2025年F1 モナコGP 分析:金曜日のデータが示す残りの週末の行方

だが、マクラーレンとレッドブルも依然として強力なライバルだ。
特にマクラーレンは理想ラップを組み立てれば最速タイムも視野に入る実力を秘めており、レッドブルもセットアップ変更の影響で見かけ上は後退しているものの、依然としてポール争いに加われるポテンシャルを持つ。果たして土曜の予選で主導権を握るのはどのチームか。
フェラーリ、ついに上位争いに復帰か
モナコGP木曜の段階では、シャルル・ルクレールは連勝の可能性に懐疑的な様子を見せていた。というのも、近年のフェラーリは1周の速さに苦戦しており、追い抜きが極めて難しいモンテカルロではそれが致命的になりかねないからだ。
実際、フリー走行初日のスタートは波乱含みだった。ルクレールはアストンマーティンのランス・ストロールと接触。ストロールにはグリッド1番降格のペナルティが科されたが、ルクレールはダメージを負いながらも走行を続け、2021年、2022年、そして2024年にポールを獲得したときのような鋭い走りを見せた。
その勢いはFP2でも継続。7度のワールドチャンピオンであるルイス・ハミルトンも力強い走りを披露し、フェラーリはポールポジション争い、ひいては勝利争いに加われるのではとの声が上がった。

データによれば、フェラーリはエンジンモードを高めに設定していた一方で、マクラーレンとレッドブルは保守的なセットアップだった。ただし、タイム差はわずか0.14秒であり、一夜での改善も現実的な数字だ。ルクレールもハミルトンもこのコースで「特別な」走りを見せられるドライバーであることを考えれば、何が起きてもおかしくはない。
フェラーリは低速および高速コーナーで優れているが、中速域ではマクラーレンに約0.1秒遅れている。それでもレースペースではマクラーレンとの差が0.10秒に縮まり、今年から導入される2回の義務ピットストップ制度が戦略面での鍵となるかもしれない。
マクラーレンは金曜に苦戦も依然優勝候補
オスカー・ピアストリは今季ほとんどミスらしいミスがなかったが、金曜のモナコでは珍しくミスを犯し、ウォールに接触してフロントウイングを破損した。
チームメイトのランド・ノリスは比較的スムーズな1日だったが、ブレーキングやコーナリング、タイヤ、グリップ、そして全体的なフィーリングで改善の余地があると語っている。
「理想ラップ」(各セクターで最速タイムを組み合わせた仮想ベストラップ)によれば、ノリスはまだ多くのタイムを見い出せる余地があり、それを全てまとめられればルクレールとほぼ同等のタイムになる。ピアストリも同様に理想ラップをまとめられれば、トップに立っていた可能性すらあった。

これは、マクラーレンが金曜に本来の実力を出していなかったという証拠であり、ここ数戦の金曜日の流れとはやや異なる。
予選ペースではマクラーレンはレッドブルに対して0.08秒の優位があり、レースペースでもその差は0.06秒に縮まる。クリーンラップさえまとめられれば、ポール獲得は十分に狙える。
レッドブル、表面上の苦戦も実力は健在
FP2後のタイムシートでは、マックス・フェルスタッペンと角田裕毅がそれぞれ10位と11位。レーシングブルズの2台にも0.2秒差で遅れており、芳しくない数字が並んだ。

だが、セッション後に判明したのは、チームがバランスを限界まで試すためにセットアップ変更を行っており、その結果やりすぎてしまったという事実だ。特に低速コーナーではフェラーリに対して0.4秒も遅れていた。
そのためフェルスタッペンも角田裕毅も、FP1のようにはコーナーで攻めきれなかったとされている。FP1ではポテンシャルの高さを見せていた。
フェルスタッペンは「フェラーリは非常に速そうに見える」と認めつつ、「もっと接近できる自信はある」とも語った。
レッドブルは予選ペースでマクラーレンに対して0.1秒未満の差に留まり、レースペースではさらに僅差だ。つまりフェルスタッペンは依然としてポール争いに絡んでおり、角田裕毅もすべてをまとめ上げれば、日本GP以来となるチームメイトとの接戦に持ち込める可能性がある。

メルセデス、トップ3には遠く
ジョージ・ラッセルは「今年ここまでで最も遅い金曜日だったかもしれない」と語り、メルセデスがフェラーリ、マクラーレン、レッドブルに対して明確に劣っていることを認めた。
予選ペースではマクラーレンに0.3秒遅れており、そのうちの多くが低速コーナーでのロスだった。
レースペースは多少持ち直したが、それでもマクラーレンから0.17秒遅れ。もし予選までにタイムを挽回できなければ、すでに勝負は決している可能性もある。
とはいえラッセルはまだ希望を捨てておらず、「昨年の金曜日も悪かったが、最終的にポールまで0.1秒差だった。まだ何が起きるか分からない」と語っている。
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