レッドブル・ホンダF1:2020年 第1戦 F1オーストリアGP プレビュー
レッドブル・ホンダF1は、2020年のF1世界選手権の開幕戦オーストリアGPにマックス・フェルスタッペン、アレクサンダー・アルボンという布陣で挑む。
昨年、ホンダF1とのパートナーシップを開始したレッドブル・レーシングは、マックス・フェルスタッペンが3勝を含めた9回の表彰台、3回のポールポジション、3回のファステストラップを記録する強さを見せた。
ホンダF1との2年目となる今年は、F1史上最年少ワールドチャンピオンがかかるマックス・フェルスタッペンとともに2013年以来となるタイトル獲得を目指す。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)
「こんなに長い間マシンに乗らなかったのは、カート時代を含めても初めてのことだ。幸い、自宅にはシミュレーターがあるのでロックダウンの期間中はそれを使っていた。多くの人にとって非常に困難な時なので、今はレースに復帰できるだけでうれしい。再びマシンに乗ってレースをできることがうれしい。自由な時間がたくさんあったので、レースに向けてのトレーニングは、これまで以上に充実したものになっている。約6週間、トレーニングを行ってきて、オーストラリアに行く前よりも調子がよくなっていると感じている。今シーズン最初の2戦がホームで行われることもすばらしいことだし、特別な瞬間になることは間違いない。もちろん、応援してくれるファンがいないレッドブル・リンクは寂しく感じるだろう。このサーキットにはいい思い出がたくさんあって、去年のレースの終盤に観客席を見上げたら、みんなが立ち上がって応援していて感動した。優勝後にさらに多くの笑顔を見ることができたので、今年はそれがないのが残念だ。家でテレビを見ている人たちのためにも、いいレースを見せられるように頑張りたい。RB16をドライブするのは久しぶりだ。バルセロナでのテストではいいフィーリングだったけど、マシンには常に改善の余地があるものだ。チームはレースに向けて一生懸命働いてくれているし、マシンのアップグレードもされている。けれど、それはすべてのチームにいえることだから、今のところどのチームが勝つかは分からない。オーストリアの天候も変りやすいので、それも結果に影響すると思う。僕はドライビングに集中して、マシンのパフォーマンスを最大限引き出すことに専念する。今年の目標はチャンピオンだ。このサーキットでの3連勝については意識していない。僕にとって最も重要なのは、速いマシンに乗り、自分のベストを尽くすことだ。 ここが得意のコースだとも思っていない。去年は非常に暑い中で行われ、僕たちのエンジンは冷却面でアドバンテージがあった。だから今年は簡単なレースにならないと思っているし、今回もメルセデスは非常に強いと思う。フェラーリの強さもわからないし、し烈な優勝争いになると思うが頑張る。短い期間にレースが連続するので、レースの合間に自宅に戻ることができない。これは、特に家族を持つチームのメンバーにとっては大変なことだと思う。でも、僕はレースをすることが大好きなので、ストレスだとは思わない。最初のレースの結果にもよるが、レッドブル・リンクでレースが連続することは、移動がないという点でいいことだと思う。2戦目はどのチームも1戦目の経験があるので接戦になるだろうけど、1戦目で問題を抱えていたとしても、2戦目には新しいことを試すことができる。最初のレースで、マシンの情報を得ることができるのもいい。通常の戦い方とは違うものになるだろう。2020年はチャンピオン争いができることを願っている。一つ確かなことは、僕らができることはすべてやって戦うということだ。メルセデスは今までずっと絶対的な強さを誇るチームだった。勝つのは簡単ではないだろうけど、僕たちもチームとして、昨年の1年間で多くのことを学び、本当に強くなれたと思っている。今シーズンはいいレースができるはずです。差を縮める努力をするし、うまくいけば、彼らに勝てるだろう。ホンダは冬の間にハードワークをしてきて、バルセロナでのテストではすべてが整っていた。トップスピードも十分に出ていたので、これまでの努力にとても満足している。ホンダは非常にモチベーションが高く、タイトル争いをしたいという気持ちは、僕らと同じだと感じている」
