ピエール・ガスリー、勝利の女神が微笑んだ大波乱のF1初優勝 / 2020年 F1イタリアGP
大波乱となったF1イタリアGPでのピエール・ガスリー(アルファタウリ・ホンダ)のF1初優勝は、まさに“勝利の女神が微笑んだ”という表現がぴったりないくつもの幸運が重なった勝利だった。

ポールポジションからスタートしたルイス・ハミルトン(メルセデス)が後続に8秒以上の差をつけて独走態勢に入っていたレース前半に誰がこんな結末を想像しただろう? だが、すべての出来事がピエール・ガスリーに味方したレースだった。

CASE1:オープングラップでのアルボンとの接触
10番グリッドからスタートしたピエール・ガスリーは、スタート直後の1コーナーでアレクサンダー・アルボンと接触している。アウトサイドからターンインしてきたアルボンのマシンはガスリーと接触して飛び跳ねていた。タイヤ同士の接触だったが、サスペンションや空力パーツに続行不可能なダメージを負わなかったのは幸いだった。アルボンはこの接触でフロアにダメージを負っている。この接触は審議対象となったが、お咎めなしの裁定となったのも運がよかった。(アルボンの強引なターンインだが、直前にガスリーがコース外に追いやったようにもみえる)

CASE2:マグヌッセンがマシンを停めた場所
18周目に最後尾のケビン・マグヌッセン(ハース)がパワーユニットのトラブルでコース脇にマシンを停める。ピエール・ガスリーは翌周にピットに飛び込んでハードタイヤに交換している。セーフティカーが入ることはほぼ確実であり、通常であれば不利な場面。実際にセーフティカーは入り、ルイス・ハミルトン(メルセデス)とアントニオ・ジョビナッツィ(アルファロメオ)はピットに入るが、他のマシンは入らない。なぜステイアウトするのか? マグヌッセンがマシンを停めた場所がピットレーンの入り口付近だったため、ピットレーンがクローズされていたのだ。22周目にピットレーンはオープン。ここでランス・ストロール以外でそれまでピットに入っていなかったドライバーが全員ピットに入る。この空白の数周でピエール・ガスリーは3番手まで順位を上げることになる。

CASE3:ハミルトンに10秒のストップ&ゴーペナルティ
前述のとおり、ルイス・ハミルトンとアントニオ・ジョビナッツィは20周目にピットに入るが、実際にはピットレーンはクローズされていた。そのためハミルトンとジョビナッツィには10秒のストップ&ゴーペナルティが科せられる。このペナルティがその後のレースの鍵を握ることになる。

CASE4:ルクレールのクラッシュによる赤旗中断
24周目にセーフティカーが解除されるが、ここでシャルル・ルクレール(フェラーリ)が単独クラッシュ。マシンはタイヤバリアに深く突き刺さり、セーフティカーが入った後、27周目の時点で赤旗中断となる。ここでピエール・ガスリーは順位を失うことなく、リスタートに不利なハードからミディアムタイヤに交換する機会を得る。

CASE5:リスタート後のオーバーテイク
リスタート後、ピエール・ガスリーはランス・ストロール(レーシング・ポイント)をオーバーテイクして2番手に浮上。これは運ではなく実力だ。翌周にルイス・ハミルトンがペナルティを消化するためにピットに入ったことでラップリーダーとなり、クリーンエアーでレースを進めることができた。

CASE6:ローダウンフォース仕様と抜きぬくいモンツァ
モンツァには各チームがローダウンフォースパッケージを持ち込んでいた。アルファタウリ・ホンダは前戦F1ベルギーGPでローダウンフォースパッケージをうまく最適化できており、ストレートでスピードがあった。トラックは抜きにくいモンツァ。さらに薄いリアウイングによってDRSに効果は他のサーキットほど大きくなく、暑いコンディションでスリップストリームに入っているドライバーのブレーキはオーバーヒートの可能性があった。そのため、DRS圏内に入られていたカルロス・サインツからの猛攻をなんとか避けることができた。

CASE7:チームのホームグランプリとホンダF1との50戦目
イタリアを拠点とするアルファタウリにとってF1イタリアGPはホームグランプリ。また、チームにとっては2018年のトロロッソ時代から数えて50戦目という節目のレース。2019年の前半戦はレッドブル・ホンダにいたピエール・ガスリーだが、2018年のホンダF1とのパートナーシップ開始時から50戦をホンダのエンジンで戦っているのはガスリーだけ。また、モンツァは2008年にセバスチャン・ベッテルがチームに初優勝をもたらした特別な場所。最高の舞台がピエール・ガスリーに整えられていた。

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カテゴリー: F1 / ピエール・ガスリー / ホンダF1 / F1イタリアGP / アルファタウリ