ポルシェ:アクションに満ちたWEC開幕戦を2位でフィニッシュ
ポルシェは、4月17日に行われたFIA世界耐久選手権(WEC)の開幕戦決勝において2位でフィニッシュした。なおレース後の再車検の結果、919ハイブリッドは繰り上がりで優勝になったが、現在も裁定中につき正式な結果は保留中となっている。
スリリングな6時間のレースを制したのはアウディだった。ル・マン・プロトタイプ(LMP1)に参戦したすべてのマニュファクチュアラー(アウディ、ポルシェおよびトヨタ)が決勝ではそれぞれトラブルに見舞われた。
最大の悲劇に襲われたのはポルシェで、スタート後2時間ほどで現世界王者であるティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー/マーク・ウェバー組がドライブするカーナンバー1がクラッシュ。ハートレーが周回遅れのGTカーをオーバーテークする際に激しく接触したが、両車のドライバーは無事だった。ニール・ジャニはレースファステストラップ(1'40"303)を叩き出し、このポルシェ 919ハイブリッドの高い性能を証明した。
カーナンバー1のレース展開
スタートドライバーを務めたマーク・ウェバーは、予選で得た3位のポジションから徐々に先行する2台のアウディに追い付く。7周目でウェバーはカーナンバー8のアウディをオーバーテークし、2位に浮上。さらに16周目にカーナンバー7のアウディをかわし、リードを奪う。27周を終えて、ダブルスティントが予定されているブレンドン・ハートレーにクルマを託す。ハートレーは55周終了時点でカーナンバー7のアウディに44秒と余裕のリードを保って、給油とタイヤ交換のためにピットに入る。71周目、GTカーを追い越す際に激しい事故が発生し、世界王者達のレースはここで終了となった。
カーナンバー2のレース展開
スタートドライバーのロマン・デュマはカーナンバー8のアウディを追いつめるも抜くには至らず4位に留まる。26周を終えて、ニール・ジャニとドライバー交代し、ジャニは55周で給油とタイヤ交換のためにピットに戻った。アウディのトラブルによって、58周目にジャニは2位に上がり、ポルシェの1-2態勢となる。71周終了後、ジャニは2度目のピットストップで、マルク・リーブに交代。メカニック達は給油とタイヤ交換に加えて、トラフィックで損傷したフロントノーズを交換した。カーナンバー1の事故の後、カーナンバー2がレースをリードした。アウディのカーナンバー8がトラブルによりコース上でストップしたため、フルコース・イエローが出された。このイエローフラッグは76周目に解除され、再スタートでリーブはバトルに巻き込まれ、その隙にカーナンバー7のアウディがトップに躍り出た。102周を終えて、リーブは再びデュマにクルマを託す。トヨタの損傷したタイヤの破片を処理する間、セーフティカーが導入された。106周終了時点でグリーンフラッグが出された後、デュマは2位を維持。132周が終了し、再度ジャニがドライブし2位をキープ。161周終了時点、暫定1位で919が給油とタイヤ交換のためにピットに戻り、ピットストップタイム短縮のために左側のタイヤのみを交換。ジャニがカーナンバー7のアウディの本格的な追撃を開始してから1周後、右側フロントタイヤがパンクしたため、彼は再度ピットインしなければならなかった。全194周の187周終了後、彼は最後のピットストップで少量の燃料を給油し、2位でレースを終した。
レース後のコメント
Dr オリバー・ブルーメ (ポルシェAG 取締役会長)
「レースは最後までスリルの連続で、まさに期待と失意が背中合わせでした。それがレースというものです。シーズン開幕戦は、世界耐久選手権のレベルが極度に高いことを明確に証明しました。大きく異なる車両コンセプトの厳しい戦いは、魅力的であり画期的です。レース結果だけでなく予選によっても、次回トップを奪還するという私たちのモチベーションがさらに高まりました」
フリッツ・エンツィンガー (LMP1担当副社長)