アレクサンダー・アルボン(レッドブル・レーシング)
「個人的には、オーストラリアGPの突然の中止は非常に特異なものだったと思う。冬のテストに入って、マシンだけでなく、自分の精神的にもチーム全体としてもレースに臨む準備ができていた。すべてがレースに対して前向きになっていたと思う。メルボルンでのフリー走行に向けて興奮した気持ちで、ホテルで眠れない夜を過ごし、翌朝の食事中に『帰りの飛行機を予約しました』と言われた。その時には、自分はなんのためにここまで来たのかと思ったよ。 オーストリアでの開幕を待ちわびていた。シーズンの再開が決定し、楽しみだ。ロックダウンのあと、ファクトリーに戻った初日は、休み明けの登校日のような気分だった。長い期間を経て、ようやくレースに復帰できるのはよかった。シーズンが中断されている間、イギリスに戻って最初にしたことは、チームとして状況を確認することだった。パドックで感染が起きていたので、チームは安全第一で自己隔離を行っていた。レースに向けてという意味では、あまりできることはなかった。長い間家にいることになりましたが、自宅にはジムの器具がなかったので、ファクトリーのスタッフに集めてきてもらいた。トレーニングに必要なものはなんでもそろうようにして、健康面も問題なかったが、遊びに行くこともできずに毎日を過ごしていたので、集中力が落ち、モチベーションを維持するのは簡単ではなかった。ホーナー代表から電話やメールで最新の情報を貰っていたが、チームとしての動きはそのくらいだった。僕たちはアスリートなので、自分たちの仕事として、いつでもレースができるように準備をしていた。7歳の時にレースを始めて以来、こんなに長くレースから離れて過ごしたことはないので、ただただ異常な状況だった。自宅では感じることのなかった、マシンに乗っているときのスピード感や、コースでラップを完ぺきに走って限界までプッシュする展開が恋しい。フィルミングデーでは、「なんて速いんだ!」と改めて思った。復帰できてうれしい。なにもないスケジュールから、今まで経験したことがないほど忙しいスケジュールになり、レースに関係する全員にとって、大変な日々になるだろう。レースの雰囲気も違う。レースに欠かせない存在であるファンが会場にいないことも、その原因の一つだ。毎週のようにレースが続くことは、チーム全員にとって辛いことで、最初の数戦をしっかりとスタートすることが重要だ。オーストラリアは直前で中止になり走ることができなかったので、どのチームもまずは情報を集めることになると思うが、最初にレースのリズムに乗ったチームが勝てると思う。最初のレースで、可能な限りのエネルギーを持って臨めたチームが、そのあとも強いだろう。時間が空いたので、どんなドライバーであってもなにが起こるか分からない。フィルミングデーでドライブすることができて、調子もよかった。またレースができることがうれしい。みんなこの日を待っていたんだと思う。長い間が空いてしまったが、みんなF1が好きだし恋しい。早くレースを始めたい。最初の2戦は同じレッドブル・リンクで開催されるが、それぞれが別のレースのように扱われ、それぞれにフリー走行日もある。普段のレースと最も異なるのは2戦目になると思う。開幕戦と直接比較する絶好の機会だし、通常の週末のレースではリスクが高くてできないことでも試せると思う。同じサーキット、同じ気候で、いろいろなことを試すことができるので、どのチームも2戦目の予選ではリスクを顧みずに臨むだろう。うまくいかなければ、開幕戦の仕様に戻せばいいんだからね。もし初戦でトップになったチームと差が大きければ、そのラップタイムを取り戻すのは難しい。差が出る可能性は高いですし、僕たちのようなトップチームはデータを調べなければならないと思う。ドライバーとしての僕たちのフィードバックを最大限に活用し、開幕戦のあとの改善に集中する必要がある。まだシーズンの途中までのレースしか確定していないが、どのくらいレースをするのか、どんなサーキットに行くのか、分からないことがあるだけで、僕たちの仕事に変化はない。