ヘルムート・マルコ、F1復帰を完全否定「レッドブル以外では考えられない」
ヘルムート・マルコが2025年シーズン末をもって表舞台から退いたことは、レッドブル内部で続いてきた大きな人事の動きにおける、ひとつの区切りとなった。20年以上にわたりチームの中枢を担ってきた82歳のオーストリア人は、2026年シーズンを初めて「当事者ではない立場」で迎えることになる。

現在のマルコは、ミルトンキーンズのチームの動向や、愛弟子であるマックス・フェルスタッペンのパフォーマンスを注意深く見守る“観察者”の立場にある。

その距離感こそが、F1のパドックへの復帰が完全に否定される理由なのかもしれない。

マルコは、レッドブル創設者ディートリッヒ・マテシッツの盟友であり、右腕としてチームを一から築き上げてきた人物だ。その長いキャリアを経て、今さら新たな職を求めるつもりはないという。

ついに迎えた“本当の引退生活”
その胸中を明かしたのが、オーストリア公共放送ORFの長時間インタビューだった。マルコ自身、ようやく引退生活を楽しむ準備ができたと語っている。

「もうF1に完全に関わっているわけではないが、何が起きているかは把握している。いい点は、いまは一切のプレッシャーを感じないことだ。『エンジンが壊れたらどうしよう』『何かがうまくいかなかったらどうしよう』といった考えで夜眠れなくなることもない。直接的な責任はもうない。もちろん、レッドブルが最高の結果を出してくれることには関心があるが、今の自分にとってはずっとリラックスした状況だ」

常に結果と責任に縛られてきたこれまでとは、明らかに異なる心境がにじむ言葉だ。

レッドブル・レーシングで多くの成功を収めたヘルムート・マルコ

他チームでのF1復帰は「完全にあり得ない」
マルコはさらに、他チームでF1に戻る可能性についても、明確に否定した。

「別のチームでF1に戻る? それは完全に議論の余地もない。時々、声がかかったり、水面下でかなり興味深い話をしたこともあったが、F1で成功を収めたのはレッドブルと共にだった。その記憶をこのまま残したい。他の何ものも、それに取って代わることはできない」

この発言は、2024年から2025年にかけて、ミルトンキーンズのチームが大きく揺れていた時期に流れた噂を想起させる。当時、トト・ヴォルフ率いるメルセデスが、マルコを迎え入れることで、将来的なフェルスタッペン獲得への布石にしようとしていたのではないか、という観測もあった。

しかし、マルコ本人の言葉によって、そうした可能性は完全に否定された。ヘルムート・マルコにとって、F1はすでに一区切りを迎えた存在だ。今後は距離を保ち、後悔も未練もなく、その世界を見つめ続けていくことになる。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング