マクラーレン F1最終決戦でチームオーダーを明言「使わないのはクレイジー」
マクラーレンCEOのザク・ブラウンは、アブダビGPでチームオーダーを使用する用意があることを認め、「使わないのはクレイジーだ」と語った。

タイトルはランド・ノリス、マックス・フェルスタッペン、オスカー・ピアストリの三つ巴で決することになり、カタールGPでノリスが勝利できなかったことで、王座決定は最終戦までもつれ込んだ。

ノリスはルサイルで4位に留まり、レッドブルのフェルスタッペンが優勝したことで差は縮まったものの、依然としてノリスが408ポイントで首位を維持。フェルスタッペンとの差は12ポイント、ピアストリは16ポイント差で続いている。

ノリスの前に立ちはだかる“P4問題”
ノリスが初タイトルを獲得する条件は「表彰台フィニッシュ」。しかしレースの展開次第では、ピアストリが上位を走り、ノリスが4番手という“カタール再現”シナリオも十分あり得る。

その場合、ピアストリは数学的に王座争いから脱落するが、ノリスを前に出せば、たとえフェルスタッペンが優勝してもマクラーレンのタイトル獲得は成立する。

ブラウンは Sky Sports F1 に対し、こうした状況でチームオーダーを使用するか問われると、次のように答えた。

「もちろんだ。私たちは現実的だ。我々はドライバーズタイトルを獲りたい。週末に臨むにあたって、2人に平等なチャンスがあるとはいえ、ポイント差が存在するのも事実だ」

「予選がどうなるか、信頼性がどうなるかは分からない。しかしレースに入り、どちらかにチャンスがあり、もう一方にないことが明らかになれば、タイトルを獲るためにできることは何でもやる。やらないなんてクレイジーだ」

ノリスは“チームオーダー歓迎派” ピアストリ次第とも発言
ノリスは木曜会見で、チームオーダーが使われるなら「大歓迎だ」と述べつつ、「それを要求するつもりはない。オスカーが許すかどうかだ」とも語っている。

フェルスタッペンはここ2戦を連勝し、3人の中で最も勢いがある。

一方シーズン序盤はマクラーレンが支配的で、ピアストリは一時フェルスタッペンに104ポイント差をつけていた。しかしオーストラリア人の調子が落ちた時期に、王者フェルスタッペンが追い上げを見せ、再び接戦に戻った。

ノリスはメキシコとブラジルでの勝利によってポイントリーダーに躍り出たものの、フェルスタッペンがアブダビで優勝し、ノリスが4位以下の場合、タイトルを逃すことになる。

マクラーレン ランド・ノリス オスカー・ピアストリ

“フェアネス重視”のマクラーレンが最終戦で下す決断
マクラーレンは今季、ドライバー間の公平性を強調してきた。

“パパイヤ・ルール”はシーズン中に何度も適用されてきたが、ブラウンはこれがシンガポール(第18戦)でのコンストラクターズタイトル獲得につながったと述べ、アブダビでも有効だと主張する。

「我々はドライバーズタイトルを獲りたい。だからレースがどのように展開するかを見るが、3位と4位、6位と7位を守るためにタイトルを逃すようなことはしない」

「これはチームスポーツだ。チームとしてコンストラクターズを獲り、チームとしてドライバーズも獲るんだ」

「奇妙に聞こえるかもしれないが、どちらかが勝てない状況なら、もう一方に勝ってほしい。それがチームの望みだ。彼らはチームプレイヤーであり、その姿は昨年も示している。ブラジルのスプリントでもカタールでもね。チームメイト同士が犠牲を払ってチームの望む結果を届けるのは、どんなスポーツでも珍しいことではない」

最終決戦アブダビ、“3人のうち誰が王座を掴むのか”
マクラーレンは公平性を理念に掲げてきたが、タイトルがかかった最終戦では冷徹な判断を下す可能性が高い。

ノリスとピアストリのどちらにタイトルの可能性が残るのか、フェルスタッペンは3連勝を決めるのか──58周の決戦は、近年まれに見るタイトル争いのクライマックスとなる。

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カテゴリー: F1 / マクラーレンF1チーム / F1アブダビGP