【WEC】 第2戦 スパ・フランコルシャン6時間:ポルシェ 決勝レポート
ポルシェは、ル・マン24時間の前哨戦で3位と4位を獲得した。2台の919ハイブリッドは、スパ・フランコルシャン6時間レースにおいて、トラブルに見舞われながらもレースを戦い抜いた。
アール・バンバー(ニュージーランド)/ティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)組は、スローパンクチャーによるタイムロスにもかかわらず3位に輝いた。
ポールポジションからスタートした現世界チャンピオンのニール・ジャニ(スイス)/アンドレ・ロッテラー(ドイツ)/ニック・タンディ(イギリス)組は、レースを中断する2回の「フルコースイエロー」の不運に見舞われながらも4位でゴールした。ハートレーは総合最速ラップを打ち立てて919ハイブリッドの潜在力を示して一矢を報いたが、トヨタが1、2フィニッシュを飾りました。
ポルシェは、シルバーストンの開幕戦同様に再びル・マンのエアロダイナミクス仕様で参戦した。ローダウンフォースはタイヤの磨耗の原因となる。トヨタは2種類のエアロ仕様で出場し、ル・マン仕様の1台は2台のポルシェより遅れてゴールした。
スタート時は晴天だった。レース終盤には雨が予想されていたが、ほぼドライコンディションでのレースとなった。主催者発表によると3日間の観客は61,000人だった。FIA世界耐久選手権(WEC)全9戦中2戦を終了し、ポルシェは現在マニュファクチュラーズランキング2位。ドライバーズランキングでは2位と3位に入っている。
GTE-Proクラスではニュー911 RSR(91号車)が5位と6位でレースを終えた。リヒャルト・リーツ(オーストリア)/フレデリック・マコヴィエッキ(フランス)組は、土曜日のトラブルフリーでのレース展開と迅速なピットストップの後、わずかな差でチームメイトを破った。それから1分も経たずにケヴィン・エストル(フランス)/ミカエル・クリステンセン(デンマーク)組が同じく911 RSR(92号車)でフィニッシュした。
GTE-Amクラスでは、ポルシェ911 RSR(モデルイヤー2015)をドライブするプライベートチームのデンプシー・プロトン・レーシングが表彰台を獲得した。2人のドイツ人、クリスティアン・リードとマービン・ディエンストに加え、ポルシェの若いプロドライバー、マッテオ・カイローリ(イタリア)が激しい走りを見せ、2位でフィニッシュした。他方、イギリス人のマイケル・ウェインライトとベン・バーカー、およびオーストラリア人のニコラス・フォスターによるガルフ・レーシング・チームは、クラッシュ後にリタイアを余儀なくされた。
アンドレアス・ザイドル (チーム監督)
「レース優勝を飾ったトヨタの皆さん、おめでとうございます。ポルシェの2台の車は、テクニカルトラブルなくゴールし、選手権ポイントを稼ぐことができました。スパのレースでは明らかに私達の最高のパフォーマンスを出し切ってはいません。2014年以来、毎年ここでポールポジションを獲得しましたが、優勝はしていません。ローダウンフォースのエアロ仕様の車両によって、ハイダウンフォース仕様のトヨタのスピードに対抗することはできませんでした。なぜならタイヤの磨耗が激しかったからです。しかしローダウンフォース仕様の3台目のトヨタを凌ぐことはできました。パンクによるピットインでロスタイムが発生しましたが、性能は確かでした。来週アラゴンで耐久テストを行いル・マンに備えます」
ニール・ジャニ (ポルシェ919ハイブリッド1号車)
「ペースはほぼ期待どおりでした。1台のトヨタを凌ぐことができましたが、他の2台には届きませんでした。フルコースイエローによる2回のタイムロスという不運もありました。レースを取り戻す唯一のチャンスが雨でした」
アンドレ・ロッテラー (ポルシェ919ハイブリッド1号車)
「すばらしいスタートを切ることができました。トヨタが追い上げてきたときは驚きました。まさかラ・スルスのブレーキングで抜かれるとは思いませんでした。スティントの前半は好調でしたが、その後タイヤの磨耗が激しくペースを保つことができませんでした。最初のスティントの終盤にかけて、状況は改善しましたがムラがありました。最初のピットストップで戦略を変更し、終盤に雨が降る可能性があったので、タイヤ無交換でダブルスティントを走行する必要はないと判断しました。最終スティントは霧雨にもかかわらず好調でした。トヨタは強敵ですが必ず挽回します」
ニック・タンディ (ポルシェ919ハイブリッド1号車)
「セカンドドライバーとしては標準的なスティントでした。終盤に巻き返すはずだったタイヤ戦略が少し外れ、雨はほとんど降りませんでした」