毎週末に最大限の力を発揮することだけが仕事だ。通常の週末と違って準備する時間が短く、シミュレーターができなかったり、同じサーキットで2回レースがあったり、行ったことのないコースでの開催もあると思うが、これはいい機会だと思う。柔軟性に富んでいることがいいチームやドライバーの条件だと思うし、マシンとコースをよく理解しているはずだ。そこはチームとしてかなりうまくいっている部分だと思う。このチームは情報を整理して、マシンのスピードを上げることに長けている。きっといい結果になるだろう。レースが連続することによって、ドライバーの体力がパフォーマンスに影響することは間違いなくあると思う。最初の2戦は、コーナーが少なくて楽なサーキットだし、長いストレートの合間には息抜きの時間も多いので、それほどではないと思う。ハンガリー戦以降は、状況は変わると思う。それまでには、レースを重ねているので、スムーズにできるようになっている部分もあるはずだ。ただ、レースは3週間連続しているので、休みはほとんどないだろう。ハンガリーは体力が要るコースなので、影響が出るかもしれない。どのチームが強いのかバルセロナの冬のテストでは、結論が出ていなかった。この4カ月の休止期間があったことを考慮すると、余計に分からない。新型コロナウイルスの影響でファクトリーの閉鎖があったので、チームにはそれほど時間がなかったと思う。レッドブル・リンクは、コーナー数が少なく、マシンの性能を最大限に活用して差をつけることは難しいので、予選は拮抗すると思う。過去2年間のマックス(フェルスタッペン)の結果のように、レースではなにが起きるか分らない。タイヤを温存できるし、気温が高いのも普段通りなので、特別なことはないと思っている。冬のテストではマシンの感触もよかったし、フィルミングデーでもすべてがいい状態になっていると思ったので、あとは走って確認するだけだ。レース再開にあたっての新型コロナウイルスの対策については、非常によく準備されているようだ。かなり複雑になりそうだが、ファクトリーのスタッフは皆、すでに適応できている。僕はファクトリーにいたが、チームの努力には目を見張るものがある。このことは、安全につながる。僕たちは一緒にたくさんの国を回るし、外部との接触を可能な限り避けた、小さな『バブル』の中にいることになる。僕たちは、常にすべてのことに気を配らなければならない」
クリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシング チーム代表)
「レッドブル・リンクは、パンデミックの影響でレースが減少していく中で、早期からF1再開に向けて取り組んでいました。ディートリヒ・マテシッツ氏(レッドブル創業者)とレッドブル社に感謝しています。私たちはプロモーターと密接に協力して、このレースを実現させるための努力をしてきました。F1を運営しているリバティメディアの皆さんが、F1再開のために適切かつ安全な環境を提供し、またオーストリアで2週連続のレース開催するために、多大な努力をされてきたおかげで、私たちはホームでのレースウイークを迎えることができました。F1や開催国では、スタッフや全メンバーの感染対策に大きな力を注いでおり、チームは基本的に外部との接触を断った「ソーシャル・バブル」の中で仕事をすることになります。それぞれのチームは別々のホテルに宿泊しますし、ホスピタリティチームもレースには参加しません。ピットウォールでのセッション中はフェイスマスクを着用します。通常のレース前のグリッドや表彰台でのセレモニーなどは行われませんので、これまでとは異なるレースになるでしょうが、安全な環境を作るためです。さらに、レースの過程でもコロナウイルスの検査が実施されます。感染対策は徹底していて、安全で管理された環境が整っています。いよいよレースが再開されますが、メルボルンでの出来事は今となってはとても昔のことのように感じています。本来であればシーズンが中盤に差しかかる時期に、ようやく再開すると考えると、ちょっと不思議な感じがします。F1チームが2カ月半も休止状態になる異常事態で、その期間中にもチームの感覚を維持する必要は当然のこととしてありました。そのため、最新の情報をチームに伝えることはもちろん、オンラインでのフィットネス・クラス、金曜日の夜のクイズ大会、スタッフが私に質問できるタウンホール・ミーティングなど、ドライバーとチーム・メンバーとの関わりを維持する活動などを行いました。この活動は、先行きが不透明な時期には非常に重要なものでした。またロックダウン中は、チームを超えた調整作業が多く行われており、個々のチームだけでなく、F1全体の利益になるような解決策を見つけようとする仲間意識がありました。新しいレギュレーションの導入を遅らせることや、コスト制限の上限を下げることなどを決定しました。危機的状況に陥ったときはチーム同士の連携が非常に重要です。レース再開後は、活動が制限されるので微調整が必要になるでしょう。2022年に向けた新しいレギュレーションにあるコスト規制については、全く新しいものであり、今後さらに詳細が決定されると思います。去年の11月以来、7カ月間もレースをしていなかった状態から、一気にレースが再開されます。今回のように短期間に多くのレースが連続する場合、マシンの信頼性が重要になってきます。多くのレースが行われるので、関係者全員にとって厳しい時期になるでしょう。再開直後は激しい展開もあるでしょうし、私たちはチャンスを最大限に活かすことが重要になってきます。今年は異例の幕開けとなりますが、過去6年、圧倒的な強さを誇るメルセデスに挑戦するためには、それが必要なことなのかもしれません。フィルミングデーでマシンを確認することができたのはすばらしいことでした。なんのためにここまで頑張ってきたのか、自分たちの目標はなんなのかを思い出させてくれました。レースがスタートすれば、マシンとレースに集中することになります。すべてはコース上でなにが起こるかにかかっていると思っています。2020年はすばらしいシーズンになると思います。もちろん、ドライバーたちはレースの感覚が鈍った部分もあるかもしれませんが、彼らはプロですから、すぐに克服できるでしょう。レースは激しいものになるでしょうし、これまでとは少し違ったプレッシャーとダイナミクスがもたらされると思います。レースをとても楽しみにしていますし、チームは2013年以来の総合優勝を目指しています。開幕戦は全員が同じ条件で臨むことになるので、マックス・フェルスタッペンのプレッシャーは例年と変わらないと思います。シーズン前のテストではメルセデスが依然として好調でしたが、今年の私たちのマシンにはポテンシャルがあると感じていますし、期待しています。私は心からドライバーたちを信じ、勝利を祈っています。私たちは非常に強いチームです。メルセデスに挑戦するための設備とツールで、今年は勝利に導きたいと考えています。忘れられがちですが、アレクサンダー・アルボンは、F1ではまだ2年目のシーズンです。しかも、昨年はシーズン途中に移籍し、見事な活躍をみせました。彼はプレッシャーにとても強いように見えますし、昨シーズンの成績をさらに伸ばしてくれると思います。彼にはチャンスが巡ってくるでしょう。今年はさまざまな面からも、とても期待しています。シーズン前に行われたザントフォールトとバルセロナでのテストやモントリオールでの結果を踏まえ、マシンはさらにアップデートが行われています。シャットダウン後に得られた情報はすべてマシンに反映され、シャットダウン前に準備されていた状態から進化しているでしょう。ほかのチームもそうだと思います。私たちがオーストリアでどのポジションにいるかはまだ分かりません。また、PUのアップグレードもされています。6月初旬にファクトリーが再開されて以来、時間と勝負をしながら、マシンのあらゆる面で努力を重ねてきました。ホンダとの関係は2年目に入り、チーム内での一体感が増してきました。ホンダのデビューシーズンだった昨年は3勝を挙げましたが、今年はそれ以上を期待しています。彼らは私たちと同じ野心を持っています。オフシーズン中も懸命に開発を続け、もちろん今年はより高い目標を持って臨んでくれています。PUはマシンの重要な部分であり、ホンダは私たちが前進し、シリーズ制覇に挑戦するための重要なパートナーです」
