レッドブル・ホンダF1 分析:弱点である風に敏感な特性とデプロイメント / F1ポルトガルGP 金曜フリー走行
レッドブル・ホンダF1は、F1ポルトガルGP初日のフリー走行でまずまずの滑り出しを見せたと言えるが、少ない走行のなかでもアルガルベ・サーキットで改善しなければならない2つの課題が見えてきた。

全チームにとってアルガルベ・サーキットでの本格走行は初。路面が再舗装されたばかりで油が浮いているような状況ということもあり、ある意味でフリー走行1回目はチームとドライバーがサーキットに慣れるための時間となった。

ほぼタイトルを手中に収めているライバルであるメルセデスが今季マシンの開発をストップして2021年に焦点を当てるというアプローチなのに対し、レッドブル・ホンダF1は、来季の『RB16B』につなげるべく、RB16の開発を継続している。

フリー走行1回目では序盤はマックス・フェルスタッペンのマシンにフロービズが塗られ、空力テストが実施された。今季のRB16は風に敏感な空力特性となっており、リアのグリップを突然失うという症状に悩まされた。来季はダウンフォース削減のためにフロアの面積が縮小されることもあり、リア周りの問題を解決しておくことが必須となる。過去数戦でレッドブル・ホンダF1は空力アップデートを導入しており、特にリア周りのスペースには改善が加えられている。

しかし、マックス・フェルスタッペンはいきなりスピンを喫するなど序盤のテスト段階ではソリューションを探っている様子が見て取れた。

「路面に新たな舗装が施されたことで、使えるラインが1つしかなく、膨らんでしまうと大きくグリップを失う状況だった」とマックス・フェルスタッペンと振り返る。

チームメイトのアレクサンダー・アルボンも「走行ごとに風の状況が異なり、タイムが不安定になっていたので、今日の結果では、僕らの立ち位置を判断するのは難しい」とまだまだ風への対応が課題であること示唆している。

もう一つの課題がデプロイメントだ。F1イタリアGPから“予選モード”が禁止となり、予選と決勝で同一のICEモードを使用することが義務付けられた。当初はメルセデスの予選に影響を与えると思われたこの技術指令だが、逆にパワーユニットの優位性が顕著に表れる結果となっている。

特にMGU-Hのデプロイメントについてはホンダよりもメルセデスが優れている。初日のフリー走行でも、ストレートでホンダのF1エンジンの“デプロイ切れ”が起こっていたのにに対し、メルセデスは最後まで加速を続けていた。

アルガルベ・サーキットは、ブレーキングソーンが事実上7箇所であり、さらに低速コーナーが多く、ヘビーブレーキングではないため、MGU-Kのエネルギーを回生しずらい。そのため、MGU-Hのエネルギーをいかに効率的に配分できるかが重要となる。

当然、ホンダF1側もシミュレーションを重ねてきたはずだが、現実での走行は異なるもの。幸いにもFP2のピレリのタイヤテストでは安定した走行量が稼げたため、初日のデータ分析の結果が2日目にどのように表れるかが注目のポイントとなる。

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / ホンダF1 / F1ポルトガルGP