アール・バンバー (ポルシェ919ハイブリッド2号車)
「私のスティントは好調でした。トヨタの8号車を追走しましたが残念ながらスローパンクチャーに見舞われました。その後は再び好調で前走車との差を少し縮めましたが40秒の差を取り戻すことはかないませんでした」
ティモ・ベルンハルト(ポルシェ919ハイブリッド2号車)
「パンクの後にアールを引き継いでロスを取り戻そうと努めました。差は縮まってニールの前に出ました。フルコースイエローを利用しましたがトヨタも同様でした。最終的にブレンドンが見事なラストスパートを掛けましたが、今日はこれ以上の結果を出すことはできませんでした」
ブレンドン・ハートレー(ポルシェ919ハイブリッド2号車)
「スタートからトヨタが速く、ダブルスティントを予定していました。温暖な気候で車のバランスは前日までとは異なりましたが最初のスティントの終盤に追い上げてピットストップ直前にアンドレを抜きました。1号車は戦略を変えましたが僕達はトヨタ8号車への接近を続けました。アールがパンクに見舞われて戦略がうまくいかなかったことは残念でした。終盤はチームのすばらしい仕事のおかげで見事なゴールができました。上段ではなくても表彰台に登ることができたのでル・マンへの自信となりました」
フランク=シュテッフェン・バリサー博士 (モータースポーツ部門責任者)
「GTE-Proクラスはとても期待外れな結果に終わりました。明らかにフェラーリとフォードについていくことができませんでした。私たちのチームは完璧な仕事をしてくれましたが、前との差が大きすぎました。GTE-Amクラスでは、デンプシー・プロトン・レーシングが予選ポジションを守り、2位でフィニッシュしました。ポルシェの若いプロドライバー、マッテオ・カイローリは、レースのたびに経験とプロ意識を身につけており、今後の成長が非常に楽しみです」
リヒャルト・リーツ(911 RSR #91)
「6時間のタフなレースを、なんとか耐え抜きました。できることはすべてやり、まったくミスも犯さず、善戦しました。これから結果を分析し、もっと強くなってル・マンに戻ってきたいと思います」
フレデリック・マコヴィエッキ(911 RSR #91)
「レースではベストを尽くしましたが、今日のフォードとフェラーリは次元が違いました。なぜこうなったのか、よく調べてみる必要があります」
ケヴィン・エストル(911 RSR #92)
「私たちにとって、困難なレースでした。ライバルに比べて、単純にスピードが欠けていたのです。911 RSRはスムーズに動き、戦略もまさっており、メカニックもミスを犯さず、すばやいピットストップができたことは、確実なのですが」
ミカエル・クリステンセン(911 RSR #92)
「ポルシェGTチームにとって、楽な日ではありませんでした。今日はタイヤのマネージメントが特に難しく、コーションフェーズも我々にとってアンラッキーなタイミングになりました」
マッテオ・カイローリ(911 RSR #77)
「これがクリスとマービンと一緒に戦った、私にとって2回目のWECです。表彰台の2段目に立つことができ、本当にいい気分です。シルバーストンで3位、スパでは2位。ル・マンでの目標は、言うまでもありません」
カテゴリー: F1 / ポルシェ / WEC (FIA世界耐久選手権)
アール・バンバー(ニュージーランド)/ティモ・ベルンハルト(ドイツ)/ブレンドン・ハートレー(ニュージーランド)組は、スローパンクチャーによるタイムロスにもかかわらず3位に輝いた。
ポールポジションからスタートした現世界チャンピオンのニール・ジャニ(スイス)/アンドレ・ロッテラー(ドイツ)/ニック・タンディ(イギリス)組は、レースを中断する2回の「フルコースイエロー」の不運に見舞われながらも4位でゴールした。ハートレーは総合最速ラップを打ち立てて919ハイブリッドの潜在力を示して一矢を報いたが、トヨタが1、2フィニッシュを飾りました。
ポルシェは、シルバーストンの開幕戦同様に再びル・マンのエアロダイナミクス仕様で参戦した。ローダウンフォースはタイヤの磨耗の原因となる。トヨタは2種類のエアロ仕様で出場し、ル・マン仕様の1台は2台のポルシェより遅れてゴールした。
スタート時は晴天だった。レース終盤には雨が予想されていたが、ほぼドライコンディションでのレースとなった。主催者発表によると3日間の観客は61,000人だった。FIA世界耐久選手権(WEC)全9戦中2戦を終了し、ポルシェは現在マニュファクチュラーズランキング2位。ドライバーズランキングでは2位と3位に入っている。
1号車のレース展開
