メルセデスF1、ジェームス・ボウルズへの“公開謝罪”強要を否定
メルセデスは、F1オーストリアGPで戦略ミスを犯したチーフストラテジストのジェームス・ボウルズに無線で“公開謝罪”させたとの見解を否定。彼のリーダーシップを称賛した。
F1オーストリアGPの14周目にバルテリ・ボッタスがリタイアしたことをバーチャルセーフティカーが導入。レッドブルとフェラーリはダブルストップを敢行したが、メルセデスはトップを走行するルイス・ハミルトンをステイアウトさせ、それが原因でトップの座をマックス・フェルスタッペンに明け渡すことになった。
戦略ミスが発覚した後、ルイス・ハミルトンの担当エンジニアのピーター・ボニントンではなく、チーフストラテジストであるジェームス・ボウルズが無線で直々に謝罪。“ルイス、私のミスだ。申し訳ない”“私が勝利を捨てた”とハミルトンに語りかける無線が世界中の何百万人が見守るテレビ放送で流れることになった。
レッドブル・レーシングのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、他チームの状況はわからないが、チーフストラテジストに謝罪をさせるのは“不公平”だとの意見を述べている。
「他チームの複雑な細部を知ることは常に難しいことだが、一つ言えるのは、チームとして勝ち、チームとして負けるということだ」とクリスチャン・ホーナーはコメント。
「だからこそ、我々は成功や失敗について個人について話すことはほとんどない。なぜなら、ぞれは個人に不公平な注目とプレッシャーを与えるからだ。チームとしての我々の哲学は、個人ではなく、集団の責任だということだ。もちろん、説明責任はあるべきだが、公開されたフォーラムではなく、閉鎖された適切な環境で処理されるべきだ」
クリスチャン・ホーナーは、ジェームス・ボウルズがルイス・ハミルトンのモチベーションのために介入する必要があったのかどうかも疑問視している。
「私はルイスと仕事をしたことがないし、何が彼の目を覚まさせるかもわからないが、誰かのためにあのようなことをする必要があるというのはかなり奇妙に感じる。4番手からトップに浮上させるよう速く走ることをドライバーに促すために彼らを犠牲にする必要などあるだろうか」
クリスチャン・ホーナーは、レッドブル・レーシングではそのような状況は決して許さないと語る。
「それは私の運営方法ではない。私の見解、そして、このチームのチーププリンシパルとして私の役割は、従業員を保護し、最良の方法えで彼らの代理を務めることだ。良い日であれ、悪い日であれね」
しかし、メルセデスのテクニカルディレクターを務めるジェームス・アリソンは、チームが取った対応は失敗に対する健全な態度を示しているとし、ジェームス・ボウルズのリーダーシップを称賛した。
「ジェームス(ボウルズ)の声を無線で聞くことは時々あるはずだ。微妙な伝達事項や難しいメッセージがある特殊な環境ではそれは普通のことだ」とジェームス・アリソンはメルセデスのYouTubeチャンネルでコメント。
「レースエンジニアを仲介せずにドライバーにメッセージを伝えなければならないときもある。通常のコミュニケーションルートは、ストラテジストがレースエンジニアに伝え、そこからドライバーに伝わる。レースエンジニアはそれを担当している。だが、伝言ゲームを避けたいときもあるし、メッセージが非常に重要な場合もある」
「今回の場合はかなり個人的なものだった。今回の特殊なケースではジェームスが非常に頼りになるところを見せてくれた。自分から名乗り出て『自分のミスだ、ルイス、本当に申し訳ない』と言ってくれたんだからね。それはジェームスの性格でもあるが、チームの取り組み方でもある。誰かがミスを犯したとしても、非難の集中砲火を浴びせたり、チーム内に重大な論争を引き起こしたりするのではなく、そこから学ぼうというチームのミスに対する姿勢がり、ミスを犯した者は自ら名乗り出る」
「ジェームスが本当に素晴らしく強力なリーダーシップを見せてくれたと思っている。何が起きたのか、ルイスにきちんと説明しようとした。重要なメッセージだったので、ジェームスはレースエンジニアを仲介して伝えるのではなく、自ら伝えたいと考えたのだ」
また、ジェームス・アリソンは、ルイス・ハミルトンをピットインさせなかったのは、バーチャルセーフティカーがもっと長く続き、その間にピットに呼び入れるチャンスがあると考えていたからだと説明した。
「後から考えれば、戦略をああするべきだった思えるとかなり明白なことであっても、実に奇妙なことが起こることもある」とジェームス・アリソンはコメント。
「決断が下された後に、あらゆることを踏まえた後、後から正しい判断を下すのであれば、私の母だってできるだろう。だが、こういった場合、ストラテジストはジレンマに直面する。レースをリードしている立場は、最も多く失う立場でもあり、最大のジレンマに直面する。一人だけ1回のストップをして、他の全員がストップしないという状況にはしたくない。そうなれば、望まない形に巻き込まれてしまう」
「我々はバーチャルセーフティカーが1周以上続くと考えており、後続のみんながどうするかを確かめたかった。彼らがストップするのかしないのか。それを待って2周目に決断を下すつもりだったのだ。だが、1周以上は続かず、たった1周で解除されてしまい、楽にストップした後続の全員に敗北を喫することになった。大きな代償を払うピットストップになったし、大きなミスだったと思っている。レース終盤にリタイアという結果に終わっていなければ、大きな代償を支払うことになっただろう」
