ミック・シューマッハ、インディカーを初テスト「シングルシーターに戻りたい」

26歳のドイツ人ドライバーは、2022年限りでハースF1チームを離れ、メルセデスのリザーブドライバーとして活動してきたが、復帰のチャンスを得ることはできなかった。
そんな中、月曜日にレイホール・レターマン・ラニガン・レーシング(RLL)のダラーラ・ホンダをテストし、午前のセッションでいきなりトップタイムを記録。5月の同サーキットで行われたインディカー本戦とほぼ同等のペースを示した。
「以前からインディカーをテストしてみたいと思っていた」とシューマッハは語った。「ここ数年、F1のイベントで何人かのインディカードライバーと話をして、みんなが“本当に楽しい”と言っていた。実際に走ってみて、僕も本当に楽しんでいる。チームのみんなも素晴らしいんだ」
F1とは異なる“無補助ステアリング”にも順応
F1とは違い、インディカーにはパワーステアリングが搭載されていない。その点についてもシューマッハは前向きだった。
「確かにステアリングが重いと言われてきたけど、正直なところF2と同じくらいに感じる。体力的には厳しいけれど、レーサーとしてそういう挑戦を求めているんだ」と語った。
ただし今回の挑戦には、単なる興味だけでなく、現実的な理由もあるという。
「インディカーは、僕がまだ戦えるカテゴリーに最も近い」と認めたシューマッハ。「この数年間の目標はF1に戻ることだったけど、そのチャンスは開かなかった。だから、再びシングルシーターでレースをしたいと思っているし、その意味でこの選択肢は理にかなっている」

2026年以降の去就を見据えた“試金石”
フル参戦契約はまだ決まっていないが、今回のテストを通じて「2026年にどこに身を置きたいかを見極める」と語る。
RLLは現在グラハム・レイホールとルイス・フォスターを起用しているが、チーム側も前向きに協議を進めていると見られる。
「最終的な決断は双方の合意次第だ。数日から数週間かけて、今後のチャンスを見極めることになると思う。ここまでは順調だ」とシューマッハは話した。
ヨーロッパの関係者──とりわけ叔父のラルフ・シューマッハ──からは、オーバルレースの危険性を懸念する声も上がっているが、ミックは挑戦を否定しない。
「もちろん興味がある。実際に走ってみてどういう世界なのか確かめたい」と語り、「もしインディカーにコミットするなら、全力でやりたい」と続けた。
“父が勝利を重ねた地”で再び走る喜び
テストが行われたインディアナポリスは、父ミハエル・シューマッハがフェラーリ時代に5度勝利を挙げた因縁の地でもある。ミックは笑顔を見せながらこう締めくくった。
「この場所に戻ってこられて本当にうれしいし、このクルマを走らせるのが楽しい。僕はただレースを楽しみたいし、自分が一番心地よくいられる場所を見つけたいんだ」
分析:F1断念ではなく、“原点回帰”の一歩
今回のテストは、ミック・シューマッハがF1の夢を諦めたというよりも、“純粋に走る喜び”を取り戻すための現実的な選択といえる。欧州でのシート獲得が極めて難しい現状において、インディカーは競争力と知名度の両立が可能な舞台だ。
また、彼が言及した「体力的な挑戦」や「オーバルへの興味」は、父ミハエルの時代から受け継がれたレーサーとしての本能の表れでもある。インディアナポリスという特別な地で見せたこの笑顔が、彼の新たなキャリアの第一歩となるかもしれない。
Source: GMM
カテゴリー: F1 / ミック・シューマッハ / インディカー