F1特集:レッドブルのドライバー育成プログラム
レッドブルのドライバー育成プログウラムの責任者を務めるヘルムート・マルコが、その成り立ちからミッションについて Honda Racing の公式サイトで語った。
世界中のサーキットを旅しながら、何億ものファンが見守る中、世界最高のマシンを駆ってレースに挑むF1ドライバーは、誰にとっても夢のような仕事です。世界で最も幸運と言ってもいい20名のドライバーの一員に加わりたいと思う人も、多いかもしれない。
しかし、モータースポーツの最高峰であるF1の舞台に立ち続けるために必要なスキルと絶え間ない努力を考えれば、彼らをただ幸運と呼んでしまうのは間違っている。その努力は、人々が想像するよりもっと早くから始まっているのかもしれない。
モータースポーツはとてもお金のかかる競技。若い才能にとっては、夢を追う上で資金面が最大の障害となることもある。そんな世界において、レッドブルのドライバー育成プログラムは、F1で最も成功を収めているうちの一つと言えるだろう。その責任者を務めるヘルムート・マルコのミッションは、将来、世界チャンピオンに輝くポテンシャルを持つドライバーを見つけ、才能を示す機会を与えることだ。
「元々は、フォーミュラレースに参戦しているドライバーを対象に育成プログラムを運営していました。しかし、そもそもドライバーの数が少なく、メルセデスやフェラーリ、ルノーなど、同じ層をターゲットにした競合も多くいることから、ゴーカートに乗っている子供たちも対象にしたんです」とヘルムート・マルコは語る。
「プログラムの最年少は11~15歳のドライバーが出場するOK-Juniorクラスというように、ドライバーを探すアプローチを完全に変えました」
「ドライバーを探す上で一番に求めているのは、もちろん速さです。速いドライバーだということが確認できれば、次に面接を行って内面を探っていきます。そのドライバーが十分にタフか、情熱はあるのかということを判断するわけです。しかし、まだそれでもリスクはあります。14歳や15歳は初恋を経験するような年齢でもありますし、ほかにもいろいろなことが起こりますからね。すべてが変わりやすい時期なんです」
「プログラムを運営する中で、最も重要なのはドライバーの競争力とパフォーマンスです。パフォーマンスを発揮できていればなにも問題ありませんが、もしパフォーマンスが悪く、それが改善されるサインも無ければ、当然ですがサポートを打ち切ります」
「プログラムを始めた当初は多くのドライバーを支援していました。ご存知の通り、モータースポーツには多額のお金がかかりますが、2005年にレッドブル・レーシングというF1チームを設立し、その後すぐ、2006年にスクーデリア・トロ・ロッソという2つ目のチームを作りました。それでも、まだ不十分だと気が付きました。我々には、F1世界選手権で勝てるだけのポテンシャルを持つドライバーを見つけ出す必要があったんです」
レッドブルの育成プログラムに参加する若手ドライバーたちには、レッドブルとトロロッソという2つのF1チームで走るチャンスが用意されていry。プログラムの卒業生で最も成功を収めているのはセバスチャン・ベッテルで、これまでに4度のタイトル獲得を果たした。ダニエル・リカルド、マックス・フェルスタッペンも同プログラムの出身で、F1で勝利を収めているドライバーだ。
トロロッソ・ホンダのドライバーを務めているピエール・ガスリーは、来季からレッドブル・レーシングに加入し、フェルスタッペンとタッグを組むことが決まっている。ガスリーは、2014年にドライバー育成プログラムに参加してからなにが変わったかについて語った。
「プログラムに参加した時点で、もうレッドブルというブランドの代表なんです」とガスリーは語る。
「もちろん結果を出さなくちゃなりません。ただ、それはレースを始めたときから変わらないですね。ドライバー育成プログラムに参加する前から、レースを続けたいなら常にトップであり続けなくちゃいけないと、頭のどこかで分かっていましたから」
「だから、プログラムに参加したあともレースへの基本的なアプローチは変わりませんでした。それでも、レッドブルのドライバーになったことで責任とプレッシャーは増しましたし、常にみんなから見られているという自覚がありました。環境も各段によくなりましたね。ミルトン・キーンズにあるシミュレーターやファクトリーに出入りできるようになったし、エンジニアとも自由に話せるようになって、本当に大きなチームに来たんだな、と実感しました」
