【WEC】 ポルシェ、2つの世界タイトルを獲得
ポルシェのLMPチームは、上海で開催されたFIA世界耐久選手権(WEC)第8戦において、ポルシェ919ハイブリッドで2位および3位に入り、ドライバーズタイトルおよびマニュファクチュアラータイトルを防衛。ポルシェはマニュファクチュアラートロフィーを3年連続で本拠地のシュトゥットガルトへ持ち帰ることになる。アール・バンバー/ティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー組は上海で行われた6時間レースで2位を獲得し、新たな世界王者となった。
チームメイトであり現世界王者のニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ組は序盤に起こった技術的トラブルのため後退し、3位でレースを終えた。
上海戦で優勝したのはトヨタだった。195周で争われたレースの終盤、174周の時点でマニュファクチュアラータイトルを掛けた戦いは今シーズン最終戦のバーレーンまで持ち越される様子だったが、2位を走行していたトヨタが接触による修理のためピットの戻ったため2台に919ハイブリッドはそれぞれ順位を上げた。常時ドライコンディション、気温15度のもと、F1中国GPも開催されるこのサーキットで行われたレースで、滑りやすい路面は今年もレース結果を大きく左右した。
1号車のレース運び
スタートドライバーを勤めたタンディは、レース当日に33歳の誕生日を迎えた。2位を走行中の19周目にセンサーのトラブルによるスローダウンを強いられたタンディは、無線からの指示でバックアッププログラムを設定してトラブルを解消したが、3位を走るチームメイトから1分15秒遅れの4位に後退。タンディは31周後に給油し、62周目を走り終えてピットに戻り、ジャニへと代わる。新品タイヤを得たジャニはこの時点でトップのトヨタから1周遅れだった。フルコースイエローが出された76周目、ジャニは給油のためピットインを行うが、91周目には2位を走るもう一台にトヨタ(7号車)にも周回遅れとされてしまう。106周後のピットストップでフロントの着いたタイヤカスを除去し、2本のニュータイヤへと交換したジャニは136周後にピットに戻りロッテラーへステアリングを託す。4本の新品タイヤでコースに戻ったロッテラーは168周目に給油のため最後のピットインを行った。トヨタの7号車が修理のためガレージに留まったため、ロッテラーは3位にポジションアップした。
2号車のレース運び
レース開始直後、4番手スタートのバンバーは3位に浮上するが、トヨタの8号車に抜き返されて4位に戻る。1号車の919ハイブリッドのトラブルで3位になったバンバーは30周後と61周後に給油を行う。61周目にバンバーから代わりニュータイヤで走り始めたハートレーは、77周目のフルコースイエロー時に給油のためピットに入る。その3周後、ハートレーはLM P2を避けてコースオフをしかける。この際、軽い接触はあったものの、大きなダメージはなかった。107周後のピットでは給油およびタイヤカスのよる空力の乱れを防ぐためにフロントカウルの交換を行う。126周目に首位のトヨタ8号車に周回遅れとされたハートレーは、137周までコックピットに留まった。138周目にニュータイヤでコースインしたベルンハルトは166周後に給油を行い、トヨタ7号車がピットで修理を行う間に2位に浮上した。
フリッツ・エンツィンガー (LM P1担当副社長)
「今日のレースは、まもなく終焉を迎える見事なサクセスストーリーの、新たな章のようでした。6つの世界タイトルと3度のル・マン24時間における勝利を得た最高のチームです。ポルシェのために勝利するというたった一つの目標のため、我々は素晴らしいチームスピリットを分かち合いました。その努力は今日、2つのタイトル防衛という結果に結び付いたのです。このチームで経験した、とくにこの3年間の出来事は感慨深いことばかりです。チームに関わった全てのメンバーに敬意を表するとともに、世界中のポルシェの従業員の皆さまに感謝いたします。特に経営陣はLMPプログラムの初期から我々を信じ、支えてくれました。彼らのサポートなくして、今日の成功は考えられません。最終戦のバーレーンには多くの経営陣が来場する予定です。私たちがこの数年間でつかんできた成功を誇りに思います」
アンドレアス・ザイドル (チーム監督)
