マクラーレンF1、2026年は「開幕まで大改修なし」異例の戦略

2026年F1は、パワーユニットとシャシーの双方で大きな規則変更が行われる「新時代」の幕開けとなる。
そのため多くのチームは、最初のテストでは暫定仕様のマシンを投入し、開幕戦までに一気に進化させる構えを見せている。フェラーリF1が「スペックA」でテストを開始し、その後に大幅な改修を予定していることは、その象徴的な例だ。
しかし、マクラーレンF1はこの流れに乗らない。新車MCL40については、2026年マシンの特性を十分に理解するまでは大きな変更を加えず、まずは基礎となるプラットフォームの把握を最優先するという。
マクラーレン・テクノロジー・センターで語ったチーフデザイナーのロブ・マーシャルは、バルセロナで行われる最初のテストから開幕戦までに投入される変更はごく限定的になるとの見通しを示した。
「バルセロナからメルボルンまでの間で見られるものは、ほぼそのまま初戦に持ち込む仕様になると思う」とマーシャルは説明した。
「我々の多くの労力は、このマシンを理解することに注がれる。また、ライバルが何をしているのかを見る必要もある。彼らが何を達成し、何を見せてくるのかからインスピレーションを受けることも重要だ」
この姿勢の背景には、コストキャップ時代におけるリソース配分の問題もある。性急に新パーツを投入しても、すぐに作り直す必要が生じれば、開発効率は大きく損なわれる。マクラーレンF1は、そのリスクを避けたい考えだ。
マーシャルは、2026年マシンの複雑さを強調し、早期の大改修がもたらす混乱を懸念している。
「このクルマを理解することに、本当に集中しなければならない。とても複雑で、すべてが新しい」と述べた。
「調整しなければならない要素が山ほどある。だから、初期段階で大量の新要素を持ち込むのは、かえって物事を複雑にしてしまう」
「まずは、このプラットフォームを理解する方が賢明だ。まだ一度も本格的に走っていない段階で、拙速に再設計に走るべきではない」
2026年マシンの理解が進んでいない現状では、どこにパフォーマンス向上の余地があるのかさえ不透明だ。マクラーレンF1は、最初のテストを「学習の場」と位置づけ、先入観を持たずに臨むという。
その一例がライドハイトだ。グラウンドエフェクトの影響が小さくなることで、従来ほど極端に車高を下げる必要はなくなるが、最適解がどこにあるのかは未知数だ。
2026年の空力開発とレーキ(前後車高差)の役割について問われたマーシャルは、次のように語っている。
「このレギュレーションの意図は、リアのライドハイトを引き上げることにあると思う。我々も、その方向になるという感触は持っている」
「ただ、どこまで高くなるのか、どこまで低くできるのかは、まだ分からない」
「来週のバルセロナでは、どこでマシンを使うのが最適なのかを探る、大きな旅が待っている」

マクラーレンF1は、2026年マシンの画像をバルセロナテスト直前まで公開しない予定で、現時点ではMCL40のシルエットのみを明らかにしている。テスト参加も初日ではなく、2日目か3日目になる見込みだ。
一方で、事前に確認されたレンダリング画像からは、ダウンウォッシュ型サイドポッドや、フロントサスペンションをプルロッドからプッシュロッドへ変更するという、注目すべき設計思想が見て取れる。
フロントサスペンションの選択について、マーシャルは純粋に空力的な理由によるものだと説明した。
「昨年も、それ以前の年も、プッシュロッドとプルロッドの両方を採用するマシンがあった」と述べたうえで、
「結局のところ、新しいフロントウイングにどのサスペンション配置が最も適しているか、という空力的な判断に行き着く」
「新しいフロントウイングは、すべてが新設計だ。これまでに見てきた各チームのサスペンション構成も、それぞれのフロントウイングやフロントエンドのパッケージに合わせたものだ」
「これは完全に空力主導の選択だ。メカニカルな面では、どちらも特別に難しいわけではない」
慎重に理解を積み重ねることを最優先するマクラーレンF1の姿勢は、2026年F1の序盤戦において、ライバルとは異なる時間軸で進化を遂げる可能性を示している。新時代の開幕において、即効性よりも基盤固めを選んだ判断が、どのような結果につながるのかが注目される。
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