角田裕毅 レッドブルF1残留へ正念場 2026年シート争い白熱
2026年にレッドブルでマックス・フェルスタッペンのチームメイトになる座を巡る争いは激しさを増している。角田裕毅、アイザック・ハジャー、リアム・ローソンがバクーで揃って好成績を収め、レッドブル・ファミリーの4台すべてが2020年ロシアGP以来初めて揃ってポイントを獲得した。

角田裕毅は現役のシート保持者だが、ルーキーのハジャーはすでに強烈な印象を残しており、ローソンも勢いを増している。さらにレッドブル・ジュニアのアービッド・リンドブラッドは現在F2ランキング7位につけている。

これはレッドブル代表ローラン・メキースとレーシングブルズ代表アラン・パーメインにとって「嬉しい悩み」だ。最終決定を急ぐ必要はないが、最終戦アブダビまでには結論が出される見込みだ。それまでの間、4人全員に自らの実力を証明する時間は残されている。

角田裕毅
レッドブル・レーシング 角田裕毅
角田裕毅は日本GP直前に、レッドブルがローソンをわずか2戦で放出し、25歳の彼を昇格させたことで待ち望んでいたチャンスを掴んだ。しかし、オーストラリアGPで5番手スタート、中国スプリントで6位入賞というレーシングブルズ時代の好調を再現することはできず、第17戦バクーまで結果が遠ざかった。

これは、レッドブルの2台目のシートを与えられたドライバーが、ガレージの反対側で圧倒的な走りを見せるフェルスタッペンの前で苦しむというおなじみのパターンであり、角田裕毅も例外ではなかった。

しかし、かつてのレーシングブルズ代表であるメキースがこの夏にレッドブルの上司となって以来、角田裕毅の調子は上向いている。予選ペースを改善し、なぜ決勝でペースを発揮できないのかを理解するためにチームと努力を重ねた。その一環として夏休みに日本へ帰国する予定を取りやめ、シミュレーターでエンジニアと作業を行った。

バクーの金曜には、フェルスタッペンのデータから得たヒントをシミュレーターで試した変更が現実のマシンで自信とラップタイムに直結し、「ロングランはずっと良くなった。今のところロングランで意味が出てきた」と語った。レースでもその勢いを維持し、6位を獲得。「これで将来に向けてもっと自信が持てる」と語り、上層部からも称賛を受けた。

もちろんまだ1戦だけであり、残りのシーズンで安定して結果を出すことが求められる。それをやり遂げれば、レッドブルにとって来年を考える上で悩ましい材料になるだろう。さらに、F1でほぼ5年の経験を持つ角田裕毅は、2026年の新レギュレーション導入とフォードとの提携による新PU初年度においても価値を発揮する可能性がある。

もしレッドブルが別の選択をした場合でも、角田裕毅はレーシングブルズに戻る可能性を残しており、同チームはコンストラクターズ5位争いを繰り広げる常連ポイント獲得チームに成長している。両チームでシートを得られなかった場合でも、2026年からホンダPUを使用するアストンマーティンでリザーブの可能性や、アルピーヌで元チームメイトのピエール・ガスリーとの再会の道もある。

しかし当面の「プランA」は、バクーのような走りを続けてレッドブルのシートを守ることだ。

アイザック・ハジャー
レッドブル・レーシング アイザック・ハジャー
ハジャーのルーキーシーズンは、デビュー戦のフォーメーションラップでクラッシュする波乱の幕開けとなった。しかしその後は急速に調子を上げ、オランダGPでは見事な初表彰台を獲得。ここまで8戦と1回のスプリントでポイントを獲得し、ドライバーズランキング9位につけている。

その印象的な走りにより、数週間前から来季のレッドブル昇格候補として強く噂されている。パーメイン代表は「彼の良いところは、アドバイスを受け入れる姿勢だ。自分のやり方だけに固執せず、16戦しかしていないことを理解している」と評価している。

一方で本人は自分に厳しく、バクーでは予選で風に翻弄され、決勝でもミスを犯して2つ順位を落とし10位に終わった。ちょうどローソンと角田裕毅が今季最高の週末を過ごしたタイミングだったこともあり、苛立ちは募った。

しかし、ここまでの17戦で積み上げた成果を考えれば、彼は十分な評価を得ており、レッドブル上層部も高く評価している。最高のシナリオはレッドブル昇格、最低でもレーシングブルズ残留という立場にあり、非常に有利な状況だ。

リアム・ローソン
レッドブル・レーシング リアム・ローソン
ローソンは、わずか2戦でレッドブルから降格された痛みを乗り越えるのに時間を要した。レーシングブルズ移籍直後の数戦は精彩を欠いたが、第6戦で8位を獲得して以降、さらに4度の入賞を重ねた。

23歳の彼は、今がまさに復調の時期。バクーでのキャリアベスト5位は直近5戦で3度目の入賞であり、この期間での獲得ポイントはチームメイトのハジャーと同数だ。パドック内ではレッドブル復帰は現実的ではないとの見方が強いが、レーシングブルズでの残留の可能性は十分ある。特にハジャーが急成長を遂げているため、角田裕毅やリンドブラッドとの直接対決となりそうだ。今の勢いを維持できれば、来季のシートを確保する可能性は高い。

アービッド・リンドブラッド
レッドブル・レーシング アービッド・リンドブラッド
リンドブラッドは、F1昇格を狙うレッドブル・ジュニアの中で最も有望株と目されている。昨年のF3デビュー戦で優勝し、最終戦まで新人で唯一タイトル争いに残った実績を持つ。現在F2ではジェッダのスプリントとバルセロナの決勝で勝利を挙げたが、ランキングは7位にとどまり、タイトル争いからは脱落している。

それでもレッドブルは彼を高く評価しており、レーシングブルズの旧型マシンを使ったプライベートテストを2度実施し、さらにイギリスGPではFP1デビューも果たした。スピード、成熟度、適応力が際立っており、すでにスーパーライセンスも取得済みだ。

来季すぐにレーシングブルズに昇格するか、あるいはF2で2年目を戦いタイトルを狙うかは、レッドブルが下す判断次第となる。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング