レッドブル・ホンダF1、シルバーストンでRB16での事前テストとの報道
レッドブル・ホンダF1が、6月25日(木)にシルバーストンでフィルミングデーを実施して2020年F1マシン『RB16』で開幕前の事前テストを実施すると報じられている。

他のいくつかのチームとは異なり、レッドブルは2019年にルノーからホンダへとF1エンジンを切り替えたことにより、2年落ち以下のF1マシンで無制限の走行テストを実施することができない。

しかし、その代わりに2020年に2日間割り当てられてられているフィルミングデーの2日目を利用して、マックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンにRB16での走行機会を与える計画だとイタリアメディアが報じている。

テストはF1ドライバーの肩慣らしとしての意味合いだけでなく、チームスタッフが可能な限りソーシャルディスタンスを守り、手袋やマスク、フェイスガードといった個人用保護具(PPE)を着用するなど、新型コロナウイルスにより無観客で開催されるレースにおける“新しい生活様式”での安全および衛生プロトコルに慣れる機会としても利用される。

フィルミングデーでは合計走行距離が100kmに制限されており、マックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンは均等に分けても50kmしか走行でいないことになる。

ちなみに先週レッドブル・リンクで2018年F1マシンでのプライベートテストを実施したルノーF1は、ダニエル・リカルドが115周=約500km、エステバン・オコンが143周=600kmをドライブしている。

レッドブルF1のモータースポーツアドバイザーを務めるヘルムート・マルコは、ルノーF1がプライベートテストでシャシーは2018年であるものの、F1エンジンは2020年のものを搭載していたと語っている。

「彼らは2年前のクルマを使っていたが、新しいエンジンを搭載していた」とヘルムート・マルコはコメント。

「彼らの信頼性には感心させられたが、それよりも私がもっと興味を持ったのは彼らが本当にテストのためにレッドブルリンクを借りる必要があったのかどうかということだ」とわざわざ敵地に乗り込んできたルノーF1を皮肉っている。

そのため、事前テストはホンダF1にとっても新しいF1パワーユニットを試運転するための絶好の機会になるはずだ。

ホンダF1のパワーユニット開発拠点であるHRD Sakuraでパワーユニット開発責任者を務める浅木泰昭は、プレシーズンテストから開幕戦までの間にパワーユニットを『スペック1.1』にアップデートしたことを明らかにしている。

「スペック2、3というのが元々の開発計画であったんですけど、シャットダウンが増えたんですよね。イタリア、イギリスはロックダウンしたりして、みんなファクトリーが休んだので、ホンダもフェアにしろということです。ですから、予定していたステップ2にむけた作業は全部できていないので、我々の中では今回オーストリアのエンジンはスペック1.1という風に呼んでいます。バグの修正くらいのイメージですかね」」と浅木泰昭は語る。

現時点で発表されている2020年の序盤8戦のスケジュールは10週間で8戦という超過密スケジュール。そのため、特に重要なのは信頼性だと浅木泰昭は語る。

信頼性について浅木泰昭は「非常に重要だという認識ですよね。パワーが上がれば、今まで持っていた部分も壊れるという認識でしたけど、今回に限って言うと、信頼性の方に重点を置いて開発してます」とコメント。

「同じサーキットで走るというときは、セッティングそのものは同じで行ってるんで、サーキット変えながらの連戦よりSakuraの作業としては簡単なところもありますけど、トラックサイドは体力的にも大変ですよね。信頼性が上がれば、ある意味ガンガン使えるということですよね。台数についてはまだ今日時点でも最終的に何レースで何台使っていいかというのは揉んでる最中なので、その辺は決まってもらわないと戦い方も決まらないという感じですかね」

また、2020年のホンダのF1エンジンのコンセプトについて浅木泰昭は次のように説明する。

「燃焼というか燃やし方のコンセプトはずっと18年のスペック3あたりをどんどんど進化させてきてるんですよ。それを最終形ぐらいに今年は持っていきたいなというのが燃焼コンセプトですね。馬力が上がっていくと、今まで持っていたいろんな面がちょっとずつ壊れ出すんですけど、そこも一気に問題をなくしていくという意味でいうと、今の燃焼コンセプトで最終段階、それでも絶対壊れないような耐久性、その2つがコンセプトですね。予定通り開発しています。ただ、相手が我々の想定以上に上がってくる負けちゃうし、相手あっての話なので、我々の想定がちょうどよかったのか、甘かったかといのはレースが始まればわかってくると思います」

2月のプレシーズンテストでは、レッドブル・ホンダF1はストレートでもメルセデスに匹敵できる速さをみせていた。今年は高速サーキットでもメルセデスと対等にやりあえるのではないかとの期待が高まっている。

「当然、そのつもりで開発してきてます。相手の伸びも予測して目標を立ててやってますから、予測が当たっていれば戦えるはずということですけど、不安と期待が相混じった開幕戦ということですかね」

「パワーユニットとしては五分五分のところまで持っていくというのが私としての目標ですね。エンジンが五分五分だったら何勝になるんでね。フェラーリは当然気にしています。でも、急に速くなったりして読みにくいんで、ターゲットにし辛いですよね」

では、ホンダのF1エンジンは今年ワールドチャンピオンを獲得できるのか。それが実現すれば33年ぶりの栄冠となる。

「ここまで来て目指さないというわけにはいかないんで、目指します。獲れるかどうかはいろいろありますけど、目指しているのは間違いないです。今年はメルセデスと一騎打ちになれるくらいのところまでパワーを持ってきたつもりなので、毎回どっちが勝つかわかんないというレースを1年続けて、結果勝てれば一番いいなと思って望んでますので、みなさん応援の方宜しくお願いします」

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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / ホンダF1