「はじめに今日のレースで力強いパフォーマンスを見せたトヨタを祝福いたします。そして世界王者となったバンバー、ベルンハルト、ハートレーも祝福したいと思います。3年連続で獲得したタイトルと数々のレースでの勝利はセンセーショナルといってよいでしょう。そして1レースを残して2つの世界王座を防衛できて、私だけでなくチーム全員が安堵していることでしょう。この数レース、特に今シーズン後の撤退が発表されてから、チームを取り巻く状況は簡単なものではありませんでした。それでも我々はレースに集中し、シーズン中盤に大きなギャップを築くことに成功しました。その努力が今日、実を結びました。本拠地ヴァイザッハで素晴らしい仕事をしてくれたスタッフ全員に感謝しています。加えてレースの現場で大きなプレッシャーに耐えながら見事な働きを見せてくれたチーム、そして素晴らしいチームワークを発揮した6名のドライバーと2台の919ハイブリッドにも、もちろん感謝いたします」
ニール・ジャニ (ポルシェ919ハイブリッド1号車 ドライバー)
「1号車にアンラッキーが続いていますが、今日はスロットルセンサーにトラブルが起きました。その影響も大きく2台にトヨタからは大きく遅れてしまいました。これまでの不運は忘れてバーレーンに向かいます。優勝できれば最高ですね。ドライバーズタイトルを獲得したチームメイトを祝福したいと思います」
アンドレ・ロッテラー (ポルシェ919ハイブリッド1号車 ドライバー)
「2台揃って表彰台に上がれて嬉しい限りです。そして新たな3人の世界王者の誕生を祝いたいと思います。マニュファクチュアラータイトルを獲得したチームは素晴らしい仕事をしてくれました。序盤でトラブルが発生した我々にとって、今日のレースは厳しいものでした」
ニック・タンディ (ポルシェ919ハイブリッド1号車 ドライバー)
「2台のトヨタを追いかけていた時に発生したセンサートラブルの代償は高く、約1周の遅れをとってしまいました。そのあとはセーフティカーまたはその他の幸運を祈るしかありませんでした。それでも予想より短い時間でトラブルは解消しレースを完走できたのはラッキーです。ティモとブレンドン、アールを祝福いたします」
アール・バンバー (ポルシェ919ハイブリッド2号車 ドライバー)
「世界チャンピオンです! 信じられません。チームはマニュファクチュアラータイトルとドライバーズタイトルに向けて一所懸命、戦い続けてきました。今日のレースではスタートからダブルスティントを担当しました。悪いスティントではなかったのですが、タイヤ選択をミスしたようです。タイヤマネージメントに気を付けて良い状態を保てましたが、トヨタに挑むチャンスはありませんでした。3位でゴールすることが最低限の任務でしたが、2位になれました。本当に特別な週末になりました。2013年にポルシェで初めてタイトルを獲得したのが、わずか4年前の事とは信じられません」
ティモ・ベルンハルト (ポルシェ919ハイブリッド1号車 ドライバー)
「2回目の世界王者です。何といったら良いのか、言葉になりません。ポルシェというブランドとそのLMPチームのドライバーとして、これほど光栄なことはありません。2つのタイトルを防衛できて、ホッとしています。少しリラックスした状態で最終戦のバーレーンに望めますね。今日は良いスティントを走れましたが、3位で充分なことも分かっていました。もっと激しくプッシュもできましたが、それは不要でした。代わりに、確実にゴールするため、少しペースを落として走りました。トヨタに追いつくとはできませんでした。それでも919ハイブリッドの信頼性は高く、チームはまたしても素晴らしい仕事をしてくれました。これこそが耐久レースの醍醐味です。チームの皆、そしてブレンドンとアールに感謝します」
ブレンドン・ハートレー (ポルシェ919ハイブリッド1号車 ドライバー)
「2番手を務め76ラップを走りました。レース序盤でダウンフォースを失なっていたため、私の最初のスティントは苦労しました。ピットストップでフロントカウルを交換してからは、だいぶ良くなりました。昨日の予選で他の車両より1セット多くタイヤを使ったため、決勝で不利になるのは分かっていました。しかし私たちにとっては素晴らしい1年でした。ル・マンで優勝し、世界王者にもなれました。全てを理解するには、もう少し時間が掛かりそうです。あわただしい週末も幾つかありましたが、アールとティモとともにこの素晴らしい時を共有できたことは一生忘れません」