「たとえ今言ったようなことが無かったとしても、プログラムがいかにプロフェッショナルなものかということはすぐに理解できたでしょう。プログラムに参加してすぐにプロの育成コーチがつきましたし、トレーニングキャンプにも参加するようになりました。もちろん、フランスでその類のことは経験済みではあったんですが、ここまで高いレベルのものは初めてでした。レッドブルがドライバーとして、またアスリートとして自分を真剣に鍛えようとしていることを実感しましたね」
「結果に関してのプレッシャーも特には変わらなかったと思います。モータースポーツの世界に居続けて、サポートを受け続けたいなら結果を出さなくてはならないのは当然ですから。でも、彼らのためではなくて、自分のために結果を出すというのはレースを始めた当初からまったく変わっていません。ヘルムートは、ドライバーにあえて大きなプレッシャーを与えて、それにどう対処するかを本当によく見ているんです」
レッドブルの育成プログラムに参加するドライバーは、オーストラリア・ザルツブルクにほど近いタールガウに位置するレッドブルの研究センターで、フィジカルとメンタルを詳細にチェックされる。同地では、レッドブルに在籍する650人以上のアスリートのデータが分析され、これによって若きドライバーたちは、身体のどの部位を改善すべきなのかを理解した上で、トレーニングに励むことができる。マルコは、そうしたテストを経てもなお、トラック上でしか確認できない、ドライバーの重要な素質が存在すると語る。
「ドライバーは、新しいカテゴリーでもすぐに速さを発揮しなければなりません」と、マルコは説明するう。
「走行距離を重ねていくごとにドライバーがだんだん速くなっていくという考え方は、我々はあまり信じていません。初めてのカテゴリーでも、才能あるドライバーなら直感的に速さを発揮できるはずです。“勝利を目指す本能”とでも言いましょうか。ですから我々は、トラック上で若いドライバーがなにかポジティブなサインを示したときは、その方向へどんどん進んでいくように促します。もちろん、ドライバーは人間なので、このサインはそれぞれ違ったかたちで現れます。そして、違っていて然るべきなのです」
ガスリーは、マルコのこうしたアプローチをすでに経験している。F1へ参戦するようになった今、若いときに辿ってきた成長の道筋が、今の自分にとってどれだけプラスになっているかを実感していると語る。
「ヘルムートは、“君は一番にならなくちゃいけないんだ”とわざわざ言ったりはしないんです。でも、常にもっともっと上を目指すようにプッシュし続けてくれます。すごい走りができたときも、“君にしてほしいのはすごい走りじゃない、最高の走りなんだ”という具合に。こうされることで、自分の限界を超えてプッシュしていけるようになるし、限界を超えたときに自分がどうそれに対処するかを学ぶことができます」
「とにかくヘルムートは、安全圏から踏み出したときにドライバーがどう対処するかを見たがります。だから特に若いときには“いったいなにがどうなってるんだ!?”と叫びたくなるような難しい状況に置かれることもありましたね。でも、ヘルムートはドライバーがそうした状況にどう対処するかを見るために、あえてそうするんです」
「こうしたやり方は、メンタルを強化する上でも非常に有効だと思います。事実、振り返ってみると、レッドブルのプログラムを通して自分がいかに強くなったか、成長してきたかが分かります。彼らは常に課題をより難しくしようとしてくるし、ときにはフェアな条件でないこともあります。けれど、それでもやり通せれば、人間としてもアスリートとしても、さらに成長できるんです」
2019年にトロロッソからレッドブルへステップアップするガスリーの成長を、マルコはずっと見守ってきた。現在、レッドブル・レーシングからF1に参戦しているマックス・フェルスタッペンとダニエル・リカルドも、マルコの言う“勇気が必要な”アプローチによって、その才能を高めてきたドライバーだ。
「ドライバーとは常に良好な関係を築いてきました。しかし、お気に入りがいるというわけではありません。あくまでそれぞれ、必要なリスペクトを示しているというだけです。そして彼らはみな、結果を出さなければならないことを理解しています」とマルコは語る。
「ピットでやる場合は別ですが、私は選手がプライベートでやる誕生日パーティーに出席したりはしません。その必要がないと思っているからです。ただ、もし、ある選手が危機的状況にあるか、もしくはそれを示す症状があるような場合には、個人レベルでより密なコミュニケーションを取ることもあります」