「私達にとって、アクションに満ちたウイークエンドも、もう過去のものです。予選は理想通りではなく、決勝ではさまざまなトラブルに悩まされました。ブレンドン・ハートレーの事故もですが、彼に怪我がなかったのが何よりでした。終盤、カーナンバー2がパンクしました。いずれにしても、アウディに祝辞を贈ります。私達が2位で、トヨタが3位。チャンピオンシップを考えれば、悪くないシーズンのスタートです。観客の皆さんには、非常にエキサイティングなレースを楽しみにしていただきたいと思います。スパでは、また攻めていきます」
アンドレア・ザイドル (チーム監督)
「アウディに祝辞を贈ります。今日は私達が勝てたレースでしたが、数々の出来事で実現しませんでした。カーナンバー1は大きなリードを保っていましたが、GTカーとの事故でレース敗退を喫しました。カーナンバー2もGTカーとの衝突があった上、パンクのため1回余分にピットストップを余儀なくされました。ですが、私達のクルマは最速で、ピットクルーも最速を誇っています。ヴァイザッハの開発チームと現地のクルーに感謝しています。私達は自分たちの強さに自信を持っています」
ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー1)のドライバーのコメント
ブレンドン・ハートレー
「私は、チームに大変申し訳なく感じています。クルマは信じられないほど好調で、マークの最初のスティントは極めて素晴らしいものでした。私が引き継いだとき、全く問題ありませんでした。十分なリードがありましたし、全くプレッシャーも感じていませんでした。トラフィックにも上手く対処しました。そして、GTカーを外側から抜きにかかりました。これは、第2コーナーではごく当たり前のことですが、ドライバーは私を見逃してコースを一杯に使いました。すべてが一瞬の出来事で、私達は接触しました。あれは避けることができる事故であり、GulfレーシングGTチームに対しても、私達のカーナンバー1のクルーに対しても申し訳なく思っています。私達は態勢を立て直し、ウイークエンドのプラスの面を活かしていくつもりです」
マーク・ウェバー
「私は最初の27周を走行し、それは充実し、興味深いスティントでした。最初、アウディは本当に強かったのですが、追い付き、追い越し、差をつけることができました。私達のクルマは非常によく仕上がっていました。今日は好成績を逃したかたちになりました」
ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー2)のドライバーのコメント
ロマン・デュマ
「スタート後、私の最初のスティントでGTカーと接触し、フロントのエアロにダメージがありました。その後は、ノーズを交換するまではアンダーステアがひどい状態でした。2回目のスティントも難しかったです。アウディのブノワ・トレルイエと厳しいバトルになりました。私の方がわずかに速かったのですが、オーバーテークは困難でした。残念なことに、フォードと軽く接触し、わずかにコースアウトしてしまい、約13秒ロスしました。その後、私達のマシーンは非常に速いペースに戻りました」
ニール・ジャニ
「私は2番目のドライバーで、ダブルスティントでドライビングを担当しました。最初のスティントは最悪でした。あちこちでトラフィックに捕まり、1周毎に最大6秒をロスしました。ピットストップ後はトラフィックで悩まされることは大幅に減り、フロントウイングにダメージを受けたにもかかわらず、トップのクルマと同じ最高速を出すことができました。レースの残り1/3で再度ドライビングしましたが、またトラフィックの問題に直面しました。これは多分、今年はストレートでそれほど私達にアドバンテージがないからでしょう。そして、最後のパンクで優勝の可能性はなくなりました」
マルク・リーブ
「アウディとの一騎打ちは時間のロスであり、タイヤの負担が大きかったのですが、レース中盤の私のスティントの出来には大いに満足しています。ラップタイムに大きなばらつきがありました。周回遅れを抜くときに、何秒かロスしたこともあれば、全くタイムに影響しなかったこともあります。天候のため、決勝の準備は容易ではありませんでした。それでも、決勝ではしっかりした仕事ができました」