暖かい晴天(20℃)の下でロッテラーはポールポジションからスタート。10周目終盤にはトヨタ7号車がバスストップシケインでアウトサイドから首位に立つ。2周後にはラ・スルス入口でトヨタ8号車に抜かれ3位に後退する。21周目にはポルシェ2号車に抜かれる。22周目にタンディがロッテラーと交代し、5位で再開する。29周目にタンディがトヨタ9号車を抜き4位に浮上する。40周目にタイヤ未交換のチームメイトを追い抜き、47周目にタンディは燃料補給のためにピットイン。ドライバーチェンジンでピットストップ中のトヨタ8号車を抜いて2位に立つ。64周目にトヨタ8号車がタンディを抜き3位に後退する。71周目に1号車は再び燃料補給し、タンディはジャニに引き継ぐ。94周を過ぎて燃料補給の直後に「フルコースイエロー」が発生。ジャニは3位を維持するが、116周目のピットイン直前にポルシェ2号車によって抜かれる。4位のまま4本のタイヤを交換して、ロッテラーが引き継ぐ。彼は173周の142周目と165周目に給油を行った。2号車のレース運び
5番手からスタートしたハートレーは、セカンドローからスタートしたトヨタ9号車がグリーンライトの後にラ・スルスでブレーキングをミスしたことに乗じて順位を1つ上げる。21周目で3位のポルシェ1号車を抜き、24周目に燃料補給でピットインするまで先にピットインしたトヨタを抑えて首位に立つ。ハートレーは3位を維持し、39周目の最終コーナーで抜かれて1号車のすぐ後ろに付ける。49周目にフルサービスを受けるためピットインし、バンバーが4位でコースインするが、3位に1秒差まで迫った55周目、右リアのスローパンクで早めのピットインを余儀なくされる。チームは該当タイヤのみを交換して燃料を補給する。バンバーは2時間のあいだ4位で走行する。79周目にバンバーに代わったベルンハルトがレース残り半分強の時点で4位を維持する。チームは95周目の「フルコースイエロー」中に2台の919ハイブリッドの燃料を補給。ベルンハルトは116周目にポルシェ1号車を追い抜いて3位に浮上。119周で4本のタイヤを交換してベルンハルトが再びハートレーへと引き継ぐ。122周目に最速レースラップを打ち立てて、127周目にトヨタ7号車を追い抜く。ハートレーは、ピットストップする直前のラップにLMP2と接触する。143周で燃料補給して新しいノーズセクションに交換。再びコースに戻ったハートレーは残り1時間の時点で3位のトヨタ7号車の背後に付く。167周後の最終ピットストップで給油のみを行いラストスパートを仕掛けたハートレーは、3位でゴールした。GTE-Proクラスではニュー911 RSR(91号車)が5位と6位でレースを終えた。リヒャルト・リーツ(オーストリア)/フレデリック・マコヴィエッキ(フランス)組は、土曜日のトラブルフリーでのレース展開と迅速なピットストップの後、わずかな差でチームメイトを破った。それから1分も経たずにケヴィン・エストル(フランス)/ミカエル・クリステンセン(デンマーク)組が同じく911 RSR(92号車)でフィニッシュした。
GTE-Amクラスでは、ポルシェ911 RSR(モデルイヤー2015)をドライブするプライベートチームのデンプシー・プロトン・レーシングが表彰台を獲得した。2人のドイツ人、クリスティアン・リードとマービン・ディエンストに加え、ポルシェの若いプロドライバー、マッテオ・カイローリ(イタリア)が激しい走りを見せ、2位でフィニッシュした。他方、イギリス人のマイケル・ウェインライトとベン・バーカー、およびオーストラリア人のニコラス・フォスターによるガルフ・レーシング・チームは、クラッシュ後にリタイアを余儀なくされた。
レース後のコメント
フリッツ・エンツィンガー (LMP1担当副社長)「私達はポールポジションからスタートし、最速レースラップを打ち立てて表彰台を飾りましたが、残念ながら2台ともにというわけにはいきませんでした。しかし、最初の2戦にローダウンフォース仕様で出場するという戦略決定は正しかったと考えています。来週の30時間にわたる最終テストを心待ちにしています。マニュファクチュアラー選手権はわずか数ポイント差なので、自信をもってル・マンに挑みます」アンドレアス・ザイドル (チーム監督)
「レース優勝を飾ったトヨタの皆さん、おめでとうございます。ポルシェの2台の車は、テクニカルトラブルなくゴールし、選手権ポイントを稼ぐことができました。スパのレースでは明らかに私達の最高のパフォーマンスを出し切ってはいません。2014年以来、毎年ここでポールポジションを獲得しましたが、優勝はしていません。ローダウンフォースのエアロ仕様の車両によって、ハイダウンフォース仕様のトヨタのスピードに対抗することはできませんでした。なぜならタイヤの磨耗が激しかったからです。しかしローダウンフォース仕様の3台目のトヨタを凌ぐことはできました。パンクによるピットインでロスタイムが発生しましたが、性能は確かでした。来週アラゴンで耐久テストを行いル・マンに備えます」