GTE-Proクラスに参戦するポルシェワークスチームのリヒャルト・リーツ/フレデリック・マコヴィエッキ組は、ニュー911 RSRにおけるWECでの初タイトル獲得を射程圏内に捉えている。7番グリッドから上海での第8戦をスタートしたリーツ/マコヴィエッキ組はコンスタントに速いラップタイムを刻みながら上位を窺う。1時間が経過する頃には3位まで浮上し、トップを走っていたチームメイトの911RSRがリタイヤを喫すると、今度はマコヴィエッキが首位に躍り出た。1時間に渡ってレースをリードした後、マコヴィエッキから代わったリーツは3位でコースに復帰すると、見事なオーバーテイクで2位に上がりトップを追撃する。レース終盤、首位を行くフォードの背後からチャンスを狙っていたリーツを悲劇が襲う。残り35分になった頃、トヨタのLMPカーが911RSRのサイドに接触しリーツはおよそ15秒をロスしてしまう。リーツはダメージを負いながらも、優勝車から7秒差の2位でチェッカーフラッグを受けた。この結果、リーツ/マコヴィエッキ組はGTE-Proクラスのドライバーズ選手権でトップと2ポイント差の2位で最終戦のバーレーンへ向かうことになった。
GTE-Proクラスに参戦するもう一台の911RSRを駆るミカエル・クリステンセン/ケヴィン・エストルも力強いパフォーマンスを見せた。1列目からレースをスタートしたエストルは、ポルシェ モービル1スーパーカップ参戦時のチームメイトであったニッキ・ティームが駆るアストンマーティンとの激しいバトルを制して首位に立つ。代わったクリステンセンも次のピットストップまで素晴らしい走りを披露して、再びエストルへと繋ぐ。この時点で911RSRは、GTカテゴリーで最速の車両だった。911RSRに乗り込みピットアウトしたエストルはフォードをパスしてトップに立つが、その直後の上海国際サーキットのホームストレートで突如エンジントラブルが発生し、残念ながらそのままリタイヤとなった。
カスタマーチームが2015年モデルの911RSRで参戦するGTE-Amクラスでは、ガルフレーシングのベン・ベーカー/ニック・フォスター/ハリド・アル・クバイシが2位でフィニッシュした。ポルシェ ヤングプロフェッショナルのマッテオ・カイローリが、クリスチャン・リードおよびマルヴィン・ディエンストとステアリングを握るデンプシー・プロトン・レーシングは3位に入り、FIA耐久トロフィーの獲得へのチャンスを残して最終戦のバーレーンに臨む。
カテゴリー: F1 / ポルシェ / WEC (FIA世界耐久選手権)
チームメイトであり現世界王者のニール・ジャニ/アンドレ・ロッテラー/ニック・タンディ組は序盤に起こった技術的トラブルのため後退し、3位でレースを終えた。
上海戦で優勝したのはトヨタだった。195周で争われたレースの終盤、174周の時点でマニュファクチュアラータイトルを掛けた戦いは今シーズン最終戦のバーレーンまで持ち越される様子だったが、2位を走行していたトヨタが接触による修理のためピットの戻ったため2台に919ハイブリッドはそれぞれ順位を上げた。常時ドライコンディション、気温15度のもと、F1中国GPも開催されるこのサーキットで行われたレースで、滑りやすい路面は今年もレース結果を大きく左右した。
1号車のレース運び
スタートドライバーを勤めたタンディは、レース当日に33歳の誕生日を迎えた。2位を走行中の19周目にセンサーのトラブルによるスローダウンを強いられたタンディは、無線からの指示でバックアッププログラムを設定してトラブルを解消したが、3位を走るチームメイトから1分15秒遅れの4位に後退。タンディは31周後に給油し、62周目を走り終えてピットに戻り、ジャニへと代わる。新品タイヤを得たジャニはこの時点でトップのトヨタから1周遅れだった。フルコースイエローが出された76周目、ジャニは給油のためピットインを行うが、91周目には2位を走るもう一台にトヨタ(7号車)にも周回遅れとされてしまう。106周後のピットストップでフロントの着いたタイヤカスを除去し、2本のニュータイヤへと交換したジャニは136周後にピットに戻りロッテラーへステアリングを託す。4本の新品タイヤでコースに戻ったロッテラーは168周目に給油のため最後のピットインを行った。トヨタの7号車が修理のためガレージに留まったため、ロッテラーは3位にポジションアップした。
2号車のレース運び