カテゴリー: F1 / ポルシェ
スリリングな6時間のレースを制したのはアウディだった。ル・マン・プロトタイプ(LMP1)に参戦したすべてのマニュファクチュアラー(アウディ、ポルシェおよびトヨタ)が決勝ではそれぞれトラブルに見舞われた。
最大の悲劇に襲われたのはポルシェで、スタート後2時間ほどで現世界王者であるティモ・ベルンハルト/ブレンドン・ハートレー/マーク・ウェバー組がドライブするカーナンバー1がクラッシュ。ハートレーが周回遅れのGTカーをオーバーテークする際に激しく接触したが、両車のドライバーは無事だった。ニール・ジャニはレースファステストラップ(1'40"303)を叩き出し、このポルシェ 919ハイブリッドの高い性能を証明した。
カーナンバー1のレース展開
スタートドライバーを務めたマーク・ウェバーは、予選で得た3位のポジションから徐々に先行する2台のアウディに追い付く。7周目でウェバーはカーナンバー8のアウディをオーバーテークし、2位に浮上。さらに16周目にカーナンバー7のアウディをかわし、リードを奪う。27周を終えて、ダブルスティントが予定されているブレンドン・ハートレーにクルマを託す。ハートレーは55周終了時点でカーナンバー7のアウディに44秒と余裕のリードを保って、給油とタイヤ交換のためにピットに入る。71周目、GTカーを追い越す際に激しい事故が発生し、世界王者達のレースはここで終了となった。
カーナンバー2のレース展開
スタートドライバーのロマン・デュマはカーナンバー8のアウディを追いつめるも抜くには至らず4位に留まる。26周を終えて、ニール・ジャニとドライバー交代し、ジャニは55周で給油とタイヤ交換のためにピットに戻った。アウディのトラブルによって、58周目にジャニは2位に上がり、ポルシェの1-2態勢となる。71周終了後、ジャニは2度目のピットストップで、マルク・リーブに交代。メカニック達は給油とタイヤ交換に加えて、トラフィックで損傷したフロントノーズを交換した。カーナンバー1の事故の後、カーナンバー2がレースをリードした。アウディのカーナンバー8がトラブルによりコース上でストップしたため、フルコース・イエローが出された。このイエローフラッグは76周目に解除され、再スタートでリーブはバトルに巻き込まれ、その隙にカーナンバー7のアウディがトップに躍り出た。102周を終えて、リーブは再びデュマにクルマを託す。トヨタの損傷したタイヤの破片を処理する間、セーフティカーが導入された。106周終了時点でグリーンフラッグが出された後、デュマは2位を維持。132周が終了し、再度ジャニがドライブし2位をキープ。161周終了時点、暫定1位で919が給油とタイヤ交換のためにピットに戻り、ピットストップタイム短縮のために左側のタイヤのみを交換。ジャニがカーナンバー7のアウディの本格的な追撃を開始してから1周後、右側フロントタイヤがパンクしたため、彼は再度ピットインしなければならなかった。全194周の187周終了後、彼は最後のピットストップで少量の燃料を給油し、2位でレースを終した。
レース後のコメント
Dr オリバー・ブルーメ (ポルシェAG 取締役会長)
「レースは最後までスリルの連続で、まさに期待と失意が背中合わせでした。それがレースというものです。シーズン開幕戦は、世界耐久選手権のレベルが極度に高いことを明確に証明しました。大きく異なる車両コンセプトの厳しい戦いは、魅力的であり画期的です。レース結果だけでなく予選によっても、次回トップを奪還するという私たちのモチベーションがさらに高まりました」
フリッツ・エンツィンガー (LMP1担当副社長)
