メルセデス F1
メルセデスのモータースポーツ責任者を務めるトト・ヴォルフは、F1スペインGPでのルイス・ハミルトンの優勝は、バーチャルセーフティカー(VSC)導入の際にハミルトンをピットインされると“魔法”のような戦略決断の賜物だと述べた。

ルイス・ハミルトンは、スタートでセバスチャン・ベッテル(フェラーリ)に先行を許したが、第1スティントでプレッシャーをかけ続け、ベッテルをアンダーカットを想定したピットストップに追い込んだ。

第2スティントでソフトタイヤを選択したセバスチャン・ベッテルに対し、メルセデスはルイス・ハミルトンにミデイアムタイヤを装着。その間、そのチームメイトであるバルテリ・ボッタスが4周にわたってベッテルを抑えた。

レースを決定づける重要な局面は34周目。ストフェル・バンドーン(マクラーレン・ホンダ)が、ターン1でフェリペ・マッサ(ウィリアムズ)に接触し、グラベルにマシンを止めたことによってバーチャルセーフティカーが導入された。バーチャルセーフティカー導入により、全ドライバーは3周にわたってデルタラップタイムまで減速した。

メルセデスはバーチャルセーフティカーが解除されるギリギリまでルイス・ハミルトンのピットストップを引っ張り、ハミルトンがピットレーンの白線を通過するとほぼ同時にバーチャルセーフティカーが解除された。そによってフェラーリはピットストップを行なうことができなかった。

トト・ヴォルフは「スタート時はデフォルトの戦略を取る計画だった」とルイス・ハミルトンの戦略を説明。

「ミディアムタイヤを履いた後は、2セットのソフトで終盤にアタックするという計画だ。しかし、そこでバーチャルセーフティカーが入った」

「我々の戦略グループのプロセスにとって抜群のタイミンフだった。その時点で我々はセバスチャンとは反対のことを計画し、ベッテルが反応できないようにバーチャルセーフティカーが終わりそうなところでハミルトンをピットに入れるという魔法のような決断を下した」

「ジェームズ(ボウルズ、チーフストラテジスト)とストラテジストたちのおかげで完璧なタイミングでそれを実行できたし、その後のセバスチャンよりもはるかに速いピットストップだった」

ルイス・ハミルトンがピットストップした後、フェラーリもセバスチャン・ベッテルをピットに入れ、ターン1ではハミルトンとホイール・トゥ・ホイールになったものの、セバスチャン・ベッテルが首位をキープした。しかし、メルセデスの戦略によって最終スティントではルイス・ハミルトンにタイヤのアドバンテージがあり、セバスチャン・ベッテルをパスしたルイス・ハミルトンは最後までソフトタイヤをもたせた。

「コース上で彼を追い抜いたのはルイスのおかげだ。出口ではセバスチャンと非常にタイトだったし、そこから激しいバトルがあり、ストレートでの果敢な仕掛けによってリードを奪った」

メルセデスはレース終盤にフェラーリがフレッシュなソフトタイヤに交換してルイス・ハミルトンにアタックを仕掛けていることを懸念しており、それに応じた走りをするようルイス・ハミルトンに指示していたとトト・ヴォルフは明かした。

「終盤にフェラーリがもう一度ピットストップを行ってソフトタイヤに交換してアタックしてくる可能性があり、我々はそれについて長い議論を重ねた。そのため、我々は反応できるように2.5秒のピットストップギャップを保とうと努力した」

「最終的にはバランスの問題だったと思う。ギリギリのラインでバランスを保った。アンダーカットを避けるためにギャップを維持しつつ、残り32周でタイヤを保たせなければならなかった。チームワークと戦略、ルイスのドライビングの素晴らしいコンビネーションの賜物だった」

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カテゴリー: F1 / メルセデスF1