セルジオ・ペレスがF1で得た「望まなかった名声」との複雑な関係
セルジオ・ペレス(キャデラックF1)は、F1ドライバーとして世界の頂点に立つ一方で、その成功と引き換えに背負うことになった“名声”との距離感について、率直な思いを明かした。

22人しか存在しないF1グリッドの一角を占めることは、世界中のドライバーが夢見る特権だが、ペレスにとってその先に待っていた注目と知名度は、必ずしも心地よいものではなかった。

2011年にザウバーでF1デビューを果たして以降、ペレスは長年にわたりグリッドの常連として戦ってきた。しかし、レーシングポイントからの放出によって一度はF1離脱の危機に直面し、その後レッドブル・レーシングで4シーズンを過ごした末、2024年限りで同チームを離脱。1年間のブランクを経て、2026年には新たに参戦したキャデラックF1で復帰を果たした。

35歳となった現在、ペレスは母国メキシコの期待を背負う存在であると同時に、自身が決して慣れることのなかったメディア露出や世間の視線とも向き合い続けている。ポッドキャスト「Cracks」でのインタビューでは、家族との生活とF1スターとしての立場を両立させる難しさについて、包み隠さず語った。

「僕は物事を分けておくのが好きなんだ。自分の世界をそれぞれ切り離しておきたいし、あまり混ぜたくない。」とペレスは語った。

「とても若い頃からずっとそうしてきたし、結果的に、これだけ知られた存在になると、もっと人と関わりたいと思っていても、自然と自分を閉ざすようになる。気づかないうちに世界はどんどん小さくなっていく。」

常に注目を浴びる立場では、親しい人との時間でさえ重荷になることがあるという。

「友人と一緒にいるときでも……僕にはもう長年の友人がいるし、この環境で新しい友人を作るのは難しい。周囲に人が多すぎて、少なくとも僕は常に圧倒されている感覚になる。誰の意図も疑ってしまうんだ。」

その感覚は、もともと内向的でプライベートを重んじる性格によって、さらに強まっている。

「僕はとてもプライベートな人間だ。名声は僕にとって本当に生きづらいものだ。意外に思われるかもしれないけど、これは簡単なことじゃない。僕は有名になるために生まれてきた人間じゃない。」

「世の中には名声に向いている人、そういう性格の人がいる。例えば父は政治家で、注目を浴びることを求め、常に人の関心を引きたがるタイプだ。でも僕は正反対なんだ。これはずっと僕にとって難しい問題だった。」

それでもペレスは、自身の存在が持つ影響力、とりわけ若い世代への意味についても理解している。

「名声はずっと難しいものだったし、だからこそ距離を置こうとしてきた。今は人生の中でとても重要な時期で、多くの人に影響を与えていることも分かっている。でも、これはいずれ過ぎ去るものだと思っている。」

そして最後に、将来への静かな願いを口にした。

「いつかは、今より知られない存在になって、もっと穏やかな生活ができたらいいと思っている。」

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カテゴリー: F1 / セルジオ・ペレス / キャデラックF1チーム