レーシングブルズ代表が語る2025年F1覚醒「数字を追うのをやめた日」
2025年F1シーズンにおいて、レーシングブルズはコンストラクターズランキング6位という、チーム史に残る結果を残した。その成功の裏にあった「本当の転換点」は、当時ほとんど注目されなかった2024年の一戦にあったと、チーム代表のアラン・パーメインは振り返る。

パーメインは2025年シーズン途中にチーム代表へ昇格し、ファエンツァを拠点とするこのチームを6位へと導いた。

1985年にミナルディとして誕生して以来、この順位に到達したのは、ピエール・ガスリーと角田裕毅を擁した2021年以来、わずか2度目だ。

「もちろんウィリアムズにもっと近づきたいとは思っているが、彼らは本当に素晴らしい仕事をした」とパーメインはPlanetF1.comに語り、自チームの成果を過度に誇ることはなかった。

「ドライバーの功績を否定するつもりはまったくないが、彼らは非常に経験豊富な2人を抱えている。状況が厳しいとき、その経験が助けになるのは間違いない」

ウィリアムズは24戦中16戦でポイントを獲得し、ダブル入賞は5回、さらにカルロス・サインツJr.による2度の表彰台も記録した。

一方でレーシングブルズは、両ドライバーが同時にポイントを獲得したのはモナコ、アゼルバイジャン、サンパウロの3戦のみで、表彰台はザントフォールトでのアイザック・ハジャーの3位が唯一だった。

ただし、数字だけでは全体像は見えてこない。パーメインが言いたかったのはまさにその点だ。

ウィリアムズは再建段階にあるチームで、ジェームス・ボウルズのもと、実績あるドライバーを迎え入れて立て直しを進めている。対照的に、レーシングブルズは育成と成長を目的としたチームであり、将来レッドブル・レーシングへ昇格する前にドライバーの粗を削る役割を担っている。

皮肉なことに、サインツとアレクサンダー・アルボン自身も、かつては同じプロセスを経てF1で独自の道を歩むようになった。言い換えれば、彼らはハジャーやリアム・ローソンよりも完成形に近い存在だということになる。

「まだ改善できる部分は確実にある」とパーメインは語る。

「それらはすでに洗い出している。我々はそこを積み上げていき、チームとしてさらに強くなっていきたい」

2025年シーズン序盤、VCARB02は特別に優れたマシンには見えなかった。日本GPまでポイントはなく、ヨーロッパに戻るまでトップ10入りは2回だけだった。

しかし、イモラからバクーまでの期間で、11戦中9戦でポイントを獲得。オランダGPでの表彰台も含め、ウィリアムズとコンストラクターズ5位を争う位置にまで浮上した。

この流れは、2024年終盤の状況を思い起こさせるものだった。中団に埋もれ、ポイントは取れるが安定しない。だが、その年に得た教訓が2025年のマシン開発に生かされたと、パーメインは語る。

ビザ・キャッシュアップ・RB・フォーミュラワン・チーム

スペインGPがもたらした気づき
「もし一つだけ転換点を挙げるなら、去年のバルセロナだ」

「空力アップグレードを投入したが、それが明らかに良くなく、クルマのバランスを大きく崩してしまった」

「それが、どうすればクルマを速くできるのか、本気で考えるきっかけになった」

「今年のクルマは昨年型の進化版だが、空力担当と車両性能部門が長い時間をかけて、何をすべきかを検討した」

「このレギュレーションも4年目に入り、ダウンフォースを見つけるのは簡単ではない。そこで我々は特性に少し重点を置き、非常に良い空力特性を持つと感じられるクルマを作った」

「それが非常によく報われたと思っている」

VCARB02は、突出したピーク性能こそないものの、扱いやすく、作動領域が広いマシンとして評価された。結果として、セットアップの最適解に持ち込みやすく、毎週末安定してポイントを狙えるクルマとなった。

その完成度は、角田裕毅がレッドブル・レーシングへ移籍する際に、次のように振り返っている。

「唯一の後悔は、あのかなり良いクルマを手放してしまったことです」

「子どもや赤ん坊を手放すような感覚でした。このレギュレーションの中で、何年もチームと一緒に作ってきたクルマで、自分のDNAも入っていると思っています」

「最後までやり切れなかったのは正直寂しいですが、それでもレッドブル・レーシングに行った決断を後悔しているわけではありません」

角田裕毅はシーズン序盤2戦後に昇格したが、よりピーキーなRB22に苦しんだ。一方、ローソンは逆に、VCARB02で自信を取り戻し、シーズン後半にはハジャーと互角の戦いを見せた。

それはローソン自身の粘り強さだけでなく、ドライバーの信頼を回復させる能力を持ったマシンとエンジニア陣の成果でもあった。

「もちろん、もっとダウンフォースは欲しい」とパーメインは言う。

「だが、ドライバビリティがなければ、そのダウンフォースは使えない」

「そこは我々が特に強みを持っている部分で、24年から25年のオフシーズンでも重視してきた」

「今年持ち込んだすべてのアップグレードで、その良い特性を維持することを意識してきた」

2024年に数字だけを追って誤った方向に進んだ経験が、結果的にチームを正しい道へと導いた。レーシングブルズが40年近いF1参戦史の中で最高タイに並ぶ成績を収めた背景には、そんな冷静な軌道修正があった。

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カテゴリー: F1 / ビザ・キャッシュアップRB