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / ホンダF1 / F1オーストリアGP
昨年、ホンダF1とのパートナーシップを開始したレッドブル・レーシングは、マックス・フェルスタッペンが3勝を含めた9回の表彰台、3回のポールポジション、3回のファステストラップを記録する強さを見せた。
ホンダF1との2年目となる今年は、F1史上最年少ワールドチャンピオンがかかるマックス・フェルスタッペンとともに2013年以来となるタイトル獲得を目指す。
マックス・フェルスタッペン(レッドブル・レーシング)
「こんなに長い間マシンに乗らなかったのは、カート時代を含めても初めてのことだ。幸い、自宅にはシミュレーターがあるのでロックダウンの期間中はそれを使っていた。多くの人にとって非常に困難な時なので、今はレースに復帰できるだけでうれしい。再びマシンに乗ってレースをできることがうれしい。自由な時間がたくさんあったので、レースに向けてのトレーニングは、これまで以上に充実したものになっている。約6週間、トレーニングを行ってきて、オーストラリアに行く前よりも調子がよくなっていると感じている。今シーズン最初の2戦がホームで行われることもすばらしいことだし、特別な瞬間になることは間違いない。もちろん、応援してくれるファンがいないレッドブル・リンクは寂しく感じるだろう。このサーキットにはいい思い出がたくさんあって、去年のレースの終盤に観客席を見上げたら、みんなが立ち上がって応援していて感動した。優勝後にさらに多くの笑顔を見ることができたので、今年はそれがないのが残念だ。家でテレビを見ている人たちのためにも、いいレースを見せられるように頑張りたい。RB16をドライブするのは久しぶりだ。バルセロナでのテストではいいフィーリングだったけど、マシンには常に改善の余地があるものだ。チームはレースに向けて一生懸命働いてくれているし、マシンのアップグレードもされている。けれど、それはすべてのチームにいえることだから、今のところどのチームが勝つかは分からない。オーストリアの天候も変りやすいので、それも結果に影響すると思う。僕はドライビングに集中して、マシンのパフォーマンスを最大限引き出すことに専念する。今年の目標はチャンピオンだ。このサーキットでの3連勝については意識していない。僕にとって最も重要なのは、速いマシンに乗り、自分のベストを尽くすことだ。 ここが得意のコースだとも思っていない。去年は非常に暑い中で行われ、僕たちのエンジンは冷却面でアドバンテージがあった。だから今年は簡単なレースにならないと思っているし、今回もメルセデスは非常に強いと思う。フェラーリの強さもわからないし、し烈な優勝争いになると思うが頑張る。短い期間にレースが連続するので、レースの合間に自宅に戻ることができない。これは、特に家族を持つチームのメンバーにとっては大変なことだと思う。でも、僕はレースをすることが大好きなので、ストレスだとは思わない。最初のレースの結果にもよるが、レッドブル・リンクでレースが連続することは、移動がないという点でいいことだと思う。2戦目はどのチームも1戦目の経験があるので接戦になるだろうけど、1戦目で問題を抱えていたとしても、2戦目には新しいことを試すことができる。最初のレースで、マシンの情報を得ることができるのもいい。通常の戦い方とは違うものになるだろう。2020年はチャンピオン争いができることを願っている。一つ確かなことは、僕らができることはすべてやって戦うということだ。メルセデスは今までずっと絶対的な強さを誇るチームだった。勝つのは簡単ではないだろうけど、僕たちもチームとして、昨年の1年間で多くのことを学び、本当に強くなれたと思っている。今シーズンはいいレースができるはずです。差を縮める努力をするし、うまくいけば、彼らに勝てるだろう。ホンダは冬の間にハードワークをしてきて、バルセロナでのテストではすべてが整っていた。トップスピードも十分に出ていたので、これまでの努力にとても満足している。ホンダは非常にモチベーションが高く、タイトル争いをしたいという気持ちは、僕らと同じだと感じている」