レース開始直後、4番手スタートのバンバーは3位に浮上するが、トヨタの8号車に抜き返されて4位に戻る。1号車の919ハイブリッドのトラブルで3位になったバンバーは30周後と61周後に給油を行う。61周目にバンバーから代わりニュータイヤで走り始めたハートレーは、77周目のフルコースイエロー時に給油のためピットに入る。その3周後、ハートレーはLM P2を避けてコースオフをしかける。この際、軽い接触はあったものの、大きなダメージはなかった。107周後のピットでは給油およびタイヤカスのよる空力の乱れを防ぐためにフロントカウルの交換を行う。126周目に首位のトヨタ8号車に周回遅れとされたハートレーは、137周までコックピットに留まった。138周目にニュータイヤでコースインしたベルンハルトは166周後に給油を行い、トヨタ7号車がピットで修理を行う間に2位に浮上した。
フリッツ・エンツィンガー (LM P1担当副社長)
「今日のレースは、まもなく終焉を迎える見事なサクセスストーリーの、新たな章のようでした。6つの世界タイトルと3度のル・マン24時間における勝利を得た最高のチームです。ポルシェのために勝利するというたった一つの目標のため、我々は素晴らしいチームスピリットを分かち合いました。その努力は今日、2つのタイトル防衛という結果に結び付いたのです。このチームで経験した、とくにこの3年間の出来事は感慨深いことばかりです。チームに関わった全てのメンバーに敬意を表するとともに、世界中のポルシェの従業員の皆さまに感謝いたします。特に経営陣はLMPプログラムの初期から我々を信じ、支えてくれました。彼らのサポートなくして、今日の成功は考えられません。最終戦のバーレーンには多くの経営陣が来場する予定です。私たちがこの数年間でつかんできた成功を誇りに思います」
アンドレアス・ザイドル (チーム監督)
「はじめに今日のレースで力強いパフォーマンスを見せたトヨタを祝福いたします。そして世界王者となったバンバー、ベルンハルト、ハートレーも祝福したいと思います。3年連続で獲得したタイトルと数々のレースでの勝利はセンセーショナルといってよいでしょう。そして1レースを残して2つの世界王座を防衛できて、私だけでなくチーム全員が安堵していることでしょう。この数レース、特に今シーズン後の撤退が発表されてから、チームを取り巻く状況は簡単なものではありませんでした。それでも我々はレースに集中し、シーズン中盤に大きなギャップを築くことに成功しました。その努力が今日、実を結びました。本拠地ヴァイザッハで素晴らしい仕事をしてくれたスタッフ全員に感謝しています。加えてレースの現場で大きなプレッシャーに耐えながら見事な働きを見せてくれたチーム、そして素晴らしいチームワークを発揮した6名のドライバーと2台の919ハイブリッドにも、もちろん感謝いたします」
ニール・ジャニ (ポルシェ919ハイブリッド1号車 ドライバー)
「1号車にアンラッキーが続いていますが、今日はスロットルセンサーにトラブルが起きました。その影響も大きく2台にトヨタからは大きく遅れてしまいました。これまでの不運は忘れてバーレーンに向かいます。優勝できれば最高ですね。ドライバーズタイトルを獲得したチームメイトを祝福したいと思います」
アンドレ・ロッテラー (ポルシェ919ハイブリッド1号車 ドライバー)
「2台揃って表彰台に上がれて嬉しい限りです。そして新たな3人の世界王者の誕生を祝いたいと思います。マニュファクチュアラータイトルを獲得したチームは素晴らしい仕事をしてくれました。序盤でトラブルが発生した我々にとって、今日のレースは厳しいものでした」
ニック・タンディ (ポルシェ919ハイブリッド1号車 ドライバー)
「2台のトヨタを追いかけていた時に発生したセンサートラブルの代償は高く、約1周の遅れをとってしまいました。そのあとはセーフティカーまたはその他の幸運を祈るしかありませんでした。それでも予想より短い時間でトラブルは解消しレースを完走できたのはラッキーです。ティモとブレンドン、アールを祝福いたします」
アール・バンバー (ポルシェ919ハイブリッド2号車 ドライバー)
「世界チャンピオンです! 信じられません。チームはマニュファクチュアラータイトルとドライバーズタイトルに向けて一所懸命、戦い続けてきました。今日のレースではスタートからダブルスティントを担当しました。悪いスティントではなかったのですが、タイヤ選択をミスしたようです。タイヤマネージメントに気を付けて良い状態を保てましたが、トヨタに挑むチャンスはありませんでした。3位でゴールすることが最低限の任務でしたが、2位になれました。本当に特別な週末になりました。2013年にポルシェで初めてタイトルを獲得したのが、わずか4年前の事とは信じられません」
