基目の新しいエンジンを両方のクルマに搭載した。残りの7戦で使える新しいエンジンはあと3基残っている。これは良い結果だと思う。信頼性もかなり高い。シーズン終盤もエンジンには困らないだろう。
レースに新しいエンジンを投入するか、使用済みのエンジンを使うかは誰が決めるのですか?
通常はルノー・スポールとレッドブルの話し合いによって決める。コースレイアウトや大気条件などの様々なパラメーターがあるので、我々はどのタイミングで新しいエンジンを投入するかを提案する。我々がまとめた、そのシーズンの計画を、レッドブルが必要に応じて調整する。スパやモンツァなど、最大限のパワーが必要なコースには、(彼らの判断で)新しいエンジンを採用する場合もある。ハンガロリンクなどのエンジンパワーがあまり重要ではない場所では、その逆の場合もある。
スパ、モンツァ、鈴鹿のようなパワーサーキットでは、新しいエンジンが使われる可能性が高いということですか?
そうとも言える。純粋にコースレイアウトの問題ならば、インテルラゴスも入るが、(海抜2500フィートの)サンパウロは気圧が低くエンジンパワーが落ちるので、それほど重要ではないんだ。
どのようにエンジンを供給するのですか? 1台のクルマに使えるエンジンは年間8基ですが、チームは3月に16基のエンジンを受け取るのですか?
いや、一度に全てのエンジンを渡すわけではない。シーズンの初めに16基のレース用エンジン全てを供給することはできない。単純に、そんなに早くエンジンを作らないからだ。そんなことをしたら、ヴィリ・シャティヨン(パリ近郊のルノー・スポールの本拠地)で働く大勢の人たちの、その年の仕事がなくなってしまうからね。
レースで使った古いエンジンは、金曜日の練習走行でその役割を終えることが多いですが、決まった走行距離があるのですか? それとも、壊れるまで走らせるのですか?
エンジンは走行可能な距離が決まっていて、その距離を走り終えた時点で回収する。チームの迷惑になるから、プラクティスでエンジンをブローアップさせるわけにいかないんだよ。
レース終了後、エンジンはルノーが持って帰るのですか? それとも、ミルトンキーンズに持ち帰るのですか?
通常はヴィリ・シャティヨンに持って帰る。スパでは、日曜日の朝に、モンツァの第1プラクティスと第2プラクティスで使うエンジンをレッドブルに渡した。チームはそのエンジンをミルトンキーンズへ持ち帰り、ファクトリーでクルマに搭載してイタリアへ運ぶ。2週連続のレースの場合は、日曜日の夜にエンジンを搭載することが多い。
役割を終えたエンジンはどうなるのですか?
使用済みエンジンは、パーツに分解することをFIAに報告し、検査が必要かどうか訊ねる。FIAがその場に立ち会って、検査し、2007年のエンジンと同じかを確認することがあるんだ。これまでに、数多くの優秀なエンジンをそうして来たんだよ!
カテゴリー: F1 / ルノーF1チーム / レッドブル・レーシング