「2018年シーズン序盤には、リカルドがチームを抜けることはまだ決まっていませんでしたが、それを示すサインはありました。ですから、私はピエールがトロロッソに加入したときから注意深く彼を見守ってきたんです」
「彼にはレッドブル・レーシングに入れるチャンスがあるとは教えていませんでした。F1でさらに上に行くためには、成長し続けなければなりません。常にチームメートよりいい成績を獲得し、ミスを犯してはいけないんです。オーストラリアの予選で彼は一度ミスをしましたが、その後は着実に成長を続けてきました」
「ピエールはタイヤマネージメントに長けていて、それがいいレースをできる理由の一つにもなっています。そして、我々のドライバーは、育成プログラムからF1にステップアップした者ばかりです。プログラムに参加しているドライバーは、ここでパフォーマンスを発揮できれば、さらに大きなチャンスがあることを理解しています。我々にはF1でもトップレベルにいるチームがあり、そのドライバーは21歳。そしてピエールは22歳です」
レッドブルと同様に、ホンダもドライバー育成プログラムを運営しており、現在は牧野任祐と福住仁嶺の2名がFIA F2選手権に参戦している。マルコは、来年から始まるレッドブル・ホンダのパートナーシップについて、パワーユニットのみでなく、ドライバー育成も強化できるはずだと考えている。
「レッドブル グループの2チームがホンダからのPU供給を受けることは、喜ばしいことです。来年からは両チームの間で、技術面でもさらに密接な連携を取っていきます。レギュレーションで許されている範囲で、レッドブル・レーシングのマシンであるRB14のデータやパーツをトロロッソとも共有していきます。我々だけでなく、ホンダにとっても、グリッド上に4台のマシンを走らせ、さらなるデータを収集し、共有できることは非常に大きな助けとなるはずです」
「これまでのところ、連携は非常に順調に進んでいるし、ホンダ製エンジンが発揮しているパフォーマンスには満足しています。ロシアGPから投入された新エンジンはすばらしかったですし、これまでにホンダが我々と計画し、約束したことはすべて実現していますからね」
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / トロロッソ / ホンダF1
世界中のサーキットを旅しながら、何億ものファンが見守る中、世界最高のマシンを駆ってレースに挑むF1ドライバーは、誰にとっても夢のような仕事です。世界で最も幸運と言ってもいい20名のドライバーの一員に加わりたいと思う人も、多いかもしれない。
しかし、モータースポーツの最高峰であるF1の舞台に立ち続けるために必要なスキルと絶え間ない努力を考えれば、彼らをただ幸運と呼んでしまうのは間違っている。その努力は、人々が想像するよりもっと早くから始まっているのかもしれない。
モータースポーツはとてもお金のかかる競技。若い才能にとっては、夢を追う上で資金面が最大の障害となることもある。そんな世界において、レッドブルのドライバー育成プログラムは、F1で最も成功を収めているうちの一つと言えるだろう。その責任者を務めるヘルムート・マルコのミッションは、将来、世界チャンピオンに輝くポテンシャルを持つドライバーを見つけ、才能を示す機会を与えることだ。
「元々は、フォーミュラレースに参戦しているドライバーを対象に育成プログラムを運営していました。しかし、そもそもドライバーの数が少なく、メルセデスやフェラーリ、ルノーなど、同じ層をターゲットにした競合も多くいることから、ゴーカートに乗っている子供たちも対象にしたんです」とヘルムート・マルコは語る。
「プログラムの最年少は11~15歳のドライバーが出場するOK-Juniorクラスというように、ドライバーを探すアプローチを完全に変えました」
「ドライバーを探す上で一番に求めているのは、もちろん速さです。速いドライバーだということが確認できれば、次に面接を行って内面を探っていきます。そのドライバーが十分にタフか、情熱はあるのかということを判断するわけです。しかし、まだそれでもリスクはあります。14歳や15歳は初恋を経験するような年齢でもありますし、ほかにもいろいろなことが起こりますからね。すべてが変わりやすい時期なんです」
「プログラムを運営する中で、最も重要なのはドライバーの競争力とパフォーマンスです。パフォーマンスを発揮できていればなにも問題ありませんが、もしパフォーマンスが悪く、それが改善されるサインも無ければ、当然ですがサポートを打ち切ります」
