MotoGP:ヤマハ 2021年 第13戦 アラゴンGP 初日レポート
Monster Energy Yamaha MotoGPのカル・クラッチローとファビオ・クアルタラロは、ウイーク初日から順調にセッティング作業を進め、FP1とFP2の総合順位でそれぞれ3番手と7番手を獲得した。PETRONAS Yamaha Sepang Racing Teamのバレンティーノ・ロッシとジェイク・ディクソンは、フリープラクティスをそれぞれ19番手と22番手で終えた。

クラッチローがウイーク初日を3番手、クアルタラロは7番手で初日を終了
クラッチローはモーターランド・アラゴンとの相性の良さを見せ、FP1からたびたびトップ10へと浮上。タイムアタックは行わなかったにもかかわらず、全17ラップ中14ラップ目に記録した1分49秒670でトップから1.622秒差の12番手につけた。

好調ぶりに自信を深めたクラッチローは午後からのFP2も果敢にプッシュ。3回目の走行でミニアタックを開始すると、全19ラップ中17ラップ目に1分47秒897まで更新してYZR-M1の1ラップの速さを見せつけた。これにより一旦は2番手に浮上したが、最後に他車が上回り3番手でセッションを終了。FP1との総合順位でも3番手となった。トップとの差は0.284秒。

一方のクアルタラロはあらかじめ設定したプラン通りに作業を進行。まず初めにモーターランド・アラゴンに適応し、そのあとセッティングに取り組みながら安定した速さを追求することを、この日のミッションとしていた。序盤の1分50秒185でトップに立ったあとは作業に集中し、全19ラップ中14ラップ目に1分49秒451のベストタイムを記録してFP1を8番手で終了。トップとの差は1.403秒だった。

FP2では徐々にペースを上げ、ほとんどの時間帯で4番手をキープ。終盤に入ってアタックを試みようとしたが、その矢先、走行中に蜂に首を刺される不運なアクシデントに見舞われた。さらに最後の数ラップは集団に阻まれて思うようにペースを上げられなかったが、全17ラップ中16ラップ目で1分48秒034へ更新し、トップから0.421秒差の7番手を獲得している。

PETRONAS Yamaha SRTはハードワークに集中
ロッシはFP1の序盤でトップ10に入る好調ぶり。しかし第5コーナーで転倒し、約15分を残して走行を取りやめたため、十分にペースを上げられないまま1分50秒299の20番手に留まった。FP2を慎重にスタートしたロッシは、コンスタントに周回を重ねたあと、最初のアタックで1分48秒649へと更新して10番手に浮上。しかし終盤で18番手に後退し、総合順位では19番手となっている。

一方、MotoGP2戦目を迎えたディクソンは、FP1で着実にタイムを更新して1分51秒188の22番手。午後からのFP2ではタイヤを交換せず、タイムアタックも行わずに1分49秒987へ更新した。

Monster Energy Yamaha MotoGP
カル・クラッチロー(フリー走行総合3番手/1分47秒897)
「第1セクターの好タイムに驚くことはありませんでした。第1セクターはすでに私のものになっていたのです。そして残りのセクターもそのまま調子を維持できれば、必ず好記録につながると確信していました。これまでは第1セクターがあまりうまくいっていなかったので、とくにタイヤが冷たいうちは、第2コーナーで恐怖感もあり慎重にいきました。しかしそのあとは、もう問題なく走れるようになりました。これまでずっと、あのような激しいプッシュはしてきませんでしたが、今日はそのチャンスが巡って来たのでトライし、そして成し遂げたのです。タイムシートの上位につけたことは良かったと思いますが、私自身、順位は気にしていません。もちろん速く走りたい気持ちはありますが、それ以上にマシンのフィーリングを伝えることが重要だと思っています。今日も新しいことをいくつか試しました。それがテストライダーとしての私の仕事なのです」

ファビオ・クアルタラロ(フリー走行総合7番手/1分48秒034)
「フィーリングは上々です。FP1ではタイヤを何種類かテストし、マシンの感触はあまり良くなかったのですが、FP2でハード&ハードのコンビネーションに替えると、とても良くなりました。しかし、そのあと試したセッティングはあまり気に入らず、最終走行のタイムアタックでは集団に飲み込まれてペースを上げることができませんでした。それでも、もっとトップタイムに近づけることはわかっているので問題はありません。最初の走行から予想以上にいいタイムが出たので満足しています」

マッシモ・メレガリ(チーム・ディレクター)
「モーターランド・アラゴンがヤマハにとって最高のコースでないことは確かです。しかし今のところとても順調なので少しも悲観していません。クラッチロー選手はマシン全体に好感触を持ち、走りをエンジョイしていました。ファクトリー・ヤマハのマシンでわずか数ラップ、しかも私たちにとって決して簡単でないコースで3番手を獲得したのですから、見事と言うよりほかありません。この結果をポジティブに受け止め、マシンの競争力の高さを再確認しています。カルは2週間後にまた、ヤマハ・ファクトリー・レーシング・テストチームの一員としてアラゴンを走ることになっています。今回、収集するデータがそこでも役立ってくれるでしょう。クアルタラロ選手は、実力通りの成績を残すことができませんでした。彼は今日一日で非常に多くの仕事をこなし、最終走行を迎えていよいよタイムアタックを試みようとしたところで蜂に刺されてしまったのです。結果的に十分なアタックができなかったにもかかわらず、トップ10をキープできたことはとても良かったと思いますし、私たちには、もう一度、チャンスが残っています。明日の予選で好位置を獲得するため、今夜もハードワークを続けます」

PETRONAS Yamaha Sepang Racing Team
バレンティーノ・ロッシ(フリー走行総合19番手/1分48秒649)
「ある程度、予想はしていましたが、このコースはマシンにとっても私にとってもベストの場所ではなく、今日はかなり苦戦しました。いくつかの理由で、私はいつもここで難しい戦いをしているのです。それでも最大限に努力し、明日以降もリアタイヤのパフォーマンス向上を目指してベストを尽くしていきます。もう少し優しい走りができるように、セッティングのモディファイを試したいと思っています。今日も午後にはいくらか改善され、徐々に調子が上がってきました。まだまだ最速ではありませんが、ポールポジションとの差は1秒だけで、それでも19番手になってしまうのです。通常このコースは日に日にグリップが良くなっていくので、私たちもペースアップを目指してトライを続けます」

ジェイク・ディクソン(フリー走行総合22番手/1分49秒987)
「MotoGPでの2戦目も、とてもいい経験になっています。今回はマシンのスピードにそれほど大きなショックを受けることなく、ライディングをエンジョイできています。Moto2とはブレーキングなどのタイミングが異なるので、FP1では参考ポイントを見つけるのに苦労しました。FP2になるとマシンも私自身も良い方向へと進み始め、チームもまた素晴らしい仕事をしてくれました。ずっとミディアム・コンパウンドのタイヤを履き続け、非常に良い感触を得ることができました。他のライダーたちがみな同じタイヤを履いていたときは、大きく離されることもありませんでした。明日はタイムアタックに臨むためにソフト・コンパウンドをトライします。上位グループにもかなり近づけると思っています。このコースを楽しめていますし、良いフィーリングが得られれば、きっといい走りができるでしょう。新品タイヤも使っていないので、今日の最終結果は私たちの仕事の成果を十分に表したものではありません。明日はもっといい仕事ができると信じています」

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カテゴリー: F1 / MotoGP