レッドブルF1の未来を左右? ヘルムート・マルコ去就問題が表面化

さらに、フェルスタッペンのレースエンジニアであるジャンピエロ・ランビアーゼがチェッカーフラッグ直後に涙を見せた理由についても注目が集まっている。シーズン途中に私的な事情で2戦を欠場するなど、彼にとっても2025年は試練の年だった。
マルコの去就に再び不透明感──「複雑な要素がある」
アブダビGP後、マルコは報道陣に対して自身の将来について次のように語った。
「疑問はない。しかし話し合いをして、そのあとでどうするか決める」
「複数の複雑な要素がある。よく考える必要がある。眠ってから決める」
この発言は、レッドブルのF1参戦に20年間携わってきた82歳のマルコが、2026年に向けて役割を続けるかどうか「真剣に検討している」ことを示唆するものだった。マルコは2004年、ディートリッヒ・マテシッツがジャガーF1を買収した直後から現在までレッドブルF1の中枢に関わり続けてきた“最後の生き残り”であり、チームのジュニア育成プログラムを20年以上統括してきた人物でもある。
2025年夏にはクリスチャン・ホーナーが退任し、ローラン・メキースがチーム代表に就任。これにより、レッドブルGmbH側の影響力が強まり、マルコの決定権との調整が課題として浮上していたという。
PlanetF1.com によれば、・マルコの後任候補としてセバスチャン・ベッテル、ゲルハルト・ベルガーなどの名が“非公式”に挙がった・新経営体制(ミンツラフ、メキース)との関係が一部で緊張状態になったとされ、すでに「継承プラン」が議論されてきたと報じられている。
さらに、カタールGPでマルコがキミ・アントネッリに関する発言を行い、それがSNS上の過激な反応につながった件が“決定打になった”可能性も指摘されている。メキースは次のように語り、組織の見直し自体は否定せず、マルコへの感謝を強調した。
「ヘルムートは我々がシーズン中に困難を乗り越え、改善するために大きく貢献してくれた」「F1は静的な環境ではない。常に組織を見直し、どう改善できるかを検証していくものだ」
こうしたコメントからも、マルコの将来が“チーム内部で正式に協議される段階”に入ったことは確実とみられる。

ランビアーゼが涙を見せた理由──「友人として誇りに思う」
アブダビGPのチェッカー直後、フェルスタッペンのレースエンジニアであるジャンピエロ・ランビアーゼ(“GP”)が涙を浮かべ、チームメイトやマルコに慰められる姿が放送に映し出された。ランビアーゼは2025年、私的な事情によりオーストリアGPとベルギーGPを欠場しており、シーズンは精神的にも大変厳しいものだったという。
フェルスタッペンはレース後、ランビアーゼについて熱い思いを語った。
「今年は感情的な一年だった。詳細には踏み込まないが、彼にとって簡単ではなかった」
「彼はレースエンジニアというだけでなく、友人だ。僕たちは多くのことを一緒に経験してきた」
「最後に感情的になったのは当然だと思う。今日はゆっくり彼と話したい。彼のような人と働けることを誇りに思う」
フェルスタッペンにとってランビアーゼは単なるエンジニアではなく、キャリアを共に歩んできた“戦友”でもある。タイトルこそ失ったが、二人にとってこの日がいかに大きな意味を持つものだったかが感じ取れる。
レッドブルは今どこへ向かうのか
ホーナー退任、メキース体制の確立、そしてマルコの去就問題。2025年のレッドブルは大きな転換点を迎えている。
メキースは表向きには「通常の見直し」と説明しつつも、組織再編の可能性を否定しない姿勢を明確にしている。
フェルスタッペンは2025年終盤に大逆襲を見せたものの、タイトルには2ポイント届かなかった。この結果がマルコの心境に影響を与えた可能性も指摘されている。
PlanetF1.com の報道によれば、マルコに関する正式な協議はシーズン終了後に行われる予定であり、2026年体制の最終決定はこれから下されることになる。
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