ティモ・ベルンハルト (ポルシェ919ハイブリッド1号車 ドライバー)
「2回目の世界王者です。何といったら良いのか、言葉になりません。ポルシェというブランドとそのLMPチームのドライバーとして、これほど光栄なことはありません。2つのタイトルを防衛できて、ホッとしています。少しリラックスした状態で最終戦のバーレーンに望めますね。今日は良いスティントを走れましたが、3位で充分なことも分かっていました。もっと激しくプッシュもできましたが、それは不要でした。代わりに、確実にゴールするため、少しペースを落として走りました。トヨタに追いつくとはできませんでした。それでも919ハイブリッドの信頼性は高く、チームはまたしても素晴らしい仕事をしてくれました。これこそが耐久レースの醍醐味です。チームの皆、そしてブレンドンとアールに感謝します」
ブレンドン・ハートレー (ポルシェ919ハイブリッド1号車 ドライバー)
「2番手を務め76ラップを走りました。レース序盤でダウンフォースを失なっていたため、私の最初のスティントは苦労しました。ピットストップでフロントカウルを交換してからは、だいぶ良くなりました。昨日の予選で他の車両より1セット多くタイヤを使ったため、決勝で不利になるのは分かっていました。しかし私たちにとっては素晴らしい1年でした。ル・マンで優勝し、世界王者にもなれました。全てを理解するには、もう少し時間が掛かりそうです。あわただしい週末も幾つかありましたが、アールとティモとともにこの素晴らしい時を共有できたことは一生忘れません」
GTE-Proクラスに参戦するポルシェワークスチームのリヒャルト・リーツ/フレデリック・マコヴィエッキ組は、ニュー911 RSRにおけるWECでの初タイトル獲得を射程圏内に捉えている。7番グリッドから上海での第8戦をスタートしたリーツ/マコヴィエッキ組はコンスタントに速いラップタイムを刻みながら上位を窺う。1時間が経過する頃には3位まで浮上し、トップを走っていたチームメイトの911RSRがリタイヤを喫すると、今度はマコヴィエッキが首位に躍り出た。1時間に渡ってレースをリードした後、マコヴィエッキから代わったリーツは3位でコースに復帰すると、見事なオーバーテイクで2位に上がりトップを追撃する。レース終盤、首位を行くフォードの背後からチャンスを狙っていたリーツを悲劇が襲う。残り35分になった頃、トヨタのLMPカーが911RSRのサイドに接触しリーツはおよそ15秒をロスしてしまう。リーツはダメージを負いながらも、優勝車から7秒差の2位でチェッカーフラッグを受けた。この結果、リーツ/マコヴィエッキ組はGTE-Proクラスのドライバーズ選手権でトップと2ポイント差の2位で最終戦のバーレーンへ向かうことになった。
GTE-Proクラスに参戦するもう一台の911RSRを駆るミカエル・クリステンセン/ケヴィン・エストルも力強いパフォーマンスを見せた。1列目からレースをスタートしたエストルは、ポルシェ モービル1スーパーカップ参戦時のチームメイトであったニッキ・ティームが駆るアストンマーティンとの激しいバトルを制して首位に立つ。代わったクリステンセンも次のピットストップまで素晴らしい走りを披露して、再びエストルへと繋ぐ。この時点で911RSRは、GTカテゴリーで最速の車両だった。911RSRに乗り込みピットアウトしたエストルはフォードをパスしてトップに立つが、その直後の上海国際サーキットのホームストレートで突如エンジントラブルが発生し、残念ながらそのままリタイヤとなった。
カスタマーチームが2015年モデルの911RSRで参戦するGTE-Amクラスでは、ガルフレーシングのベン・ベーカー/ニック・フォスター/ハリド・アル・クバイシが2位でフィニッシュした。ポルシェ ヤングプロフェッショナルのマッテオ・カイローリが、クリスチャン・リードおよびマルヴィン・ディエンストとステアリングを握るデンプシー・プロトン・レーシングは3位に入り、FIA耐久トロフィーの獲得へのチャンスを残して最終戦のバーレーンに臨む。
カテゴリー: F1 / ポルシェ / WEC (FIA世界耐久選手権)