「プログラムを始めた当初は多くのドライバーを支援していました。ご存知の通り、モータースポーツには多額のお金がかかりますが、2005年にレッドブル・レーシングというF1チームを設立し、その後すぐ、2006年にスクーデリア・トロ・ロッソという2つ目のチームを作りました。それでも、まだ不十分だと気が付きました。我々には、F1世界選手権で勝てるだけのポテンシャルを持つドライバーを見つけ出す必要があったんです」
レッドブルの育成プログラムに参加する若手ドライバーたちには、レッドブルとトロロッソという2つのF1チームで走るチャンスが用意されていry。プログラムの卒業生で最も成功を収めているのはセバスチャン・ベッテルで、これまでに4度のタイトル獲得を果たした。ダニエル・リカルド、マックス・フェルスタッペンも同プログラムの出身で、F1で勝利を収めているドライバーだ。
トロロッソ・ホンダのドライバーを務めているピエール・ガスリーは、来季からレッドブル・レーシングに加入し、フェルスタッペンとタッグを組むことが決まっている。ガスリーは、2014年にドライバー育成プログラムに参加してからなにが変わったかについて語った。
「プログラムに参加した時点で、もうレッドブルというブランドの代表なんです」とガスリーは語る。
「もちろん結果を出さなくちゃなりません。ただ、それはレースを始めたときから変わらないですね。ドライバー育成プログラムに参加する前から、レースを続けたいなら常にトップであり続けなくちゃいけないと、頭のどこかで分かっていましたから」
「だから、プログラムに参加したあともレースへの基本的なアプローチは変わりませんでした。それでも、レッドブルのドライバーになったことで責任とプレッシャーは増しましたし、常にみんなから見られているという自覚がありました。環境も各段によくなりましたね。ミルトン・キーンズにあるシミュレーターやファクトリーに出入りできるようになったし、エンジニアとも自由に話せるようになって、本当に大きなチームに来たんだな、と実感しました」
「たとえ今言ったようなことが無かったとしても、プログラムがいかにプロフェッショナルなものかということはすぐに理解できたでしょう。プログラムに参加してすぐにプロの育成コーチがつきましたし、トレーニングキャンプにも参加するようになりました。もちろん、フランスでその類のことは経験済みではあったんですが、ここまで高いレベルのものは初めてでした。レッドブルがドライバーとして、またアスリートとして自分を真剣に鍛えようとしていることを実感しましたね」
「結果に関してのプレッシャーも特には変わらなかったと思います。モータースポーツの世界に居続けて、サポートを受け続けたいなら結果を出さなくてはならないのは当然ですから。でも、彼らのためではなくて、自分のために結果を出すというのはレースを始めた当初からまったく変わっていません。ヘルムートは、ドライバーにあえて大きなプレッシャーを与えて、それにどう対処するかを本当によく見ているんです」
レッドブルの育成プログラムに参加するドライバーは、オーストラリア・ザルツブルクにほど近いタールガウに位置するレッドブルの研究センターで、フィジカルとメンタルを詳細にチェックされる。同地では、レッドブルに在籍する650人以上のアスリートのデータが分析され、これによって若きドライバーたちは、身体のどの部位を改善すべきなのかを理解した上で、トレーニングに励むことができる。マルコは、そうしたテストを経てもなお、トラック上でしか確認できない、ドライバーの重要な素質が存在すると語る。
「ドライバーは、新しいカテゴリーでもすぐに速さを発揮しなければなりません」と、マルコは説明するう。
「走行距離を重ねていくごとにドライバーがだんだん速くなっていくという考え方は、我々はあまり信じていません。初めてのカテゴリーでも、才能あるドライバーなら直感的に速さを発揮できるはずです。“勝利を目指す本能”とでも言いましょうか。ですから我々は、トラック上で若いドライバーがなにかポジティブなサインを示したときは、その方向へどんどん進んでいくように促します。もちろん、ドライバーは人間なので、このサインはそれぞれ違ったかたちで現れます。そして、違っていて然るべきなのです」
ガスリーは、マルコのこうしたアプローチをすでに経験している。F1へ参戦するようになった今、若いときに辿ってきた成長の道筋が、今の自分にとってどれだけプラスになっているかを実感していると語る。
