フェルスタッペン復活の狼煙 レッドブルF1に待望のブレークスルー

フェルスタッペンとレッドブルは、マイアミでマクラーレンに見せつけられた「憂鬱な」までの圧倒的な強さに打ちのめされる形でイモラへと向かった。チームアドバイザーのヘルムート・マルコと、フェルスタッペンの父ヨスは、イモラに投入するアップグレードこそがタイトル争いを立て直す「最後のチャンス」になるかもしれないと語っていた。
その中でポール・トゥ・ウィンを達成したフェルスタッペンの走りに、マルコは喜びを露わにした。
「今回はいくつか新しいパーツを持ち込んだ」とマルコは語り、フェルスタッペンの優勝によって選手権でのポイント差が22点に縮まったことにも触れた。
「マクラーレンよりも明らかに速かったと思う。今回は我々のほうが上だった。これは1年ぶりに、アップグレードがマシンに良い影響を与えた初めてのケースだ。満足しているし、モナコにも自信を持って臨める」
重要なのは、イモラのサーキットが2025年型マシンの特性に合っていたというだけでなく、レッドブルがタイヤのデグラデーション(摩耗)というマクラーレン最大の強みを削り取ってみせたことだ。
「少なくともタイヤの摩耗に関してはマクラーレンと同等だった」とマルコは続けた。
「今回はマシンのバランスが久々に良くて、マックスが思い通りの走りをすることができた。こんな結果が見られて本当に良かった」
技術的課題の克服が生んだ自信と反攻の兆し
それ以前、レッドブルの関係者たちは、風洞で得られたデータと実際のサーキットでの挙動との間に明確な不一致があることを嘆いていた。
「その因果関係について、ようやく理解が進んできたところだ」と語ったのは、チーム代表のクリスチャン・ホーナー。
「今回は多くの新パーツを投入したが、それが大きな要因になったことは間違いない」
エイドリアン・ニューウェイの離脱以降、批判を浴びてきたテクニカルディレクターのピエール・ワシェも、日曜の決勝後に珍しくメディアの前に姿を見せた。
注目の発言は、今回のイモラでの成果をレッドブルにとっての「ブレークスルー」だと認めた点だ。
「その通りだと思う」とフランス人のワシェは語った。
「アップグレードの効果は明確に出た。タイヤのマネジメント面でもそうだった。マイアミで第一歩を踏み出して、今回は第二歩だ。セットアップの進歩も大きかったし、新しいパッケージのおかげで、今後さらなる向上の余地が広がった」

イモラには多くのトップチームが大規模なアップグレードを持ち込んでいたが、マクラーレン代表のアンドレア・ステラは、最速の座を再び確実なものとするためにはさらなる進化が必要だと認める。
「今回のレッドブルのアップデートを見ても、我々は警戒しなければならない」とステラ。
「レッドブルはこのレースに新パーツを持ち込んだし、次戦にも持ち込んでくるだろう。我々も悠長に構えているわけにはいかない。とはいえ、重要な新要素を加えるにはあと数戦は必要になる」
ワシェも同意する。
「マクラーレンのクルマは非常に良い。それに加えて今後もアップデートを続けてくる。我々も全力で開発を続ける必要がある」
そしてフェルスタッペン自身も、2026年にレッドブルを離れる可能性を示唆していた時期があったが、久しぶりに「クルマに満足している」と感じられたことに安堵していた。
それでも、Viaplayとのインタビューでは冷静さを保つよう自らを戒めた。
「今は落ち着いていることが大事だ。あまり騒ぎ立てないほうがいい」と警戒を口にする。
最大の懸念は、やはりマクラーレンの「タイヤ管理能力の高さ」だった。
「もちろん僕のタイヤも摩耗していた」と27歳のフェルスタッペンは語った。
「でも、周りのほとんどのマシンよりはマシだった」
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