アレクサンダー・アルボン(レッドブル・レーシング)
「個人的には、オーストラリアGPの突然の中止は非常に特異なものだったと思う。冬のテストに入って、マシンだけでなく、自分の精神的にもチーム全体としてもレースに臨む準備ができていた。すべてがレースに対して前向きになっていたと思う。メルボルンでのフリー走行に向けて興奮した気持ちで、ホテルで眠れない夜を過ごし、翌朝の食事中に『帰りの飛行機を予約しました』と言われた。その時には、自分はなんのためにここまで来たのかと思ったよ。 オーストリアでの開幕を待ちわびていた。シーズンの再開が決定し、楽しみだ。ロックダウンのあと、ファクトリーに戻った初日は、休み明けの登校日のような気分だった。長い期間を経て、ようやくレースに復帰できるのはよかった。シーズンが中断されている間、イギリスに戻って最初にしたことは、チームとして状況を確認することだった。パドックで感染が起きていたので、チームは安全第一で自己隔離を行っていた。レースに向けてという意味では、あまりできることはなかった。長い間家にいることになりましたが、自宅にはジムの器具がなかったので、ファクトリーのスタッフに集めてきてもらいた。トレーニングに必要なものはなんでもそろうようにして、健康面も問題なかったが、遊びに行くこともできずに毎日を過ごしていたので、集中力が落ち、モチベーションを維持するのは簡単ではなかった。ホーナー代表から電話やメールで最新の情報を貰っていたが、チームとしての動きはそのくらいだった。僕たちはアスリートなので、自分たちの仕事として、いつでもレースができるように準備をしていた。7歳の時にレースを始めて以来、こんなに長くレースから離れて過ごしたことはないので、ただただ異常な状況だった。自宅では感じることのなかった、マシンに乗っているときのスピード感や、コースでラップを完ぺきに走って限界までプッシュする展開が恋しい。フィルミングデーでは、「なんて速いんだ!」と改めて思った。復帰できてうれしい。なにもないスケジュールから、今まで経験したことがないほど忙しいスケジュールになり、レースに関係する全員にとって、大変な日々になるだろう。レースの雰囲気も違う。レースに欠かせない存在であるファンが会場にいないことも、その原因の一つだ。毎週のようにレースが続くことは、チーム全員にとって辛いことで、最初の数戦をしっかりとスタートすることが重要だ。オーストラリアは直前で中止になり走ることができなかったので、どのチームもまずは情報を集めることになると思うが、最初にレースのリズムに乗ったチームが勝てると思う。最初のレースで、可能な限りのエネルギーを持って臨めたチームが、そのあとも強いだろう。時間が空いたので、どんなドライバーであってもなにが起こるか分からない。フィルミングデーでドライブすることができて、調子もよかった。またレースができることがうれしい。みんなこの日を待っていたんだと思う。長い間が空いてしまったが、みんなF1が好きだし恋しい。早くレースを始めたい。最初の2戦は同じレッドブル・リンクで開催されるが、それぞれが別のレースのように扱われ、それぞれにフリー走行日もある。普段のレースと最も異なるのは2戦目になると思う。開幕戦と直接比較する絶好の機会だし、通常の週末のレースではリスクが高くてできないことでも試せると思う。同じサーキット、同じ気候で、いろいろなことを試すことができるので、どのチームも2戦目の予選ではリスクを顧みずに臨むだろう。うまくいかなければ、開幕戦の仕様に戻せばいいんだからね。もし初戦でトップになったチームと差が大きければ、そのラップタイムを取り戻すのは難しい。差が出る可能性は高いですし、僕たちのようなトップチームはデータを調べなければならないと思う。ドライバーとしての僕たちのフィードバックを最大限に活用し、開幕戦のあとの改善に集中する必要がある。まだシーズンの途中までのレースしか確定していないが、どのくらいレースをするのか、どんなサーキットに行くのか、分からないことがあるだけで、僕たちの仕事に変化はない。毎週末に最大限の力を発揮することだけが仕事だ。