ニール・ジャニ (ポルシェ919ハイブリッド1号車)
「ペースはほぼ期待どおりでした。1台のトヨタを凌ぐことができましたが、他の2台には届きませんでした。フルコースイエローによる2回のタイムロスという不運もありました。レースを取り戻す唯一のチャンスが雨でした」
アンドレ・ロッテラー (ポルシェ919ハイブリッド1号車)
「すばらしいスタートを切ることができました。トヨタが追い上げてきたときは驚きました。まさかラ・スルスのブレーキングで抜かれるとは思いませんでした。スティントの前半は好調でしたが、その後タイヤの磨耗が激しくペースを保つことができませんでした。最初のスティントの終盤にかけて、状況は改善しましたがムラがありました。最初のピットストップで戦略を変更し、終盤に雨が降る可能性があったので、タイヤ無交換でダブルスティントを走行する必要はないと判断しました。最終スティントは霧雨にもかかわらず好調でした。トヨタは強敵ですが必ず挽回します」
ニック・タンディ (ポルシェ919ハイブリッド1号車)
「セカンドドライバーとしては標準的なスティントでした。終盤に巻き返すはずだったタイヤ戦略が少し外れ、雨はほとんど降りませんでした」
アール・バンバー (ポルシェ919ハイブリッド2号車)
「私のスティントは好調でした。トヨタの8号車を追走しましたが残念ながらスローパンクチャーに見舞われました。その後は再び好調で前走車との差を少し縮めましたが40秒の差を取り戻すことはかないませんでした」
ティモ・ベルンハルト(ポルシェ919ハイブリッド2号車)
「パンクの後にアールを引き継いでロスを取り戻そうと努めました。差は縮まってニールの前に出ました。フルコースイエローを利用しましたがトヨタも同様でした。最終的にブレンドンが見事なラストスパートを掛けましたが、今日はこれ以上の結果を出すことはできませんでした」
ブレンドン・ハートレー(ポルシェ919ハイブリッド2号車)
「スタートからトヨタが速く、ダブルスティントを予定していました。温暖な気候で車のバランスは前日までとは異なりましたが最初のスティントの終盤に追い上げてピットストップ直前にアンドレを抜きました。1号車は戦略を変えましたが僕達はトヨタ8号車への接近を続けました。アールがパンクに見舞われて戦略がうまくいかなかったことは残念でした。終盤はチームのすばらしい仕事のおかげで見事なゴールができました。上段ではなくても表彰台に登ることができたのでル・マンへの自信となりました」
フランク=シュテッフェン・バリサー博士 (モータースポーツ部門責任者)
「GTE-Proクラスはとても期待外れな結果に終わりました。明らかにフェラーリとフォードについていくことができませんでした。私たちのチームは完璧な仕事をしてくれましたが、前との差が大きすぎました。GTE-Amクラスでは、デンプシー・プロトン・レーシングが予選ポジションを守り、2位でフィニッシュしました。ポルシェの若いプロドライバー、マッテオ・カイローリは、レースのたびに経験とプロ意識を身につけており、今後の成長が非常に楽しみです」
リヒャルト・リーツ(911 RSR #91)
「6時間のタフなレースを、なんとか耐え抜きました。できることはすべてやり、まったくミスも犯さず、善戦しました。これから結果を分析し、もっと強くなってル・マンに戻ってきたいと思います」
フレデリック・マコヴィエッキ(911 RSR #91)
「レースではベストを尽くしましたが、今日のフォードとフェラーリは次元が違いました。なぜこうなったのか、よく調べてみる必要があります」
ケヴィン・エストル(911 RSR #92)
「私たちにとって、困難なレースでした。ライバルに比べて、単純にスピードが欠けていたのです。911 RSRはスムーズに動き、戦略もまさっており、メカニックもミスを犯さず、すばやいピットストップができたことは、確実なのですが」
ミカエル・クリステンセン(911 RSR #92)
「ポルシェGTチームにとって、楽な日ではありませんでした。今日はタイヤのマネージメントが特に難しく、コーションフェーズも我々にとってアンラッキーなタイミングになりました」
マッテオ・カイローリ(911 RSR #77)
「これがクリスとマービンと一緒に戦った、私にとって2回目のWECです。表彰台の2段目に立つことができ、本当にいい気分です。シルバーストンで3位、スパでは2位。ル・マンでの目標は、言うまでもありません」
カテゴリー: F1 / ポルシェ / WEC (FIA世界耐久選手権)