F1カタールGP 決勝 ピレリ総括:フェルスタッペン勝利を導いたSCと25周制限

決定的な局面となったのは7周目のセーフティカーだった。カタールで開催された4回のレースすべてで導入されているが、今回もその影響は大きかった。
多くのドライバーがミディアムでスタートし、2台のマクラーレンを除く全員がこのタイミングでピットイン。3番グリッドから2番手に上がっていたフェルスタッペンも最初にピットへ向かった。
マクラーレンの“逆張り”戦略が生んだズレ
セーフティカー中のピットストップは通常より約10秒のアドバンテージがあり、ここでフェルスタッペンは勝利に向けた重要な優位を築いた。さらに今回は57周の決勝に対して1セットにつき25周の走行上限が課されており、これが戦略を複雑にしていた。
他車は32周目までに最終ピットを終える必要があった一方、マクラーレンはセーフティカーでピットしなかったため、各スティントを他より長く走る必要に迫られた。オスカー・ピアストリは42周目に最後のピットへ入り、2周後にはランド・ノリスもピットイン。その時点でフェルスタッペンが首位を確固たるものにした。
多くのドライバーは最初の2スティントをミディアムで走行し、最終スティントをハードで締めくくった。ピアストリはミディアムとハードの両方でファステストラップを記録し、ハードでの1分22秒996が新しいレースラップレコードとなった。
サインツが完璧な戦略で今季2度目の表彰台
表彰台3番手にはウィリアムズのカルロス・サインツが入った。7番グリッドから完璧な戦略を展開し、今季2回目の表彰台を手にした。決勝が始まった19時の時点で気温は22度、路面温度は23度と、照明が照らすルサイル・サーキットは比較的涼しいコンディションだった。

マリオ・イゾラ(ピレリ モータースポーツディレクター)
「今日のレースにおけるすべての戦略的選択は、セーフティカーの登場によって左右された。スタート直後から十分なグリップを得られ、スティントの間も適切な性能を維持できる最良の妥協点と考えられたのはミディアムだった。
ほとんどのドライバーが最終スティントでハードを使用したが、C1コンパウンドもレース中盤で十分競争力を持っていただろう。ラップタイムを見る限り、終盤ではC2のミディアムよりも良いパフォーマンスを示したケースもあった。どのコンパウンドも摩耗が非常に限定的で、ドライバーは最大限のプッシュが可能だった。
過去数日と比べてグレイニングは大幅に減少し、極端な摩耗のケースは少なかったものの、完全には消えていなかった。このため、25周の走行制限は問題を回避する上で適切だったと言える。
週末を通じて前例のないレベルのパフォーマンスや新しいサーキット記録が生まれた今回のレースの展開は、これまでで最も接近した戦いとなった今季全体を象徴するものだ。これでチャンピオンシップは最終戦にもつれ込むことになり、3人の実力あるドライバーが最後の戦いに臨むことになるのも、決して驚くべきことではない」
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