通常の週末と違って準備する時間が短く、シミュレーターができなかったり、同じサーキットで2回レースがあったり、行ったことのないコースでの開催もあると思うが、これはいい機会だと思う。柔軟性に富んでいることがいいチームやドライバーの条件だと思うし、マシンとコースをよく理解しているはずだ。そこはチームとしてかなりうまくいっている部分だと思う。このチームは情報を整理して、マシンのスピードを上げることに長けている。きっといい結果になるだろう。レースが連続することによって、ドライバーの体力がパフォーマンスに影響することは間違いなくあると思う。最初の2戦は、コーナーが少なくて楽なサーキットだし、長いストレートの合間には息抜きの時間も多いので、それほどではないと思う。ハンガリー戦以降は、状況は変わると思う。それまでには、レースを重ねているので、スムーズにできるようになっている部分もあるはずだ。ただ、レースは3週間連続しているので、休みはほとんどないだろう。ハンガリーは体力が要るコースなので、影響が出るかもしれない。どのチームが強いのかバルセロナの冬のテストでは、結論が出ていなかった。この4カ月の休止期間があったことを考慮すると、余計に分からない。新型コロナウイルスの影響でファクトリーの閉鎖があったので、チームにはそれほど時間がなかったと思う。レッドブル・リンクは、コーナー数が少なく、マシンの性能を最大限に活用して差をつけることは難しいので、予選は拮抗すると思う。過去2年間のマックス(フェルスタッペン)の結果のように、レースではなにが起きるか分らない。タイヤを温存できるし、気温が高いのも普段通りなので、特別なことはないと思っている。冬のテストではマシンの感触もよかったし、フィルミングデーでもすべてがいい状態になっていると思ったので、あとは走って確認するだけだ。レース再開にあたっての新型コロナウイルスの対策については、非常によく準備されているようだ。かなり複雑になりそうだが、ファクトリーのスタッフは皆、すでに適応できている。僕はファクトリーにいたが、チームの努力には目を見張るものがある。このことは、安全につながる。僕たちは一緒にたくさんの国を回るし、外部との接触を可能な限り避けた、小さな『バブル』の中にいることになる。僕たちは、常にすべてのことに気を配らなければならない」
クリスチャン・ホーナー(レッドブル・レーシング チーム代表)
「レッドブル・リンクは、パンデミックの影響でレースが減少していく中で、早期からF1再開に向けて取り組んでいました。ディートリヒ・マテシッツ氏(レッドブル創業者)とレッドブル社に感謝しています。私たちはプロモーターと密接に協力して、このレースを実現させるための努力をしてきました。F1を運営しているリバティメディアの皆さんが、F1再開のために適切かつ安全な環境を提供し、またオーストリアで2週連続のレース開催するために、多大な努力をされてきたおかげで、私たちはホームでのレースウイークを迎えることができました。F1や開催国では、スタッフや全メンバーの感染対策に大きな力を注いでおり、チームは基本的に外部との接触を断った「ソーシャル・バブル」の中で仕事をすることになります。それぞれのチームは別々のホテルに宿泊しますし、ホスピタリティチームもレースには参加しません。ピットウォールでのセッション中はフェイスマスクを着用します。通常のレース前のグリッドや表彰台でのセレモニーなどは行われませんので、これまでとは異なるレースになるでしょうが、安全な環境を作るためです。さらに、レースの過程でもコロナウイルスの検査が実施されます。感染対策は徹底していて、安全で管理された環境が整っています。いよいよレースが再開されますが、メルボルンでの出来事は今となってはとても昔のことのように感じています。本来であればシーズンが中盤に差しかかる時期に、ようやく再開すると考えると、ちょっと不思議な感じがします。F1チームが2カ月半も休止状態になる異常事態で、その期間中にもチームの感覚を維持する必要は当然のこととしてありました。そのため、最新の情報をチームに伝えることはもちろん、オンラインでのフィットネス・クラス、金曜日の夜のクイズ大会、スタッフが私に質問できるタウンホール・ミーティングなど、ドライバーとチーム・メンバーとの関わりを維持する活動などを行いました。