ピエール・ガスリー 「誰もがアントワーヌについて想いを馳せる週末」 / アルファタウリ・ホンダ F1ベルギーGP プレビュー
アルファタウリ・ホンダF1のピエール・ガスリーが、2020年のF1世界選手権 第7戦 F1ベルギーGPにむけての意気込みを語った。

1年前、親友であるアントワーヌ・ユベールが、スパ・フランコルシャンでのF2のレース中に命を落とした。ピエール・ガスリーは、ユベールが事故に巻き込まれたラディオンを訪れ、花を手向けている。

「前回の3連戦を終えて、数日間のオフがあったのはよかった。しかし、留守中にフランスの自宅に空き巣が入り、かなり動揺した。他人に家の中に入られ、自分や家族の物が盗まれるというのは、誰にとっても好ましい経験ではないと思う」

「さて、レースに話題を戻すと、前回のスペインGPは好調なレースウイークとなった。予選7番手という結果には大満足だし、決勝はマシンの隊列の中でのレースとなって思うようにはいかなかったけど、それでも9位フィニッシュでポイントを獲得できたことや、速いマシンの中で戦えたことは今後に向けたいい兆しだ」

「パドックの中はまだ少し違和感があるけど、徐々に慣れてきた。ただ、多くのファンが押し寄せてくれるあの雰囲気が恋しい。本来であれば、朝サーキットに行けば、ファンやサインを求める人たちに出会える。そこで観客の温かさを感じることができて、エネルギーが湧いてくる。残念ながら、今のところはまだ観客をサーキットに戻せないと思う。ファンとの交流が恋しいし、年内に今の状況が変化すればいいと願っている」

「ただ、いったんマシンに乗ると、普段と変わらず、自分の走りに集中している。それでもセッションの合間やパドックを去る際に、ふと現在の状況に考えが及んでしまう。それはレースの合間の生活にも影響する。サーキットではエンジニアやトレーナーなど同じメンバーと一緒にいるけど、一度離れてしまうと、新型コロナウイルス対策のために、チームのメンバー以外の人と会うことができないので少し時間を持て余してしまう。今は感染に気を付けなければいけないので、生活の中で交流が減り、盛り上がりに欠けることがあっても仕方がない。それに僕は自分の仕事を愛しているので、今の状況に文句は言えない」

「次はスパ、モンツァ、ムジェロと、今年3度目のトリプルヘッダーだ。2連戦には慣れていたけど、11週間で9レースという日程は全く違う。特にエンジニアやメカニックたちにとってハードな日程になっていると思う」

「スパとモンツァという最高のサーキットでの戦いが待っている。スパは僕のお気に入りのコースだ。高速コーナーを走るのはとてもスリルがある。過去にはすばらしいレースをしたこともある。F4で初優勝した場所でもあるし、2016年にはGP2(現在のF2選手権)のレース1で優勝も経験している」

「しかし、今年はスパがあるベルギーへ、悲しい思いとともに戻ることになる。ちょうど1年前のF2のレースで、アントワーヌ(ユベール)が事故に遭い、命を落とした。僕は7歳の頃からカートレースで彼を知っていた。僕たちはフランスモータースポーツ連盟が主催する学校へ一緒に通っていて、僕が13歳から19歳までの6年間、住まいをシェアしていた。今週末はきっとパドックにいる誰もが彼について想いを馳せるのではないだろうか」

「モンツァではファンのことを恋しく思うはずだ。ここは僕たちのチームのホームレースでもあるので、そこでの雰囲気は本当に特別なものだ。その次にムジェロでのレースがある。チームにとってホームレースが2度続くことになる。もちろんモンツァの近くに住んでいる僕にとってもホームレースだ。この3連戦は特別なものになるだろう」

「そしてその次のムジェロに行くのが待ちきれない。ムジェロのような初めてのサーキットでF1マシンを駆るのは常にエキサイティングな体験だ。チームはこのコースのデータを持っていないので、ドライバーもチームも皆、どんなコースなのかを見極めることになるだろう。スリリングなレイアウトだし、F1マシンで走ればなおさらだろう。僕は2013年にここでレースをしたけど、F1マシンだとまったく違う、印象的なコースになるだろう。特に2つの右カーブが超高速になるはずだ。F1マシンに何ができるかを実感できるコースだし、ドライビングの観点からもすばらしいコースになるだろう」

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カテゴリー: F1 / ピエール・ガスリー / ホンダF1 / F1ベルギーGP / スクーデリア・アルファタウリ