映画『F1/エフワン』 APXGP代表役ハビエル・バルデムが語る撮影秘話
来月に世界同時公開されるF1映画『F1/エフワン』は、伝説的プロデューサーのジェリー・ブラッカイマーと、映画『トップガン マーヴェリック』のジョセフ・コシンスキー監督が手がける注目作だ。

実在のF1チームやレース現場で撮影された本作は、主演のブラッド・ピットに加え、現役F1王者ルイス・ハミルトンもプロデューサーとして参加。かつてないスケールと臨場感でF1の世界を描き出す。

この度、その映画でチーム「APXGP」の代表ルーベン・セルバンテスを演じたアカデミー賞俳優ハビエル・バルデムが、撮影の舞台裏やF1への思いについて語った。リアルなレースシーン、ドラマ性、そして“チームとして生きる”ことの意味を問う、情熱とユーモアに満ちた作品の魅力とは。

Q:映画の撮影に入る前、F1のファンでしたか?
ハビエル・バルデム:それほどのレースファンじゃなかったよ。というか、運転自体ほとんどできないんだ(笑)。でも今回の役のために、いくつかのドキュメンタリー、たとえば『Drive to Survive』なんかを見て、それから色々読んでみたら、すごく興味が湧いてきた。特に「ドライバーをレースに送り出すために、どれだけの準備や努力が必要か」という部分に惹かれた。

そして脚本を読んだとき、その世界観に完全に引き込まれたんだ。細部まで描き込まれた内容が、F1という世界のすべてを理解させてくれるようで、技術的にも映像的にも、関わっているスタッフたちを考えれば、ものすごい作品になると確信したよ。

Q:『トップガン マーヴェリック』を作ったジョセフ・コシンスキー監督とジェリー・ブラッカイマーが、F1の世界を描いたんですね。
その通り。ジョーとジェリーが、『トップガン マーヴェリック』の空の興奮を、そのままサーキットへと持ち込んでくれた。撮影は本物のF1世界の中で行われて、本物のドライバーたちや、リアルなレース、実際のサーキットの中にいた。ブラッド(・ピット)とダムソン(・イドリス)が本物の車で、本物のトラックを走っていたんだから、こんな体験は他にないよ!

Q:この映画『F1』は、どんな物語ですか?
『F1』は、アンダードッグ(弱小チーム)である私のチーム「APXGP」の物語だ。私はそのチームオーナー、ルーベン・セルバンテスを演じていて、すべてを賭けて最後の切り札としてブラッド・ピット演じるソニー・ヘイズに託す。ソニーは昔一緒に走っていた古い友人なんだ。この映画はスリリングなライドのような作品で、ユーモアもたっぷり。アドレナリン全開のなかで、たくさん笑える映画でもある。『トップガン マーヴェリック』を観たことがあるなら、どんな作品かは想像がつくと思う。

Q:あの映画と同じように、観客にとってリアルに感じられるのでしょうか?
この作品は、これまでで最もリアルにF1世界を描いた映画になると思う。しかも、そこには「心」がある。ただのレースではなく、「仲間とは何か」「自分を犠牲にしてチームの一員になるとはどういうことか」が描かれているんだ。

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Q:演じたルーベン・セルバンテスとは、どんな人物ですか?
ルーベンはAPXGPのオーナーだ。物語の最初から登場して、ミッションに挑んでいる。旧友のソニー・ヘイズに再び注目させようとしているんだ。かつてのレース仲間でもあったソニーだけが、チームを救えると信じているからね。ルーベンは、ソニーの中に「スピードへの情熱」や「世界一になりたいという強い渇望」がまだ残っていると知っているんだ。あとは映画を観て確かめてほしい(笑)。

Q:チームメンバー全員がソニーのスタイルに納得しているわけではないようですが?
ルーベンは自分自身がかつてドライバーだったから、コックピットに座ることの難しさを理解している。ソニーの運転スタイルが正統派でないことは分かっていても、彼を信じている。他の人が頭を抱えて「一体何をしてるんだ?」って言ってもね。

Q:ブラッド・ピットとの共演はいかがでしたか?
ブラッドは、長年尊敬してきた俳優だよ。実際に会ってみると、本当に優しくて素晴らしい人だった。とても自然に演技ができたし、楽しかった。

Q:ブラッド・ピットやルーキー役のダムソン・イドリスが本当にサーキットを走っている姿も間近で見たんですよね?
初めてシルバーストーンで、2人が自分のマシンで走っているのを見たときは「うわ、マジで速い!」って思ったよ。2人とも本当に楽しんでいた。撮影前の数カ月間、彼らを指導していたF1ドライバーと話したんだけど、「F1ドライバー以外では、彼らがこれまでで一番うまい」と言っていた。つまり、それだけ真剣に取り組んでいたということだ。2人ともリアルに見せることに情熱を注いでいたし、妥協がなかった。

F1/エフワン ブラッド・ピットブラッド・ピットがバルデムと共演

Q:監督のジョセフ・コシンスキーと仕事するのはどうでしたか?
ジョーは毎日笑顔で現場に来て、みんなに優しかった。あれだけ大きな作品を統括しながらも、常に冷静で落ち着いていた。俳優に十分な時間をくれて、演技に対しても的確なアドバイスをくれた。それがシーン全体の雰囲気をガラッと変えてくれるようなものだったよ。彼は明確なビジョンを持っていて、それでも僕たちに色々なアプローチを試させてくれる。そして、すべてを編集して出来上がったものは本当に驚異的だ。まさに最高レベルの映画体験だと思う。

Q:アブダビなど実際のF1開催地で撮影するのはどんな経験でしたか?
アブダビGP当日に現地で撮影できたなんて、本当に特別な体験だった。その年のF1チャンピオンたちが実際に表彰台に上がる日だよ。あれは本当にすごかった。ジョーやジェリー、スタッフ全員の努力の賜物だし、何よりも我々のプロデューサーであるルイス・ハミルトンが、すべての細部にわたって監修してくれたおかげだ。最初に脚本を読んだときは「これは無理だろう」と思ったけど、それが映画の魔法なんだ。映画では、なんだって可能なんだよ。

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カテゴリー: F1 / F1動画