「私達にとって、アクションに満ちたウイークエンドも、もう過去のものです。予選は理想通りではなく、決勝ではさまざまなトラブルに悩まされました。ブレンドン・ハートレーの事故もですが、彼に怪我がなかったのが何よりでした。終盤、カーナンバー2がパンクしました。いずれにしても、アウディに祝辞を贈ります。私達が2位で、トヨタが3位。チャンピオンシップを考えれば、悪くないシーズンのスタートです。観客の皆さんには、非常にエキサイティングなレースを楽しみにしていただきたいと思います。スパでは、また攻めていきます」
アンドレア・ザイドル (チーム監督)
「アウディに祝辞を贈ります。今日は私達が勝てたレースでしたが、数々の出来事で実現しませんでした。カーナンバー1は大きなリードを保っていましたが、GTカーとの事故でレース敗退を喫しました。カーナンバー2もGTカーとの衝突があった上、パンクのため1回余分にピットストップを余儀なくされました。ですが、私達のクルマは最速で、ピットクルーも最速を誇っています。ヴァイザッハの開発チームと現地のクルーに感謝しています。私達は自分たちの強さに自信を持っています」
ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー1)のドライバーのコメント
ブレンドン・ハートレー
「私は、チームに大変申し訳なく感じています。クルマは信じられないほど好調で、マークの最初のスティントは極めて素晴らしいものでした。私が引き継いだとき、全く問題ありませんでした。十分なリードがありましたし、全くプレッシャーも感じていませんでした。トラフィックにも上手く対処しました。そして、GTカーを外側から抜きにかかりました。これは、第2コーナーではごく当たり前のことですが、ドライバーは私を見逃してコースを一杯に使いました。すべてが一瞬の出来事で、私達は接触しました。あれは避けることができる事故であり、GulfレーシングGTチームに対しても、私達のカーナンバー1のクルーに対しても申し訳なく思っています。私達は態勢を立て直し、ウイークエンドのプラスの面を活かしていくつもりです」
マーク・ウェバー
「私は最初の27周を走行し、それは充実し、興味深いスティントでした。最初、アウディは本当に強かったのですが、追い付き、追い越し、差をつけることができました。私達のクルマは非常によく仕上がっていました。今日は好成績を逃したかたちになりました」
ポルシェ919ハイブリッド(カーナンバー2)のドライバーのコメント
ロマン・デュマ
「スタート後、私の最初のスティントでGTカーと接触し、フロントのエアロにダメージがありました。その後は、ノーズを交換するまではアンダーステアがひどい状態でした。2回目のスティントも難しかったです。アウディのブノワ・トレルイエと厳しいバトルになりました。私の方がわずかに速かったのですが、オーバーテークは困難でした。残念なことに、フォードと軽く接触し、わずかにコースアウトしてしまい、約13秒ロスしました。その後、私達のマシーンは非常に速いペースに戻りました」
ニール・ジャニ
「私は2番目のドライバーで、ダブルスティントでドライビングを担当しました。最初のスティントは最悪でした。あちこちでトラフィックに捕まり、1周毎に最大6秒をロスしました。ピットストップ後はトラフィックで悩まされることは大幅に減り、フロントウイングにダメージを受けたにもかかわらず、トップのクルマと同じ最高速を出すことができました。レースの残り1/3で再度ドライビングしましたが、またトラフィックの問題に直面しました。これは多分、今年はストレートでそれほど私達にアドバンテージがないからでしょう。そして、最後のパンクで優勝の可能性はなくなりました」
マルク・リーブ
「アウディとの一騎打ちは時間のロスであり、タイヤの負担が大きかったのですが、レース中盤の私のスティントの出来には大いに満足しています。ラップタイムに大きなばらつきがありました。周回遅れを抜くときに、何秒かロスしたこともあれば、全くタイムに影響しなかったこともあります。天候のため、決勝の準備は容易ではありませんでした。それでも、決勝ではしっかりした仕事ができました」
2016 WEC開幕戦 ハイライト動画
カテゴリー: F1 / ポルシェ