「ヘルムートは、“君は一番にならなくちゃいけないんだ”とわざわざ言ったりはしないんです。でも、常にもっともっと上を目指すようにプッシュし続けてくれます。すごい走りができたときも、“君にしてほしいのはすごい走りじゃない、最高の走りなんだ”という具合に。こうされることで、自分の限界を超えてプッシュしていけるようになるし、限界を超えたときに自分がどうそれに対処するかを学ぶことができます」
「とにかくヘルムートは、安全圏から踏み出したときにドライバーがどう対処するかを見たがります。だから特に若いときには“いったいなにがどうなってるんだ!?”と叫びたくなるような難しい状況に置かれることもありましたね。でも、ヘルムートはドライバーがそうした状況にどう対処するかを見るために、あえてそうするんです」
「こうしたやり方は、メンタルを強化する上でも非常に有効だと思います。事実、振り返ってみると、レッドブルのプログラムを通して自分がいかに強くなったか、成長してきたかが分かります。彼らは常に課題をより難しくしようとしてくるし、ときにはフェアな条件でないこともあります。けれど、それでもやり通せれば、人間としてもアスリートとしても、さらに成長できるんです」
2019年にトロロッソからレッドブルへステップアップするガスリーの成長を、マルコはずっと見守ってきた。現在、レッドブル・レーシングからF1に参戦しているマックス・フェルスタッペンとダニエル・リカルドも、マルコの言う“勇気が必要な”アプローチによって、その才能を高めてきたドライバーだ。
「ドライバーとは常に良好な関係を築いてきました。しかし、お気に入りがいるというわけではありません。あくまでそれぞれ、必要なリスペクトを示しているというだけです。そして彼らはみな、結果を出さなければならないことを理解しています」とマルコは語る。
「ピットでやる場合は別ですが、私は選手がプライベートでやる誕生日パーティーに出席したりはしません。その必要がないと思っているからです。ただ、もし、ある選手が危機的状況にあるか、もしくはそれを示す症状があるような場合には、個人レベルでより密なコミュニケーションを取ることもあります」
「2018年シーズン序盤には、リカルドがチームを抜けることはまだ決まっていませんでしたが、それを示すサインはありました。ですから、私はピエールがトロロッソに加入したときから注意深く彼を見守ってきたんです」
「彼にはレッドブル・レーシングに入れるチャンスがあるとは教えていませんでした。F1でさらに上に行くためには、成長し続けなければなりません。常にチームメートよりいい成績を獲得し、ミスを犯してはいけないんです。オーストラリアの予選で彼は一度ミスをしましたが、その後は着実に成長を続けてきました」
「ピエールはタイヤマネージメントに長けていて、それがいいレースをできる理由の一つにもなっています。そして、我々のドライバーは、育成プログラムからF1にステップアップした者ばかりです。プログラムに参加しているドライバーは、ここでパフォーマンスを発揮できれば、さらに大きなチャンスがあることを理解しています。我々にはF1でもトップレベルにいるチームがあり、そのドライバーは21歳。そしてピエールは22歳です」
レッドブルと同様に、ホンダもドライバー育成プログラムを運営しており、現在は牧野任祐と福住仁嶺の2名がFIA F2選手権に参戦している。マルコは、来年から始まるレッドブル・ホンダのパートナーシップについて、パワーユニットのみでなく、ドライバー育成も強化できるはずだと考えている。
「レッドブル グループの2チームがホンダからのPU供給を受けることは、喜ばしいことです。来年からは両チームの間で、技術面でもさらに密接な連携を取っていきます。レギュレーションで許されている範囲で、レッドブル・レーシングのマシンであるRB14のデータやパーツをトロロッソとも共有していきます。我々だけでなく、ホンダにとっても、グリッド上に4台のマシンを走らせ、さらなるデータを収集し、共有できることは非常に大きな助けとなるはずです」
「これまでのところ、連携は非常に順調に進んでいるし、ホンダ製エンジンが発揮しているパフォーマンスには満足しています。ロシアGPから投入された新エンジンはすばらしかったですし、これまでにホンダが我々と計画し、約束したことはすべて実現していますからね」
カテゴリー: F1 / レッドブル・レーシング / トロロッソ / ホンダF1