レッドブル・ホンダF1、動画『Dutch Road Trip』制作の舞台裏
レッドブル・ホンダF1は、マックス・フェルスタッペンとアレクサンダー・アルボンが登場するF1オランダGPのプロモーション動画『Dutch Road Trip: From Port to Zandvoort』の製作の舞台裏を語った。

過去数年、多くのオランダ人ファンがフェルスタッペンを応援するために世界を巡ってきた。すべての開催地を最大限に楽しみながらヒーローに大きな声援を送っている彼ら “オレンジ軍団” は、F1のパーティムードを体現する存在だ。

その中で、2020年シーズンのF1オランダGPの復活は、オランダをF1シーンにあらためて紹介するパーフェクトな機会になる。そしてその機会を最大限活用するために企画されたのが、現在のF1シーンで最も優れた才能を備えているドライバー2人と最新F1マシン、ゲストのレッドブルファミリーが出演する今回の動画だった。

『Dutch Road Trip: Port to Zandvoort』では、マックス・フェルスタッペンがアレクサンダー・アルボンのツアーガイドを担当し、オランダ国内の名所を巡る様子が確認できる。

ロッテルダム港を出発した2人は、積み重ねられたコンテナ群、張り巡らされた運河、巨大な風車、花のグリーンハウス、デン・ハーグの中心地を抜け、マックス・フェルスタッペンの旧友と再会したあと、ノールドアインデ宮でドーナッツをメイクする。

もちろん、彼らの最終目的地は2020年5月3日にF1オランダGPの開催が予定されていたザントフールト・サーキットだったのだが、オランダが誇る美しいビーチを抜きにしてこの国を巡るロードトリップは完成しない。そこで2人はスヘフェニンゲンのビーチを訪れ、ここでモトクロスライダーとして活躍するレッドブル・アスリート、ジェフリー・ハーリングと落ち合わせる。正確に言えば、フェススタッペンとアルボンはハーリングスとただ落ち合ったわけではなかった。彼らはビーチでビッグスタントに挑んだのだ。

スヘフェニンゲンのビーチでフェルスタッペンとアルボンが駆るF1マシン2台の上をハーリングスがモトクロッサーで飛び越えるそのスタントは、『Dutch Road Trip: From Port to Zandvoort』最大のハイライトと言えるだろう。

このスタントの話を聞いたハーリングスは、イエスと即答した。「話を聞いた瞬間に興奮を覚えたよ。こんなチャンスなんて滅多にないし、最高にクールだからね。忘れられない1日になったよ。完成した動画を見て、本当にクールなスタントだと思った」

しかし、ハーリングスがこのスペシャルスタントに不安を覚えなかったわけではなかった。「もちろん、多少は不安だったよ。予想を上回る数のファンがが見守っていたしね」

撮影は人知れず行われる予定だったが、F1マシンがビーチを走るらしいという噂が瞬く間に広まったため、当日はF1マシンとハーリングをできるだけ近くで見ようとするファンの人垣がビーチ沿いにできあがっていたのだ。

「失敗は許されなかった」とハーリングスは続ける。「F1マシンが砂浜を走るのは大変なことだから、チャンスは数回しかなかったし、すべてのタイミングをパーフェクトに合わせる必要があった。だから少し緊張していたね。最高の結果が残せて嬉しいよ」

ハーリングスにとって何よりも難しかったのは砂浜という地形とF1マシンとのタイミングだった。ハーリングスは、かなり遠くからスタートして走ってくるF1マシン2台とタイミングを合わせながら砂浜を走り、2台の上を飛び越えなければならなかった。

「砂浜に深い轍がいくつかできてしまったあとは走るのがトリッキーになった。でも、言うまでもなく、ジャンプを成功させなければならなかった。失敗したらF1マシンの上に落ちてしまうからね(笑)」

