2020年 F1サクヒールGP 決勝:ピレリ タイヤ戦略解説
ピレリが、2020年のF1世界選手権 第16戦 F1サクヒールGP 決勝でのタイヤ戦略を振り返った。

レーシングポイントのセルジオ・ペレスが、全3種類のコンパウンドを使用して劇的な展開となったサクヒールグランプリを制し、F1初優勝を飾った。1周目にレッド・ソフトからイエロー・ミディアムへ交換したペレスは、ファイナルスティントをホワイト・ハードで走行した。

メルセデスは、セーフティカー導入周回中、1位と2位を走行していた両台のピット作業ミスによる影響を受けた。ジョージ・ラッセルは、誤ったフロントタイヤに交換されたため、再度ピットインせざるを得なくなった。バルテリ・ボッタスは、長いピットストップ時間のなか、装着していたハードタイヤを再度装着することになった。また、ラッセルは、残り9周時点で左リヤタイヤのパンクに見舞われ、4回目のピットストップを強いられた。

スタート直後のセーフティカー導入は、燃料満タン状態において、レースの重要な要素であるペースを低下させる効果を生んだ。また、このセーフティカー導入周回は、ピットストップウインドウを延長し、ソフトタイヤを装着していたドライバーに有利に作用した。1周目の事故に巻き込まれたペレスは、1回目のセーフティカー導入周回中に、ただひとりピットストップを行った。一方、チームメイトのランス・ストロールは、ソフトタイヤで42周のオープニングスティントを走行した。

スタート時の路面温度23℃のコンディション下、突風が砂漠の砂をトラックに運び、グリップに影響を及ぼした。

1ストップから3ストップまで、広範囲に渡る戦略が見られた。ルノーのエステバン・オコンとレーシング・ポイントのランス・ストロールの2名のみが1ストップ戦略を実行した。

■各コンパウンドのパフォーマンス
【ハードC2】
1ストッパーにとって重要な要素となりました。メルセデスも当初は1ストップ戦略を狙っていました。オコンが実行したミディアムからハードへ繋ぐ1ストップ戦略に代表されるように、ハードタイヤはロングスティントを走行可能な耐久性を示しました。

【ミディアムC3】
約半数のドライバーが、スタート時にミディアムを装着しました。また、ストロールは、長いファイナルスティントをミディアムで走行しました。チームメイトのペレスは、ミディアムで46周の第2スティントを走行しました。

【ソフトC4】
一時2位を走行したマクラーレンのカルロス・サインツに代表されるように、ソフトタイヤはオープニングスティントで有効に機能しました。ラッセルは、ソフトタイヤで短いファイナルスティントを走行しました。また、トップ10グリッド以外の数名のドライバーがスタート時にソフトタイヤを装着しました。

マリオ・イゾラ (ピレリ カーレーシング責任者)
「3回目のセーフティカー導入周回が、62周目までのレースの様相を一変させました。ピットレーンでの混乱が、その時点でワン・ツーを走行していたメルセデスに影響を及ぼしました。冷涼なコンディションが全てのコンパウンド、特にC4ソフトタイヤのデグラデーションを抑制したものと思います。その結果、オープニングスティントを延長する効果が生み出され、特にミディアムタイヤでスタートしたドライバーたちの1ストップ戦略が可能になりました。しかし、2ストッパーも非常に効果的でした。1セットずつのミディアムとハードしか残っていなかったセルジオ・ペレスは、1回目のピットストップ後は後方に沈みながらも、全3種類のコンパウンドを活かして劇的な優勝を手にしました。複数回のセーフティカー導入が戦略に大きな影響を及ぼし、終盤には、シーズン中最短のトラックで見応えある20周のスプリントレースが展開されました。F2のタイトルを獲得し、F2チャンピオンがF1に挑戦するチャンスを得る伝統を実践したミック・シューマッハーを祝福します。タイヤマネジメントを含め、F2がF1ドライバーを養成する優れたカテゴリーであることが証明されました。これまでに、スリリングでハードな闘いが幾度も見られ、今日もその例外ではありませんでした。また、レース後、メディアが選ぶF2年間最優秀ドライバーを獲得した角田裕毅の表彰と、来シーズンのF2挑戦に向けて30万ユーロの奨学金をF3チャンピオンのオスカー・ピアストリに授与できたことを嬉しく思います」

F1 サクヒールグランプリlF1サクヒールGP

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カテゴリー: F1 / ピレリ / F1バーレーンGP