ルイス・ハミルトンは、4番手を走行していた64周目にマシントラブルでストップ。少なくとも12ポイントを獲得するチャンスを失い、ドライバーズ選手権でセバスチャン・ベッテルに首位の座を明け渡すことになった。
カテゴリー: F1 / メルセデスF1
F1オーストリアGPの14周目にバルテリ・ボッタスがリタイアしたことをバーチャルセーフティカーが導入。レッドブルとフェラーリはダブルストップを敢行したが、メルセデスはトップを走行するルイス・ハミルトンをステイアウトさせ、それが原因でトップの座をマックス・フェルスタッペンに明け渡すことになった。
戦略ミスが発覚した後、ルイス・ハミルトンの担当エンジニアのピーター・ボニントンではなく、チーフストラテジストであるジェームス・ボウルズが無線で直々に謝罪。“ルイス、私のミスだ。申し訳ない”“私が勝利を捨てた”とハミルトンに語りかける無線が世界中の何百万人が見守るテレビ放送で流れることになった。
レッドブル・レーシングのチーム代表を務めるクリスチャン・ホーナーは、他チームの状況はわからないが、チーフストラテジストに謝罪をさせるのは“不公平”だとの意見を述べている。
「他チームの複雑な細部を知ることは常に難しいことだが、一つ言えるのは、チームとして勝ち、チームとして負けるということだ」とクリスチャン・ホーナーはコメント。
「だからこそ、我々は成功や失敗について個人について話すことはほとんどない。なぜなら、ぞれは個人に不公平な注目とプレッシャーを与えるからだ。チームとしての我々の哲学は、個人ではなく、集団の責任だということだ。もちろん、説明責任はあるべきだが、公開されたフォーラムではなく、閉鎖された適切な環境で処理されるべきだ」
クリスチャン・ホーナーは、ジェームス・ボウルズがルイス・ハミルトンのモチベーションのために介入する必要があったのかどうかも疑問視している。
「私はルイスと仕事をしたことがないし、何が彼の目を覚まさせるかもわからないが、誰かのためにあのようなことをする必要があるというのはかなり奇妙に感じる。4番手からトップに浮上させるよう速く走ることをドライバーに促すために彼らを犠牲にする必要などあるだろうか」
クリスチャン・ホーナーは、レッドブル・レーシングではそのような状況は決して許さないと語る。
「それは私の運営方法ではない。私の見解、そして、このチームのチーププリンシパルとして私の役割は、従業員を保護し、最良の方法えで彼らの代理を務めることだ。良い日であれ、悪い日であれね」
しかし、メルセデスのテクニカルディレクターを務めるジェームス・アリソンは、チームが取った対応は失敗に対する健全な態度を示しているとし、ジェームス・ボウルズのリーダーシップを称賛した。
「ジェームス(ボウルズ)の声を無線で聞くことは時々あるはずだ。微妙な伝達事項や難しいメッセージがある特殊な環境ではそれは普通のことだ」とジェームス・アリソンはメルセデスのYouTubeチャンネルでコメント。
「レースエンジニアを仲介せずにドライバーにメッセージを伝えなければならないときもある。通常のコミュニケーションルートは、ストラテジストがレースエンジニアに伝え、そこからドライバーに伝わる。レースエンジニアはそれを担当している。だが、伝言ゲームを避けたいときもあるし、メッセージが非常に重要な場合もある」
「今回の場合はかなり個人的なものだった。今回の特殊なケースではジェームスが非常に頼りになるところを見せてくれた。自分から名乗り出て『自分のミスだ、ルイス、本当に申し訳ない』と言ってくれたんだからね。それはジェームスの性格でもあるが、チームの取り組み方でもある。誰かがミスを犯したとしても、非難の集中砲火を浴びせたり、チーム内に重大な論争を引き起こしたりするのではなく、そこから学ぼうというチームのミスに対する姿勢がり、ミスを犯した者は自ら名乗り出る」
「ジェームスが本当に素晴らしく強力なリーダーシップを見せてくれたと思っている。何が起きたのか、ルイスにきちんと説明しようとした。重要なメッセージだったので、ジェームスはレースエンジニアを仲介して伝えるのではなく、自ら伝えたいと考えたのだ」
また、ジェームス・アリソンは、ルイス・ハミルトンをピットインさせなかったのは、バーチャルセーフティカーがもっと長く続き、その間にピットに呼び入れるチャンスがあると考えていたからだと説明した。
「後から考えれば、戦略をああするべきだった思えるとかなり明白なことであっても、実に奇妙なことが起こることもある」とジェームス・アリソンはコメント。
「決断が下された後に、あらゆることを踏まえた後、後から正しい判断を下すのであれば、私の母だってできるだろう。だが、こういった場合、ストラテジストはジレンマに直面する。レースをリードしている立場は、最も多く失う立場でもあり、最大のジレンマに直面する。一人だけ1回のストップをして、他の全員がストップしないという状況にはしたくない。そうなれば、望まない形に巻き込まれてしまう」
「我々はバーチャルセーフティカーが1周以上続くと考えており、後続のみんながどうするかを確かめたかった。彼らがストップするのかしないのか。それを待って2周目に決断を下すつもりだったのだ。だが、1周以上は続かず、たった1周で解除されてしまい、楽にストップした後続の全員に敗北を喫することになった。大きな代償を払うピットストップになったし、大きなミスだったと思っている。レース終盤にリタイアという結果に終わっていなければ、大きな代償を支払うことになっただろう」
ルイス・ハミルトンは、4番手を走行していた64周目にマシントラブルでストップ。少なくとも12ポイントを獲得するチャンスを失い、ドライバーズ選手権でセバスチャン・ベッテルに首位の座を明け渡すことになった。
カテゴリー: F1 / メルセデスF1