このスタントは素晴らしいシーンを作り出したが、ハーリングスはすでに次のスタントアイディアを用意しているようだ。

「次はマックスが僕の上を飛び越えればいいんじゃないかな。僕がF1マシンをドライブしてさ(笑)」とジョークを飛ばすハーリングスは次のように続ける。

「実は、F1マシンをドライブするのは僕の夢のひとつなんだ。レッドブルがいつの日かこの夢を叶えてくれるかもね。マックスとマシンを交換するのは僕的にはノープロブレムだよ(笑)」

今回のツアーに参加したレッドブルファミリーはハーリングスだけではなかった。レーシングドライバーのロバート・ドーンボスもカメオ出演を果たしている。

「レッドブル・レーシングは10年以上ぶりに “ドーンボスをまた呼ぼう” と思ったわけさ(笑)」と笑うドーンボスは、2006シーズンにレッドブル・レーシングに所属していた。「でも、今回乗ったのはF1マシンじゃなくて自転車だったよ!」

ドーンボスは今回のカメオ出演を楽しんだようで、次のように続けている。「F1特有のバイブスと熱気をまた感じられて良かったよ。僕が所属していた頃、締め切り大堤防(アフスリュイド堤防)で時速300kmのデモランをしたんだ。あの頃にこういうプロジェクトがスタートしたのさ」

レッドブル・ホンダのF1マシンがオランダの10の象徴的な場所を駆け巡るこの動画の撮影には、カメラカー、複数のドローン、ヘルメットカム、道路の封鎖など、大きな技術的な課題をもたらした。
した。

レッドブル・レーシングF1のサポートチームコーディネーターを務めるマーク・ウィリスは、オランダ最大の花栽培農家の1つである温室での撮影の課題について次のように語る。

「F1マシンは低速で走行するようには設計されておらず、トラックでの撮影での最高速度だった時速90キロでさえ、厳しい。常に1速ギアであることはマシンに良くない。エンジンの温度が上昇して、問題が発生する可能性がある。これらのマシンはグランプリでレースするように設計されており、我々がやったことをするために作られたものではないですからね」と語った。

レッドブル・レーシングのレーシングサポートチームマネージャーを担当するトニー・バロウズはオランダでのスペシャルプロジェクトが成功に終わったことに満足している。

「スペシャルなロケーションをいくつも訪れましたが、すべてが最高でしたね。グリーンハウスは特にクールな映像に仕上がったと思います。F1マシンをあんなに広大な場所で走らせるチャンスは中々ないですからね」

また、バロウズは撮影をひと目見ようと訪れていたファンの熱気も楽しんだ。「ファンの皆さんにあそこまで近づけたのも良かったですね。ファンの皆さんがF1マシンをあそこまで近くで見られるチャンスはまずありませんので、その貴重なチャンスを提供できたのは嬉しかったですね」

動画のラストで、フェルスタッペンは2020年5月3日に開催予定だったF1オランダGPのために大改修されたザントフールト・サーキットを走行している。フェススタッペンはこの新サーキットを数ラップするチャンスを与えられたが、他のチームのライバルドライバーたちはそのチャンスをもう少し待たなければならなくなった。

F1オランダGPが延期となった今、このレースを楽しみにしていたファンにフレッシュでエキサイティングなコンテンツを提供できる今回のオランダ縦断ロードトリップは、企画当初よりも大きな意味を持つようになっている。

マックス・フェルスタッペンは次のようにコメントしている。

「もちろん、ホームレースを楽しみにしていたよ。残念ながら今は走れなくなってしまったけれど、すぐに走れるようになることを願っている。開催されればファンに最高の週末をプレゼントするつもりだ」

「でも、こういう形でファンのみんなにオランダを紹介できるのはとてもスペシャルなことだと思っている。特に今はF1シーンの動きがほとんどなくなっているしね」

マックス・フェルスタッペンにオランダを案内してもらったアルボンは次のように締め括っている。

「僕たちらしい形でオランダを紹介したいと思っていたんだ。撮影は1月に行われた。撮影中はF1オランダGPが予定通り開催されるはずだったんだけど、現状を考慮して開催は延期になってしまった。だから、この動画はF1オランダGPを楽しみにしていたファンのためなんだ。楽しんで!」



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カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / ホンダF1