この活動は、先行きが不透明な時期には非常に重要なものでした。またロックダウン中は、チームを超えた調整作業が多く行われており、個々のチームだけでなく、F1全体の利益になるような解決策を見つけようとする仲間意識がありました。新しいレギュレーションの導入を遅らせることや、コスト制限の上限を下げることなどを決定しました。危機的状況に陥ったときはチーム同士の連携が非常に重要です。レース再開後は、活動が制限されるので微調整が必要になるでしょう。2022年に向けた新しいレギュレーションにあるコスト規制については、全く新しいものであり、今後さらに詳細が決定されると思います。去年の11月以来、7カ月間もレースをしていなかった状態から、一気にレースが再開されます。今回のように短期間に多くのレースが連続する場合、マシンの信頼性が重要になってきます。多くのレースが行われるので、関係者全員にとって厳しい時期になるでしょう。再開直後は激しい展開もあるでしょうし、私たちはチャンスを最大限に活かすことが重要になってきます。今年は異例の幕開けとなりますが、過去6年、圧倒的な強さを誇るメルセデスに挑戦するためには、それが必要なことなのかもしれません。フィルミングデーでマシンを確認することができたのはすばらしいことでした。なんのためにここまで頑張ってきたのか、自分たちの目標はなんなのかを思い出させてくれました。レースがスタートすれば、マシンとレースに集中することになります。すべてはコース上でなにが起こるかにかかっていると思っています。2020年はすばらしいシーズンになると思います。もちろん、ドライバーたちはレースの感覚が鈍った部分もあるかもしれませんが、彼らはプロですから、すぐに克服できるでしょう。レースは激しいものになるでしょうし、これまでとは少し違ったプレッシャーとダイナミクスがもたらされると思います。レースをとても楽しみにしていますし、チームは2013年以来の総合優勝を目指しています。開幕戦は全員が同じ条件で臨むことになるので、マックス・フェルスタッペンのプレッシャーは例年と変わらないと思います。シーズン前のテストではメルセデスが依然として好調でしたが、今年の私たちのマシンにはポテンシャルがあると感じていますし、期待しています。私は心からドライバーたちを信じ、勝利を祈っています。私たちは非常に強いチームです。メルセデスに挑戦するための設備とツールで、今年は勝利に導きたいと考えています。忘れられがちですが、アレクサンダー・アルボンは、F1ではまだ2年目のシーズンです。しかも、昨年はシーズン途中に移籍し、見事な活躍をみせました。彼はプレッシャーにとても強いように見えますし、昨シーズンの成績をさらに伸ばしてくれると思います。彼にはチャンスが巡ってくるでしょう。今年はさまざまな面からも、とても期待しています。シーズン前に行われたザントフォールトとバルセロナでのテストやモントリオールでの結果を踏まえ、マシンはさらにアップデートが行われています。シャットダウン後に得られた情報はすべてマシンに反映され、シャットダウン前に準備されていた状態から進化しているでしょう。ほかのチームもそうだと思います。私たちがオーストリアでどのポジションにいるかはまだ分かりません。また、PUのアップグレードもされています。6月初旬にファクトリーが再開されて以来、時間と勝負をしながら、マシンのあらゆる面で努力を重ねてきました。ホンダとの関係は2年目に入り、チーム内での一体感が増してきました。ホンダのデビューシーズンだった昨年は3勝を挙げましたが、今年はそれ以上を期待しています。彼らは私たちと同じ野心を持っています。オフシーズン中も懸命に開発を続け、もちろん今年はより高い目標を持って臨んでくれています。PUはマシンの重要な部分であり、ホンダは私たちが前進し、シリーズ制覇に挑戦するための重要なパートナーです」
関連:2020年 F1オーストリアGP テレビ放送時間&タイムスケジュール
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / ホンダF1 / F1オーストリアGP