セルジオ・ペレス「僕たちがいなければアストンマーティンF1は存在していなかった」

当時、深刻な資金難に陥っていたフォース・インディアは破産の危機に瀕していたが、ペレスらがチームを管財人管理(administration)へ移行させたことで買収への道が開かれたという。
「アストンマーティンは存在していなかった」
ペレスは、フォース・インディアが財政難に陥っていた当時を振り返り、チームは給与の支払いさえ滞る状況だったと明かした。
「本当に最後の最後だった。法律のことは何も知らなかったし、チームは1年間ずっと僕の給料を払えなかった。でも、それが普通になっていたんだ。少し遅れているだけだと思っていた」
しかし、状況は想像以上に深刻だった。
「マネージャーから、支払いを受けられていないサプライヤーが会社の清算を求める申し立てを行ったと聞かされた。つまり会社を閉鎖できるということで、チーム全員が仕事を失うことになる」
そこでペレスとマネージャーのジュリアン・ジャコビ氏は、清算ではなく管財人管理へ移行させる手続きを進めたという。
「僕とマネージャーのジュリアンで動いた。もし管財人管理に移していなければ、チームは破産していた。当時のフォース・インディア、つまり今のアストンマーティンは存在していなかっただろう」
「その後、90日以内に買い手を探すことになり、幸運にもローレンス・ストロールが現れてチームを買収した」
フォース・インディアは2018年にローレンス・ストロール率いるコンソーシアムに買収され、翌年レーシングポイントへ改称。2021年からはアストンマーティンとして参戦している。

レースの合間に弁護士と会議
ペレスは、チーム存続のための手続きがレースウイーク中にも進められていたことを明かした。
「本当に信じられない状況だった。夏の間ずっと、レースのたびにこの問題が続いていた。マシンに乗る直前まで弁護士と話をしていたけれど、法律のことなんて全然分からなかった」
「今ならChatGPTに『F1チームを管財人管理にする方法』と聞けるけど、当時はそんなものはなかったからね」
予選直前や決勝前にも法律関係の打ち合わせが続き、本来ドライバーが集中すべきレース準備との両立は極めて困難だったという。
「あるレースでは予選直前まで弁護士と会っていたし、決勝前もエンジニアではなく別の会議に出ていた。それでもチームを救うためにやらなければならなかった」
スタッフに自ら説明した
一方で、「ドライバーがチームを管財人管理へ追い込んだ」という印象を与えることも懸念していたという。
「聞こえ方は良くない。ドライバーがチームを管財人管理にしたように思われてしまうからね」
そこでペレスは、自らチームスタッフ全員へ事情を説明した。
「みんなに『僕は皆のためにやっている。このままだと全員が仕事を失ってしまう。だから、この方法しかなかったんだ』と話した」
「仕組みを説明すると、みんな安心してくれた。でも管財人管理の期間中は本当に先が見えず、不安しかなかった」
現在のアストンマーティンにつながる決断
結果として、フォース・インディアは破産を免れ、ローレンス・ストロールによる買収が実現。その後、レーシングポイントを経て現在のアストンマーティンF1へと発展した。
ペレスは当時、レースと並行して法的手続きやスタッフへの説明にも追われながらチーム存続に尽力していたことを振り返り、「あの決断がなければ今のアストンマーティンは存在していなかった」と、自身にとっても忘れられない経験だったと語っている。
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