ヘルムート・マルコ、2025年末でレッドブルF1を退団へ “21年の時代”に幕
レッドブル・レーシングのモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコが、当初2026年までとされていた契約に先立ち、2025年末をもって退任する見通しとなった。アブダビGP翌日の月曜、レッドブル上層部との会談で方針が固まったとオランダメディアが報じている。

ヤス・マリーナでのタイトル決戦後から、マルコの去就には不透明感が漂っていた。82歳のマルコ本人も契約継続について明言を避け、「複雑な要素がいくつもある」「一晩考えてから決める」と語っていた。

レッドブル上層部との会談で“退任”が決定
日曜夜に示唆された「話し合い」は、アブダビで月曜に実施され、スポーティングCEOのオリバー・ミンツラフらレッドブル幹部が出席。その結果、マルコは2025年末をもってレッドブルのモータースポーツアドバイザー職を退く方向となった。

マルコの契約は本来、2026年シーズンも含めて延長されていたが、この2年契約は完遂されないことになる。

チーム代表ローラン・メキースも以前から組織見直しを示唆しており、「F1は静的な世界ではなく、常に組織全体を見直し続ける必要がある」とコメント。マルコの去就に関して直接は語らなかったものの、レッドブルが次世代に向けて体制強化を進めていることをにじませた。

ヘルムート・マルコ レッドブル F1

“ホーナー後”の再編。オーストリア本社の関与強化も
パドックでは、オーストリア本社がF1運営への関与を強めるとの見方が広がっている。広報部門でも変化があり、ポール・スミス離脱後は本社から新たなPR責任者が送り込まれたとされる。

メキースは「どれだけ小さくても組織を前進させるための“次のステップ”を常に探している」と語り、2025年シーズン中盤に直面した難局を乗り越えるうえでマルコが果たした役割に感謝を述べた。

21年の歴史に幕。ベッテル、フェルスタッペン生んだ“育成の象徴”
2005年、ジャガー買収を経てレッドブルがF1参戦を本格化させた際、創業者ディートリッヒ・マテシッツの右腕として選ばれたのがマルコだった。
以降21年にわたり、彼はレッドブル・ジュニアの統括者としてセバスチャン・ベッテル、マックス・フェルスタッペンらをF1へ押し上げた。

特にフェルスタッペンを巡っては、当時メルセデスがGP2行きを想定する中、マルコが即座にトロロッソでのF1デビューを提示し、その後の“最強エース育成”へつながった。

2024年サウジアラビアGPでホーナーをめぐる内紛が激化した際も、フェルスタッペンはマルコを強く擁護していた。
しかし2025年12月31日をもって、両者の長きにわたる公式な協力関係は幕を閉じることになる。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング