日産 ル・マン
日産のル・マンでの挑戦は早々に残念な結末を迎えたが、革新的な電力駆動レーシングカー「NISSAN ZEOD RC」は、ミュルザンヌ・ストレートで時速300kmに到達、電力だけでル・マンのコースを一周するという歴史的な快挙を果たした。

内燃ガソリンエンジンと電気モーターを組み合わせたこのユニークなプロトタイプマシンは、木曜日夜に行われた予選セッションで一つめの目標を達成した。最初のシケインにさしかかる前のミュルザンヌ・ストレートで、本山哲が時速300kmに到達したのだ。

日産のもうひとつの大きなゴールは、ル・マンの13.6キロのコースを電力だけで走り切ることだった。この目標は、決勝日午前中に行われたウォームアップ中、GTアカデミー勝者のヴォルフガング・ライプが果たした。

レースのスタートでZEOD RCを駆ったのはライプ。5周の走行を重ねたが、23分を経過した時に走行ができなくなった。ギアボックス系と見られるトラブルで、早すぎるリタイアを余儀なくされた。

注目すべきは、このギアボックスは、このマシンのパワートレインの中でも、従来から使われてきたパーツのひとつだったということ。排気量1.5リットル・重量40kg・出力400馬力の3気筒エンジンと、110kwを発生する電気モーターは問題なく機能していた。

「人生とはジェットコースターのようなものだと言いますが、モータースポーツもこの一言で表せることが明確になりました。まさに今日、私たちは歓喜の頂点から、奈落の底に突き落とされたのです」とニスモのグローバルヘッドオブブランド・マーケティング&セールス、ダレン・コックスは述べた。

「今日の午前、チームは電力だけで一周を走り切るという目標を見事に達成しました。最初の挑戦でそれを果たしたのです。日産と電気自動車にとっての偉業です」

「レースのスタートで私たちは自信に満ちていましたし、今週の序盤には既に時速300kmに到達していました。レース中も、電力だけの走行を重ねることを楽しみにしていましたが、従来のパーツであるギアボックスにトラブルが起きてしまいました」

「このレースで電気自動車の技術を披露することをとても楽しみにしていたので、本当に悔しいです」

「このプロジェクトに関わってきたすべての人にとって、素晴らしい経験でした。膨大な時間を費やして取り組んできた人たちには、ル・マンで電力だけの走行を達成したあの喜びをいつまでも忘れないでいて欲しいですね」

残念ながら、本山哲もルーカス・オルドネスも、レースでは一度も走行することができなかった。

2015年のル・マンでは、日産はLMP1クラスに復帰し、アウディ、トヨタ、ポルシェといった強豪を相手に、世界で最も名誉ある耐久レースでの総合優勝を目指す。

ZEODのチーフ開発ドライバーで今回がル・マン初参戦となったヴォルフガング・ライプにとって、一喜一憂の一日となった。

「初めて電力だけでの一周走ったことは、もちろん信じられないほどスリリングでしたし、マシン開発に膨大な時間を費やしてきたことが心から報われた思いでした」とライプは述べた。

「今回のレースはもちろん大変残念な結末となりましたが、ル・マンの醍醐味を知った今、戻ってくる日のことが待ち切れません。本当に素晴らしいレースですし、いつかまた挑戦したいですね」



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カテゴリー: F1 / 日産 / ル・マン24時間レース